単焦点レンズは風景写真撮影でメリットが多く、風景写真家が好んで使うレンズです。
特に近年は高画素のフルサイズミラーレス一眼が開発されたことで、風景撮影で単焦点を使うメリットが増えています。
では具体的に風景撮影で単焦点レンズ使う理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
本記事では単焦点レンズの特徴や魅力、風景撮影のコツを解説します。風景撮影をはじめるきっかけとして参考にしてみてください。
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目次
風景撮影において単焦点レンズが優れているポイント

単焦点レンズとは、2倍ズーム、3倍ズームなど幅広い焦点域をカバーできる便利なズームレンズとは違い、焦点距離が固定されたズームのできないレンズです。
単焦点レンズは画角が変えられないことから、一見すると不便なレンズと思われますが、風景写真家の多くが単焦点レンズを撮影に採用しています。
単焦点レンズが風景撮影に優れているポイントをみていきましょう。
ズームレンズに比べて軽い
まず挙げられる単焦点レンズのメリットは、「軽い」ということです。
構成するレンズの枚数が少ないので、より明るいレンズを軽量コンパクトに持ち歩くことができます。
例えば、CanonのRF24-70mm F2.8 L IS USMは約900gであるのに対して、RF50mm F1.8 STMは約160gしかありません。
使用レンズ枚数の少なさは価格にも反映されます。
もちろん、高性能な大口径単焦点レンズの場合はズームレンズに近い重量のレンズもありますが、光学性能と重さ、価格のバランスは単焦点レンズが抜群です。
明るい写真が撮れる
明るい写真が撮れる点も単焦点レンズが風景撮影に使われるメリット。
単焦点レンズは開放F値(最小にできるF値)が小さいものが多く、絞りをそれだけ大きく開放できるので描写性能が高く、光を多く取り込んだ明るい写真が撮れます。
F値を下げて明るくした写真は背景が大きくボケる点が特徴。
写したいものにフォーカスし、不要な要素をボカすことで、主題が明確になります。
また、夜景など光量不足の場所でも、F値が小さいとその分ISO感度を下げられるので、ノイズの少ない鮮やかな写真を撮ることができます。
画質が良い
ズームレンズとは違い、倍率を変えるためのレンズ群が不要になり、1つの焦点距離に最適化された光学設計であることも単焦点のメリット。
例えば24-70mm F2.8のズームレンズの場合は15群21枚ものレンズを使用しているのに対して、ズーム機構がない50mm F1.8の単焦点レンズは5群6枚というシンプルな構成。
単焦点レンズはズーム機構がない分、光がレンズを通過するときに起こるズレ、収差が少なくなります。
収差はレンズを通過すると必ず発生するもので、抑えるために別のレンズを組み合わせたり、特殊な素材を使ったレンズで補正したりすることが必要です。
ズームレンズはズーム機構に使われているレンズの分も補正が必要なので、より複雑な光学設計が求められます。
その点、単焦点レンズは焦点距離が固定なので、光学設計はシンプル。
もちろん中には、多くのレンズで精密に光の屈折をコントロールして収差を補正することで、ズームレンズよりもさらに一段回高い描画力を実現しているレンズもあります。
たとえば、シグマが発売している50mm F1.4 DG DN | Artは、単焦点レンズとしては11群14枚と多くのレンズを使った高級レンズで、単焦点レンズならではの描画力を追求しています。
この様にズームレンズでは実現できない非常に描画力が高いレンズが発売されているということも単焦点レンズを風景撮影で使うメリットです。
風景の撮影の技術が上がる
単焦点レンズは画角を変えられないので、一見すると不便なレンズです。
しかし、その不便さは写真技術の大切な部分を鍛えてくれます。
単焦点レンズでの撮影では、主題となる被写体を決められた画角のどこに置くのかという構図作成への意識を高く持つのがポイントです。
被写体との距離感も足で動いて測る必要があるので、距離感によって変わる被写体のイメージを掴むことができます。
画角が固定された単焦点レンズだからこそ、それを活かすための写真を作る発想力が鍛えられます。
風景撮影に適した単焦点レンズの種類

