▲焦点距離:39mm 絞り:F/22 シャッタースピード:1/6 秒 ISO感度:50
SONY α1と駆け抜けた、1ヶ月間のGOOPASS生活。異質な世界を切り撮る旅の先に待っていたのは、新しい自分との出会いだった。これがこの旅の、そして私が体験した、
“GOOPASSのある世界”の要約である。
目次
「スキマ」を探す1ヶ月
長野県から大都市、大阪へ。私は、映像制作を学びに大学へ進学した。今は見るのも作るのもドキュメンタリーばかりの日々を送っている。写真を始めたのも、より良い映像を撮れるようになりたかったから。ひとまず受講した写真の実習で、基本的な知識を押さえ、それを活かせればいいと軽く考えていた。
ところが、奥深い芸術の前で、私はどんどん写真にのめり込んだ。そんな時降ってきたのが、GOOPASSコラボの話だ。プロも使う世界最前線の機材に触れられる、またとない機会。私は、実習の先生に聞いた最強機材「α1 ILCE-1 ボディ(約90万円)」と、自分で決めたレンズ「FE 24-70mm F2.8 GM SEL2470G(約30万円)」を選んだ。これらの機材は合わせて100万円を超える。さすがに無理かと思ったが、なんとお借りできてしまった。実際手にしてみると、感動よりも思わず武者震いがした。

▲焦点距離:39mm 絞り:F/22 シャッタースピード:1/6 秒 ISO感度:50
改めて、ここは大阪だ。長野の長閑な地域で生まれ育った自分にとって、人生初の都会暮らしの舞台である。今までの生活とは大きく隔たる、異質とまで思える生活の中で、自分の人生から自分自身が置いていかれたような気持ちになった。まるで世界にスキマが現れたかのように。
この「スキマ」を捉えたい。こうして、自分なりの一枚を収めるべく、1ヶ月間のスキマ探しが始まった。
都会のスキマ

▲焦点距離:39mm 絞り:F/22 シャッタースピード:1/6 秒 ISO感度:50
発達した交通網に、次から次へと出てくる商品、最近話題のデリバリー。同じ日本とは思えない暮らしだ。しかし利便さや手軽さにはすぐ慣れる。馴染めないのは人の多さだった。住み始めた頃からずっと、人の目が気になるのだ。

▲焦点距離:40mm 絞り:F/4.0 シャッタースピード:1/125秒 ISO感度:640
もちろん、誰に見られている訳でもない。梅田の街を歩く時、すれ違う人々のことなんて見ない。プラカードを掲げて大声で訴える人がいても、家に帰って思い出すこともない。都会では皆、互いの顔を知らず、二度と会うこともないまますれ違っている。

▲焦点距離:40mm 絞り:F/4.0 シャッタースピード:1/125秒 ISO感度:640
誰も私のことを知らないし、誰も私のことを見ていない。自分はここにいるのだけれど、存在が透明になっていく。
当然、それは私だけではない。皆が「気づかない」「気づかれない」透明な存在だ。都市は、途方もない数の透明な個人が集まって、スキマを繕いながら生活を編み込むことで成立している。

▲焦点距離:48mm 絞り:F/10 シャッタースピード:1/200秒 ISO感度:200
都会に生きる人々にとって、そんなことは当たり前なのだろう。だからこそたくさんの人々が、気にせず共に生きている。田舎で生きてきた私にとって、これが「都会のスキマ」だった。
夢中でシャッターを切ったスナップの数々。狙った一枚に限らず、偶然の一枚も、多くが人々の姿を収めようとしていたことに気づいた。
田舎のスキマ
そんな折、たまたま長野県の実家に帰省することになった。もちろんα1も連れていく。今の自分ならどんな写真が撮れるだろうか。長野らしい美しい自然写真もいいが、せっかくなら自分ならではの写真がいい。そう、例えば思い出を呼び起こすようなスナップ写真とか。そんな期待を膨らませながら、電車に乗り込んだ。
久しぶりに訪れた地元は、大阪より少しひんやりとしていた。わがままを言って両親に車を出してもらい、撮影ドライブに繰り出した。

▲焦点距離:32mm 絞り:F/13 シャッタースピード:1/125秒 ISO感度:100
最初の一枚はこれだ。誰もが思い描く長野だろう。幼い頃から何度も訪れている山に父と登って撮影した。

▲焦点距離:40mm 絞り:F/4.5 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:100

▲焦点距離:70mm 絞り:F/6.3 シャッタースピード:1/160秒 ISO感度:100
本当は自然を撮るつもりは無かったのに、フォルダを見返すとうまく撮れていたのは自然の写真ばかりだった。改めて過去の自分が、いかに生き生きとした緑に囲まれていたかに気づかされる。同時に、それらを当たり前のものとして通り過ぎていたことにも。

▲焦点距離:24mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/320 秒 ISO 感度:200
一方で、思い出の数々はあまり捉えられなかった。あのとき日が落ちるまで話した公園に、帰り道の空模様。同じ空間なのに、その存在自体を見つけられなくなっていた。今までの自分が当たり前のように見ていた世界は、その時だから見えていたものだったのだろう。
田舎から都会へ移り住んだからこそ、都会のスキマが見えたのだと思っていた。しかし田舎に戻ると、かつての視界は失われ、新たな世界が待っていた。雄大な山々から、道端の雑草まで。今の自分にとっては、溢れる自然は「田舎のスキマ」だった。かつての当たり前は、今では「異質」に感じられるほど遠い存在に変わっていた。
都会に行ったからこそ田舎のスキマも見えた。どちらも、間違いなく自分自身の見たスキマだった。
「スキマ」の隙間から
都会と田舎、それぞれで当然とされるはずのものを、あえて注視して切り撮る。そこから見えたのは、それぞれの違いだけではなかった。写真を撮るためにファインダーを覗いてシャッターを切る。そのときカメラは対象だけでなく、それを切り取る「私」自身にもシャッターを切っていた。
“GOOPASSのある生活”は、揺らぐことなく連綿と続いていると思っていた、自分自身の「隙間」にも気づかせてくれたのだ。

▲焦点距離:59mm 絞り:F/4.5 シャッタースピード:1/500 秒 ISO 感度:100
なんの思い出も、思い入れもない、自分のモノではないカメラ。だからこそより純粋に、自分の姿が、その変化が見えてくる。写真を撮るたび封じ込められる、そのときの自分。その瞬間だからこそ存在した、自分自身の隙間。
GOOPASSが提供するのは、単なる機材ではない。胸に刺さった一瞬の一枚と、それを収めた自分自身との出会いなのだ。
期限付きの相棒は、移りゆくあなたの「今」を残す手伝いをしてくれるはずだ。「あれもこれも使ってみたい」そんな人はもちろんだが、明確な理由は必要ない。少しでも興味があれば試してみてほしい。あなたの「今」は、今のあなたにしか残せないのだから。
著者プロフィール
西尾 遥(にしお・はるか)

高校時代、放送部での活動をきっかけにドキュメンタリー制作にのめり込む。大学でも制作を継続し、2020年は大学1年生とコロナというテーマで作品を制作。映像や写真が大好きなので隙あらば見まくっている。最近の悩みは、楽しい鑑賞ライフと共にもたらされた著しい体力の低下。健康な人間になりたい。








