SNSで目にした雰囲気のある人物写真。

一眼カメラを手にした方なら、「自分もこんな風に撮ってみたい!」「家族や恋人の写真を印象的にしたい」と思う方は多いのではないでしょうか。しかし、いざ撮ってみるとただ人物が写っているだけの写真になってしまう…。そんな失敗は初心者にはつきものです。

そこでこの記事では、ポートレート撮影をはじめる方に向けて、押さえておきたいポートレートの基本を解説します

そもそも「ポートレートとは何なのか」、普通の人物撮影にならないためにどうすればよいのか、どのようなレンズを使えばよいのか…。知っているだけで印象的な写真に近づくポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。


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ポートレート撮影とは? スナップ撮影の違い

ポートレート・ポートレイト(英:Portrait)とは、肖像写真を意味し、人物を被写体とする写真のことです。

一般的には、「テーマやシチュエーションを事前に準備して撮る人物写真」であり、撮られる側はカメラの存在を認識しています。

同じく人物がメインでも、モデルが撮られていることに気づいていないのであればポートレートに当てはまりません。そのような場合は「スナップ写真」に定義され、モデルが撮られていることを意識しているかの有無が2つを分ける大きなポイントです。

また、スナップ写真は瞬間を切り取る撮影方法であり、被写体も人物に限定されません。

テーマに沿って画作りを行なうポートレートと、日常の光景や一瞬の出来事の中にいたモデルを切り取るスナップ写真。

似ているようで少し違う、どちらも違った持ち味のある撮影方法です。

ポートレート撮影のコツ

まずはポートレート撮影のコツをご紹介します。

テーマ、場所を決める

ポートレート撮影では、あらかじめ撮りたいテーマを決めて、テーマに合った撮影場所を探すのがおすすめ。

場所は、有名な観光地や街中、いつもの散歩道、自分の家など撮影が禁止されていなければどこでも構いません。

以下、テーマ例と、テーマに合った場所・シーン例です。参考にしてみてください。

テーマ例テーマに合った場所・シーンの例
優しい・可愛い
自然(花、緑、カラフルな建物)
元気
青空、鮮やかな海
儚い
 
夕日、海、花火
クール
 
無機質な建物、夜の街

室内や暗所は自然光を利用した撮影が難しいため、初心者には難易度が高め。まずは屋外での撮影がおすすめです。

「テーマ」と聞くと、難しいと思うかもしれませんが、最初のうちはモデルと何を合わせたいのか、というおおよそのイメージを考えるだけでもよいでしょう。

緑を背景に入れる

簡単に取り入れられるコツとしておすすめなのが「緑を背景に入れること」

公園や河川敷、道端などで見られる花や木を背景に入れてみましょう。

自然が背景になることで、清潔感が加わり、写真の雰囲気も明るくなります。

緑を入れる際のポイントは以下の2つ。

  • なるべく明るい色の葉を選ぶ
  • 木の幹ではなく葉を背景にする

なるべく明るい色の葉を選ぶ

イメージする雰囲気にもよりますが、背景に入れるのは、松の木など葉の色が暗いものではなく、サクラの木など葉の色が黄緑色寄りの明るいものを選ぶのがおすすめ。

柔らかい印象のポートレート写真が撮影できます。

木の幹ではなく葉を背景にする

木の幹付近に被写体を配置すると、背景が茶色の木の幹になってしまい、暗い印象になります。

反対に、葉が多くある木の枝先に被写体を配置すると、背景に葉が多くなるため、背景に緑が増えてより綺麗な写真にすることが可能です。

背景と被写体の距離をあける

ポートレート撮影では、背景をボカすことがポイントと前述しました。

背景をボカすためには、F値だけではなく背景と被写体の位置関係も大切。

背景と被写体の距離が離れるほど、カメラマンと被写体の距離は近づくほど、よりボケがでます。

そのため、狭い室内よりもスペースに余裕のある公園など、奥行きのある屋外の方がポートレート向き。

室内で撮影する際は、なるべく壁から離れて撮ることで綺麗にボカせます。

「首切り」をしない

首切りとは、被写体の表情にフォーカスして写す際、写真のフレームを首の位置で切ってしまうこと。

どことなく不安定で、違和感のある印象になってしまうため、首切りはタブーとされています。

表情をアップで写したい場合は、首や肩をしっかり入れて、おでこを切るのがおすすめです。

キャッチライトを入れる

テレビや雑誌で、モデルの瞳に映る白くて丸い光を見たことはありませんか?