一口に単焦点レンズと言っても、さまざまな焦点距離のレンズがあります。
風景撮影に適した焦点距離はどのような数値か、撮影スタイルにあった焦点距離の選び方を解説していきます。
20~24mmレンズ
焦点距離20〜24mmの広角単焦点レンズは風景撮影でよく使われる画角のレンズ。
目の前に広がる雄大な景色を全て収めるには広い画角が適しているからです。
焦点距離が短く画角が広いレンズは、歪みと周辺部の流れが発生するのが弱点で、14mmなどの超広角レンズの場合、直線が曲線に歪む歪曲収差が発生したり、写真の周辺部の解像力が極端に落ちたりします。
一方で20〜24mmぐらいの広角レンズであれば、歪曲収差も抑えられ、周辺部までしっかりと描写できる光学設計のレンズが、手ごろな価格でも入手できます。
風景撮影で広角レンズを使うならまずは20~24mmの単焦点がおすすめです。
35mmレンズ
35mmの焦点距離は、「広角の終わり、標準のはじまり」と言われます。
広角レンズのようなパースの効いたイメージも残しつつ、標準域の見た目に近い写真が撮れる点が特徴。
35mmの画角はスマホカメラの画角に近いことから、馴染みもあり、最初の単焦点レンズとして選ばれやすいレンズでもあります。
馴染みのある画角は、旅先や散歩へ出かけたときにスナップ的な風景撮影をするのに最適です。
この35mmと次に紹介する50mmの単焦点レンズは、多くのメーカーが多様な交換レンズを発売しています。
低価格で購入できるものから、非球面レンズなどの高コストレンズを贅沢に使った高級レンズ、最短撮影距離の短いマクロ性能を持ったレンズなど、選択肢の多さも35mm単焦点レンズの魅力です。
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50mmレンズ
「人の見た目に近いレンズ」と称されることが多い、50mmの単焦点レンズ。
人間の視界は50mmのレンズの画角より広いですが、意識して見ている視界は50mmが近いとされます。
そのため、見たままのイメージで撮影できることから、標準レンズと呼ばれます。
また、広角レンズの様に遠近感が強調されるパースも強くなく、望遠レンズで見られる、前後の背景が詰まって見える圧縮効果もありません。
自然な写真となることも、標準レンズと呼ばれる理由です。
50mmの単焦点レンズは全長が短いコンパクトなレンズも多く、視野角に近いことから、街歩きをしながらのスナップ撮影に使われたりもします。
50mmの単焦点レンズは各メーカーから、「撒き餌」と呼ばれる低価格で購入できるレンズが多数発売されています。
たとえば、SONY FE 50mm F1.8(SEL50F18F)はSONYが発売してるフルサイズミラーレスEマウント用のレンズで、3万円前後で購入可能。
50mmの単焦点レンズは使い勝手も良く、コスパの良さもあるのではじめての単焦点としておすすめのレンズです。
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85mmや135mmレンズ
中望遠の85mmや135mmの単焦点レンズはポートレートレンズと呼ばれます。
同じF値の場合、焦点距離が長い中望遠レンズの方が広角や標準レンズより大きなボケを得られ、主題を浮かび上がらせることができるためです。
ただ、ポートレート専用ではなく、風景撮影でも中望遠の単焦点レンズは活躍します。
より狭い画角で主題にクローズアップした写真を取りたいときや、圧縮効果を使って見た目とは違った印象の写真を撮りたいときなどが中望遠の単焦点レンズの出番。
圧縮効果は、望遠レンズで撮影したときに起こる、遠近感が薄くなる効果です。
花畑の風景を撮影するきは、この圧縮効果を利用することで、花と花の距離感が近く感じられる写真となり、より花の密集度が高い写真が撮れます。
ちなみに上記であげたフルサイズ対応50mmの単焦点レンズは、APS-C一眼に装着した場合、フルサイズ換算で約80mm相当。
APS-C一眼に装着した50mmは85mmの単焦点に近い使用感です。
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単焦点レンズを用いた風景撮影の撮り方

デジタル一眼に単焦点レンズを装着して撮影する場合、カメラのAF設定や手ブレ補正はどのように設定すれば良いか解説します。
シングルAF、ワンショットAFでピント位置を固定
デジタル一眼のオートフォーカス、AF機能は大きく分けて2つあります。
1つはシングル、ワンショットと呼ばれるAF。
AF-ONボタンを押すか、シャッター半押しすると、その時の被写体の位置にピントを固定するモードです。
もう1つはコンティニュアスやサーボAFと呼ばれ、動いている被写体を追いかけ続けるAFモード。
風景撮影ではAF位置を固定したいので、シングルショットAFがおすすめです。
一眼レフの場合はAFポイントが中心に寄っているので、「フォーカスロック」というテクニックを使い、一度フォーカスを合わせてからフォーカス位置をキープし、アングルをずらして構図を作る撮影を行ないます。
ミラーレスの場合はほぼ画面全体にAFポイントがあるので、フォーカスロックはあまり使われなくなりました。
ミラーレスでは構図を作り、主題となる被写体にあったAFポイントを選びシャッターを押すという手順です。
三脚使用時は手ブレ補正を切る
風景撮影では動きのあるスポーツ撮影などとは違い、三脚でカメラを固定してじっくりと撮影することが多くあります。
三脚使用時は手ブレ補正を切ることがポイント。
手ブレ補正は搭載されたジャイロセンサーでブレの情報を検知してブレを補正しますが、三脚固定時は、写真のブレに影響のない微妙なブレを検知して補正してしまうことがあります。
本来、三脚撮影時はしっかりと固定できていればブレは発生しませんが、写真に影響のないブレをカメラが強引に補正しようと動作した場合に逆にブレてしまうことがあるので、手ブレ補正はOFFにしましょう。
風景撮影のテクニック

