GOOPASS MAGAZINEをご覧の皆様、こんにちは。
GOOPASS MAGAZINE編集部のchinoです。
今回の記事では、SIGMA(シグマ)様(以下、敬称略)よりお借りした「20mm F1.4 DG DN | Art」を実写レビューします。
2022年8月26日に発売された単焦点レンズ・20mm F1.4 DG DN | Art。
「究極の星景レンズ」と銘打つ本レンズは、発売前から星景撮影(星空と風景を絡めた撮影)をする人々の間で注目されていました。
星空を主な被写体にしている私も例外ではありません。
そこで今回は、星空の撮影を中心に20mm F1.4 DG DN | Artのレビュー記事を書きました。
「星景レンズの決定版」に異論なき性能だったので、ぜひ詳細を読んでみてください。
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目次
20mm F1.4 DG DN | Artの作例写真
まずは、作例写真をご覧ください。星景写真を中心に10点ご紹介します。
カメラはα7Ⅳを使用。また、本作例はスタック処理(合成)などを用いていない1枚撮り写真です。

ISO:3200 F値:1.6 SS:13

ISO:5000 F値:1.4 SS:13

ISO:4000 F値:1.4 SS:13

ISO:2000 F値:1.4 SS:13

ISO:2000 F値:1.4 SS:15

ISO:2500 F値:2.2 SS:8

ISO:100 F値:11 SS:8(使用カメラ α7RⅢ)

ISO:250 F値:6.3 SS:1/125
最短撮影距離は23cmと寄れるレンズですが、今回はあまり近接撮影の機会がありませんでした。

ISO:200 F値:9 SS:1/200

ISO:200 F値:9 SS:1/20
星景はもちろん、20mmの画角は空と風景を合わせて写すのにちょうどよいバランスだと改めて感じました。
特に、縦構図が作りやすい画角です。カラマツなど細長い針葉樹を撮ると、より高さを強調する写真に仕上がります。
風景と星空を合わせた場合は、メインとなる星座などがはみ出ることもなく且つ小さすぎず収められました。
しかし、冬のダイヤモンドを入れるには狭い画角なので、秋~冬にかけての撮影は超広角レンズと併用するのがよいかもしれません。
20mm F1.4 DG DN | Artの基本スペック

画像提供:株式会社シグマ
20mm F1.4 DG DN | Artの基本スペックをご紹介します。
| 製品名 | 20mm F1.4 DG DN | Art |
| 対応マウント | ソニーEマウント・Lマウント |
| 焦点距離 | 20mm |
| F値 | F1.4~F16 |
| レンズ構成 | 15群17枚 |
| 最短撮影距離 | 0.23m |
| 最大撮影倍率 | 1:6.1 |
| フィルター径 | 82mm |
| 長さ | ソニーEマウント:87.8mm×113.2mm Lマウント:87.8mm×111.2mm |
| 質量 | ソニーEマウント:635g Lマウント:630g |
| 付属品 | ケース ロック付花形フード(LH878-04) フロントキャップ(LCF-82 Ⅲ) リアキャップ(LCR Ⅱ) ガイドプレート (GP-21) |
| 希望小売価格 | 152,900円(税込) |
SIGMAのレンズはArt・Contemporary・Sportsの3つのプロダクトラインのいずれかに分類されます。
20mm F1.4 DG DN | Artは、光学性能に重きを置いたArtラインレンズ。
高い描写性能で緻密な作品づくりをしたい方におすすめのラインです。
余談ではありますが、私は初めて購入した単焦点レンズがSIGMAのArtラインでした。引き締まった描写力に感動して以来、ずっとArtラインのレンズがお気に入りです。
20mm F1.4 DG DN | Artのおすすめポイント
開放F1.4から使える点像再現性・解像感
レンズ構成は15群17枚。大型の両面非球面レンズなどを使用し、諸収差を抑えました。
星空撮影のレンズを検討する際、絞りの開放値(明るさ)を重視します。とはいえ、ただF値が低ければよいというわけでもありません。
大口径の広角レンズは周辺部で収差が出やすく、特に星像が鳥のように歪むサジタルコマフレアが問題視されます。
開放で出やすいため、せっかくF1.4などの明るいレンズが手に入っても、結局1~2段絞っての撮影がほとんどでした。
そんなサジタルコマフレアが、20mm F1.4 DG DN | Artでは大幅に抑制されています。
以下は、F1.4、F2、F2.8の周辺部を拡大比較した画像です。
露光秒数の関係で星が流れてはいるものの、星像は円形を保っています。
また、従来モデルの20mm F1.4 DG HSM | Artと周辺部の写りを比較してみました(同構図の写真ではありません)。
20mm F1.4 DG HSM | ArtはF1.8でも横に伸びて崩れた星が見られますが、20mm F1.4 DG DN | Artではそのような星がほとんどありません。
従来モデルからの進化がうかがえます。
もちろん絞った方がより綺麗な点になりますが、私は開放から問題なく使用できると判断しました。
星景撮影において「明るさは正義」といえるくらい、開放F値が使えるのは大きなアドバンテージだと思っています。
理由は写真が明るくなるだけに留らず、F値で明るさを稼げる分、低感度撮影と速いシャッタースピードを用いた撮影が可能になるためです。
低感度でノイズの少ない写真が撮れる
開放が使用できると、その明るさ分だけISO感度を増幅させずに適正露出が得られます。
暗い撮影地で前景を写すために、F値の高いズームレンズなどではISO8000~10000で撮影する場合もあります。高感度撮影で出てくるのが、ノイズや画質劣化の問題でした。
ISO感度は(常用範囲内であれば)低いほどノイズを減らせるので、星空撮影においても基本的には感度を抑えられるに越したことはありません。
実際に20mm F1.4 DG DN | Artで撮影した写真の多くは、開放~F2のF値を使いISO1600~4000ほどに抑えられました。
速いシャッタースピードを採用できる
開放が使える2つ目のメリットは、シャッタースピードの短縮です。星景撮影では明るさを保ちつつ星がブレないよう、私は20mm前後で15秒ほど露光します。
しかし、15秒程度のシャッタースピードが使用できないときもあり、それが前景に動体を配置した場合です。
たとえば下の写真は水面に浮かぶボートを入れた写真ですが、波に合わせて絶えず動いたので13秒のシャッタースピードではブレてしまいました。