その光のことを「キャッチライト」と呼びます。

キャッチライトはうるっとした瞳に見せる効果があり、モデルの魅力を引き出すことが可能。

キャッチライトを入れるには、被写体の目線の先に白い紙を出したり、白い手袋をしたりして撮影する方法があります。

たくさん撮影する

ポートレートは、モデルの表情や仕草、カメラの角度、撮影場所など少しの変化で印象が大きく変わります。

そのため、良いと思える写真が撮れるまで、試行錯誤しながらとにかくシャッターを切るのがおすすめ。

自分がイメージした通りの雰囲気か、ピントは合っているか、モデルの表情が良いかなど……。撮影した写真を確認しながら、たくさん撮ってみましょう。

モデルをリラックスさせる

モデルが緊張してしまうと、表情が硬くなってしまいがち。

普段から撮られ慣れている人でない限り、カメラを向けらえると緊張してしまうものです。

モデルの緊張を和らげて自然な表情を引き出すには、コミュニケーションが大切。

ポートレート撮影はカメラマンだけでなく、モデルとの共同作業です。

「こんなイメージで、こういうポーズをとってください」とガチガチに作り込むより、肩の力を抜いた方がモデルの良さを引き出せるはず。

撮影者側から話しかけたり、笑顔を向けたりするなど、モデルがリラックスして撮影に臨める雰囲気を作り出しましょう。

手前の目にピントを合わせる

モデルの目は、写真を印象づける重要な要素。

写真を見る人は、被写体の目を見て表情を読み取り、想像を膨らませます。

理想は両目にピントを合わせること。

しかし、顔がレンズに対して斜めになっているなど、構図によっては両目にピントを合わせられないこともあるでしょう。

どちらか片方にしかピントを合わせられない場合は、手前の目に合わせるのが基本。

手前の目がボケていると、ぼんやりとした印象になってしまいます。

光を上手く使う

ポートレートだけでなく、写真において光の当て方はとても重要。

光がどの角度からモデルに当たるのかを考えて、立ち位置を決めましょう。

光が被写体の後ろ、または斜め後ろから当たるようにすると、ふんわりと柔らかい印象で、モデルを際立たせることができます。

太陽はフレアやゴーストの原因となるため、フレームに入れないよう、なるべく半逆光がおすすめです。

逆に、被写体の正面に太陽光が当たる順光は、パキッとした写りになり、記念写真のようになってしまいがち。ただし、下記のように青空を綺麗に写したい場合は順光で撮影します。

光の当たり方によって写真の印象がどのように変わるのか、実際に撮影しながら確かめてみてください。

光を上手く使うことで、イメージ通りの写真を撮影できます。

玉ボケを活用する

丸い光が沢山写った、キラキラした写真に憧れますよね。

丸いぼんやりとした光は、「玉ボケ」と呼ばれるもの。

玉ボケは、光があればどこでも撮影することができます。

夕日に照らされた葉っぱや水辺に反射する太陽、イルミネーションのLED電球など、少しでもキラキラしていれば何でも構いません。

光が見つかったら、F値を小さくして光を大きくぼかしましょう。

F値が小さいほど、玉ボケを作ることができます。

玉ボケ

玉ボケを背景に、幻想的なポートレートを撮影してみてください。

ポートレート撮影におすすめなカメラの設定

ポートレート撮影におすすめの設定は以下の通りです。

設定項目おすすめの設定
撮影モードマニュアルモード
ISO感度AUTOに設定
F値F2.8やF4などF値は低めに設定
シャッタースピード1/250以上
ホワイトバランスイメージにあわせて調整

以下で、それぞれ詳しくご説明していきます。

撮影モード

撮影モードはマニュアルモードに設定

カメラ初心者の場合、AUTOに設定したくなるかもしれません。

撮りたい風景に合わせて自動でシャッタースピードやF値を設定してくれAUTOは、初心者でも気軽に撮影を楽しめる便利なモードです。

しかし、AUTOでは細かな設定ができない分、イメージ通りの雰囲気を撮影するのが難しいこともあります。

ポートレートの撮影では、「光」がとても重要な要素。光を上手く活用するには、マニュアルモードでの微調整が欠かせません。

コツさえ掴めばマニュアルモードでも難しくはないので、ぜひ挑戦してみてください。

ISO感度

ISO感度はAUTOに設定

ISO感度とは、カメラが取り込んだ光を電気信号に変換する際に、光の量をどの程度増幅するか調節する機能のこと。

マニュアルモードではISO感度を手動で調整することもできますが、ポートレート撮影では「AUTO」に設定しておくのがおすすめです。

AUTOなら、手動で設定したF値とシャッタースピードの値に応じて、適切な明るさになるよう自動で設定してくれます。

一瞬を切り取るポートレート撮影は、シャッターチャンスを逃さないことが大切。ISO感度はカメラに任せて、撮影に集中しましょう。

ただし、暗い場所での撮影時、ISO感度が上がりすぎている場合は注意が必要です。

ノイズのある写真
ノイズのない写真

※写真はイメージです

上記のように、ISO感度が上がりすぎると、ノイズといって写真がザラついてしまいます。

撮影データを確認してノイズがでている場合や、明らかにISO感度が上がっている場合は、シャッタースピードかF値で明るさを確保できないか確認しましょう。

機材の性能によってノイズの出る値は変わりますが、理想のISO感度の値は、500前後以下です。

▽さらに詳しくISO感度を学びたいかはこちらの記事がおすすめ▽

写真のISO感度とは?目安とノイズを避ける設定を解説
写真のISO感度とは?目安とノイズを避ける設定を解説

カメラでの撮影設定の一つである「ISO感度」とは何かを解説する記事です。撮影時の値の目安や、ノイズを避けるために知っておくべき設定と撮影方法について紹介します。

GOOPASS MAGAZINE|カメラ・レンズ...