単焦点レンズを活用して風景撮影をするにはどのような撮り方があるのでしょう。
単焦点レンズを使った風景撮影テクニックを紹介します。
背景をぼかすテクニック
レンズは、絞りの大きさを表すF値が小さい、絞りが大きく開けられた状態であるほど多くの光を集めて像を結ぶことが可能。
多くの光を集めて結ばれた像はピントが合っている部分はシャープに、それ以外の部分は大きくボケます。
そのためズームレンズより開放F値が小さな単焦点レンズは絞りが大きく開かれ大きなボケを作ることができるのです。
絞り優先モードでF値を小さくする
大きなボケを活かして撮影するには、「絞り優先モード」を使用します。
絞り優先モードでは、F値を変更するとそれにあわせてシャッタースピードやISO感度をカメラが決めてくれます。
絞り優先モードでピントが合う範囲の広さ、被写界深度をコントロールして、ボケの大きさを変えることができます。
被写体に近づく
ボケ量を決める要素はF値のほかに、背景と被写体の距離関係です。
カメラと被写体、被写体と背景の距離の比率によってもボケの大きさは変化します。
被写体に近づいて撮影することで背景のボケは大きくなります。
ズームレンズで撮影していると、つい足を止めてズームに頼りがちになりますが被写体との距離感を前後に動いて調節するのは大切な作業です。
写真の構図を利用するテクニック
画角が固定の単焦点レンズでは、構図パターンを利用して最適な構図を採用しましょう。
風景撮影に使われる構図パターンを紹介します。
三分割法

三分割法はよく使われる構図法です。
写真を縦横三分割する線を引き、縦横の線の交点、4点どこかに被写体を置く構図。
中心からずらして被写体を置くことで、片方の空間に広がりが生まれ、ストーリー性が高まります。
その空間の広がりをバランスよく生み出してくれる構図が三分割法です。
三分割法は風景以外にも、ポートレートやテーブルフォト、スポーツなどあらゆる撮影シーンで使われます。
三分割法の風景撮影での活用例としては、花を交点上に置いたり、水平線もを横線に合わせたりという方法です。
三角構図

三角構図は文字通り、写真の中に三角形を作り出すことで、写真に安定感や奥行き、高低差などを表現することができる構図。
富士山やピラミッドは輪郭そのものが三角形なので、そのまま中心に据えることで安定感のある写真になります。
ビル群や森林の撮影では、広角レンズでビルや木々の輪郭が三角形になるように撮影すると、ビルの高さがより感じられる構図に。
また、三角形の頂点には視線を集める効果があるので、その頂点に被写体を置くことで注目させるという使い方もできます。
対角線構図

対角線構図は、対角線上に被写体を並べたり、対角線にラインを作ったりする構図。
写真に動きが出るので、ダイナミックな印象を与え、テンポ良く並ぶ被写体にリズム感が生まれます。
道路や線路を斜めに対角線上に配置することで、躍動感ある風景写真に。
花壇に並ぶ花を対角線上に配置するとリズム感が出ます。
対角線構図を風景写真に使う場合は注意点もあります、無理やり対角線上に配置すると水平がとれていない違和感ある写真になることもあります。
対角線構図は自然な形でフレーミングするのがポイントです。
額縁(トンネル)効果

写真の周辺部に木や窓枠などを配置し、中心に配置された主題となる被写体を引き立てる構図。
額縁構図、トンネル構図、フレーム構図などと呼ばれます。
額縁になりやすいものとしては、窓やトンネル、建築物などの人工物や、木や枝など自然が作り出した額縁があります。
シンメトリー構図

シンメトリー構図は対称性の美しさを利用した構図です。
左右・上下対称になるように被写体を配置することで、人間が本能的に対称性に対する美意識を引き出します。
風景写真では、建築物など人工物は対称性を持ったものが多いので、シンメトリー構図との相性は抜群。
道路も左右に同じ景色が広がっている場合は対称性を生み出すキーとなります。
自然物では、水面を鏡にして上下対称にする手法もあります。
他には富士山など対称性の高い自然物を見つけたときにこの構図を利用することで安定感と共に被写体のもつ綺麗なフォルムを引き立てる写真を撮ることができます。
風景撮影は単焦点レンズでもっと豊かな表現を

風景撮影は単焦点レンズを使うことで、シャープなピント面と豊かなボケ味でより立体感のある写真を撮ることができます。
また、ズームに頼らず設定や画角、フレーミングなどを工夫する癖が付くので撮影者を育てるレンズです。
風景撮影をはじめるときは単焦点レンズを使うと、撮影者もレベルアップできるでしょう。
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単焦点レンズといえども、高性能なレンズの購入にはそれなりのコストがかかるので、まずは「レンタル」で試してみるという方法をチェックしてみてください。
複数の単焦点レンズを試してみることで、自分のスタイルに合ったお気に入りの1本が見つかります。
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