ISO:3200 F値:1.4 SS:13
同様な例として、星空ポートレートも10秒以上モデルさんが静止しているのは大変かと思います(愛犬と星空を撮ろうとしている方を見かけたこともありますが、だいぶ苦戦していました笑)。
F値で明るさが稼げれば、シャッタースピードが短縮できます。
同じ構図を、シャッタースピード5秒まで縮めてみた写真が次です。

ISO:6400 F値:1.4 SS:5
ボートの位置はイマイチですが、ブレは軽減できました。ISOは6400まで上げているものの、それでも5秒の露光で天の川も写っています。
20mm F1.4 DG DN | Artの明るさがあったからこその挑戦でした。
人物、動物、花など……。短いシャッタースピードが使えれば動きやすい被写体も入れられるので、以前より作品にバリエーションを持たせられそうです。
大口径ながら小型・軽量![]()
重くなりがちな大口径レンズですが、20mm F1.4 DG DN | Artは約635gに収められています。
従来モデルの20mm F1.4 DG HSM | Artは約1015gで、380gの軽量化に成功しています。手に持って比べると、違いは歴然です。
個人的に800gを下回ると、日常使いがだいぶ楽だと感じます。
全長に関しても、およそ10cmほどの111.2mm。20mm F1.4 DG HSM | Artが155.8mmなので、こちらも4cmほど小型化されました。

左:20mm F1.4 DG DN | Art 右:20mm F1.4 DG HSM | Art
レンズフードを着けると同じくらいではありますが、20mm F1.4 DG DN | Artはレンズフードが着脱式で、持ち歩く際には問題ありません。
スペックから考えると、よくここまで軽量化ができたと驚くばかりです。
星景撮影は三脚が必須になるため荷物が増えがちで、少しでも軽量化したいと常日頃考えています。
大口径・優れた描写性能・小型軽量の3点が揃ったとなれば、スタメン入りをさせない理由がありません。
リアにもフロントにもフィルター装着が可能
出目金レンズではない点に感動しました。
出目金レンズとは、前玉がドーム状に膨らんだレンズを指し、超広角や魚眼レンズでよく見られる形状です。
出目金レンズのデメリットは主に2つあり、一つがレンズがむき出しになっている点。そしてフロントフィルターは角形しか使えない点です。
保護フィルターも着けられないのでレンズが傷つく可能性も高く、気を遣います。
また、フロントにフィルターを着ける場合は角形の選択肢だけで、荷物が増える難点もありました。
角形フィルターは結露や凍結を防ぐのが難しく、星空撮影ではあまり使いたくないというのが本音です。
しかし、前玉が出ていない20mm F1.4 DG DN | Artでは上記のような点に悩まされません。今回はフロント部分にソフトフィルターを着けて多くの作品を撮影しました。
さらに、リア部分にはシートタイプのソフトフィルターを挿入できるホルダーがついています。