F値

F値はF2.8やF4など低めに設定

ポートレート撮影で大切なことは、背景をボカすこと。

特に、ゴチャゴチャした背景がしっかり写っていると、被写体の印象が薄まってしまいます。

※写真はイメージです

そのため、被写体以外の余計な情報を程よくボカすことで人物を際立たせるのがポイント。

F値をF2.8~F4前後に低く設定して撮影すると背景がボケます。

F値を高くすると全体にピントが合うため背景までくっきりと写り、低くするとピントが合う範囲が狭くなりピント面以外はくっきり写りません。

ちなみに、ボケを出す方法は、F値の設定以外にも以下のような方法もあります。

  • 被写体と距離を近くして撮る
  • 被写体と背景の距離を離す
  • 焦点距離の長いレンズで撮影する

▽さらに詳しくF値を学びたいかはこちらの記事がおすすめ▽

シャッタースピード

シャッタースピードは1/250秒以上に設定

ポートレート撮影は、手持ちで行なうことが多くなります。

光が当たる角度やモデルの表情に合わせて、様々な画角から撮影するためには、撮影者側が適宜動く必要があるからです。

※写真はイメージです

シャッタースピードの設定を誤って手ブレしてしまうと、写真がピンボケ(ピントがズレてあっていない)します。

カメラの背面モニターで確認したときには気づけず、撮影が終わってから失敗に気づくことも少なくありません。

そこで、手持ちでもブレずに撮影するために、おすすめするシャッタースピードは、初心者の場合1/250秒以上。

撮影に慣れてきたら、手ブレしない値まで少しずつスピードを速めてみても良いでしょう。その分ISO感度を下げることができ、クリアな写真にできます。

ホワイトバランス

イメージにあわせて調整

ホワイトバランスとは、太陽や人口照明など被写体に当たる光の種類によって色味を調整し、白を白く写すための機能。

いくつか種類のあるホワイトバランスを変更することで、イメージに近い写りにすることができます。

ホワイトバランスの種類は、自動で設定してくれるAUTOをはじめ、「太陽光」「電球」「曇天」などメーカーによって様々。

このとおり、太陽光など暖色系なら柔らかな印象に、電球など寒色系ならクールで引き締まった印象に、意図的に写真の印象を変えられます。

撮りたいイメージによってホワイトバランスを調整しましょう。

ポートレート撮影におすすめのレンズ

ポートレート撮影は、あらかじめテーマ・イメージとともに使用するレンズも決めておくのがよいでしょう。

一般的にF値の低い単焦点レンズがポートレート向きであるといわれています。理由は被写界深度を下げて背景をぼかしやすいから

焦点距離が動かせないため使いづらさを抱く方もいるかもしれない単焦点ですが、ポートレートは被写体との距離を自由に詰めやすい撮影です。そのため、ズームのできない単焦点であっても不便を感じることは少ないでしょう。

ポートレートで多用される焦点距離と、仕上がる写真のイメージをまとめました。

  • 35mm…広角域、または標準域とも呼ばれる。周辺状況を入れやすく、全身撮影にも向いている。室内など狭い場所でも使いやすい。
  • 50mm…標準域。ポートレート撮影ではポピュラーな焦点距離。人の視野と近いため自然な印象を受ける。
  • 70~85mm…中望遠域。やや圧縮効果が働き、人の目で見ている風景とは異なる画になる。背景のボケ量も豊かになり、ポートレートでは人気。
  • 100~135mm…望遠域。背景を大きくぼかしたいときに効果的。圧縮効果で遠くのものが近く見える。狭い場所ではやや使いづらい。

焦点距離ごとのおすすめ

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まずは身近な人でポートレートを撮ってみよう!

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テーマやイメージを決めてから、構図を考える…。ふとした瞬間にカメラを向けるスナップより「作品」としての色が濃いポートレート撮影ですが、その分思い描いていた1枚が撮れたときの喜びは大きいはず。

ポートレートをはじめたい方は、難しく考えずに身近な友人や恋人、家族をたくさん撮ってみるところからはじめるのがよいでしょう。

撮っていく中で「こういう風に撮りたい」「この写真のここがよかった、だめだった」という問題点がきっと見えてきます。ポートレート撮影をする最初の一歩として、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

今回は基本的なポイントを紹介しましたが、そのほかにもポートレートをより綺麗に、かっこよく仕上げるコツがあります。さらに詳しく知りたい方は下記記事をご参照ください。

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