以前にもホルダーを後付けしてくれるサービスにより、リア側にフィルターが着けられるレンズはありました。
ですが郵送が必要だったりキヤノンマウント限定だったりと、制限がありました。
そのため、両面テープなどで無理矢理リア部分にフィルターを貼り付けていた方もいるのではないでしょうか(推奨されていません)。
デフォルトでホルダーがついている20mm F1.4 DG DN | Artは、簡単にリアフィルターが装着可能です。装着用のフィルターも、ガイドプレート(GP-21)に沿って切るだけ。


シートフィルターの一例と、GP-21に沿って切り出した後
たとえば光害の強い場所ではフロントに光害カットフィルター、リア部分にはソフトフィルターを着けるなど、フィルター装着の選択肢が増える点はうれしいですね。
フォーカス操作を無効化するMFLスイッチ

MFでピント合わせをしてからMFLを有効にすると、その後のフォーカス操作が無効化されるシステムです。
星空撮影ではMFで1度ピントを合わせても、構図の微調整時やレンズヒーターを巻く際などに手が触れてズレてしまうことがあります。
昼間の撮影であれば気づきやすいピントズレも、闇の中ではなかなか気づけません。
PCのモニターで見たらピンボケしていた……なんて苦い経験も。
そんな意図せぬピントズレを防止するのがMFLです。一度ロックするとフォーカスリングに触れても問題がないので、ピントズレを気にせず撮影に集中できました。
レンズヒーターリテーナーが予期せぬケラレを防止
星景撮影を意識したレンズだけあり、一般的な撮影ではあまり意識しない点にも細やかな配慮がされていると感じました。
その最たる例がレンズヒーターリテーナーです。

星空を撮影する夜間や高地では、多湿・低温によりレンズが曇ったり凍結したりする場合があります。
対策としてレンズヒーターを使用しますが、レンズやヒーターの種類によっては気づかぬうちに前側へはみ出し、ケラレを作る原因になっていました。
20mm F1.4 DG DN | Artはレンズのフロント部分に段差を設け、レンズヒーターのズレを防ぎます。レンズヒーターの種類は布タイプでもコードタイプでも有効でした。

また、フードの一部がゴム製になっています。レンズヒーターをフード側まで被せた場合でも、ゴムの構造で滑りにくさを感じました。
20mm F1.4 DG DN | Artを手に入れる方法
20mm F1.4 DG DN | Artは、SIGMA Online Shopや家電量販店などで購入できます。
希望小売価格は、ソニーEマウント・Lマウントともに152,900円(税込)です。
SIGMA Online Shopでは、137,500円で販売されています。
GOOPASSでレンタルする
カメラ機材のレンタルサービス・GOOPASSでは、20mm F1.4 DG DN | Artをレンタル可能です。
「購入するのは迷っている」「実際に使ってみてから決めたい」という方は、1度レンタルで試してみるのはいかがでしょうか。
まとめ

今回は星景撮影を中心に20mm F1.4 DG DN | Artをレビューしました。
高い光学性能、600g台の携帯性に加え、MFLスイッチやリア・フロント部分へのフィルター装着など、細部に至るまで考え抜かれた1本です。
「こんなレンズが欲しい!」という望みを集約して実現してくれたと言っても過言ではありません。
Artレンズらしいキレのある描写、なにより周辺部での収差がほとんど見られない点には驚かされました。
もちろん防塵防滴をはじめとする堅牢性、逆光耐性など、今回は触れなかった点に関しても文句なしの性能です。
小型化されたボディと汎用性のある画角も含め、今後は星空を撮影するレンズの代表格になっていくでしょう。
すでに星景撮影に親しんでいる方から、初めて星空を撮影する方まで幅広い方におすすめできるレンズです。
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