撮影をしている中で、「背景を綺麗にぼかした写真を撮りたい!」と思ったことはありませんか?

実はボケ表現を好むのは日本人特有の感性で、海外でもボケ写真は『Bokeh』と呼ぶのだとか。

そんな日本人が大好きなボケ表現。ボケは被写体を浮き立たせるだけでなく、優しげな雰囲気を与える効果もあります。しかし、スマートフォンやコンパクトデジカメ(コンデジ)でボケ写真を撮ろうと思っても、うまく背景がぼかせなかった経験がある方は多いのではないでしょうか。

ボケ写真を作るには、いくつかの要素が存在します。そしてスマートフォンやコンデジは、その要素を満たすのが難しいため、ボケを綺麗に作るのには向いていません

一方で一眼レフやミラーレス一眼などのレンズ交換式カメラは、比較的簡単に背景をぼかした写真が撮影できます。その違いはどこにあるのでしょうか?

今回は、ボケを作る4つの要素とボケ写真を撮る方法について解説します。この記事を参考に、ぜひ印象的なボケ写真を撮ってみてください。

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ボケを作るうえで必要な4つの要素について

「どうして一眼レフやミラーレス一眼は背景がぼかしやすいのか?」「コンデジやスマートフォンではなぜボケを作るのが難しいのか?」を解説する前に、ボケ写真に必要な要素を説明します。背景をぼかした写真を作る方法が理解できれば、撮影に適したカメラやレンズも自然とわかるはずです。

背景や前景をボケさせるためには、以下の4つの条件が必要です。

  • 絞りを開く(F値を低くする)
  • 焦点距離を長くする
  • 被写体とカメラの距離を近くする
  • 被写体と背景の距離を遠くする

それぞれ1つずつ解説していきましょう。

絞り(F値)

まず絞りとは、レンズから入る光の量を調整する機能のこと。数値化したものを『F値』と呼びます。

▼F値についての詳細は下記をチェック

絞りを開くと、光を取り込む量が増えて写真は明るくなります。同時に通り道が広くなった光はレンズの周辺部も通過して、レンズを出て像を結んだあと周辺に大きく拡散していきます。この拡散量がボケ量の多さです。反対に絞りを絞る(F値を大きくする)と光の通り道は狭くなるため、光はレンズの中心部を通過します。よってレンズを出たあとの光の拡散量は小さくなり、比例してボケ量も少なくなるのです。

原理は少し複雑なので、絞りを開く=ボケやすいと最初は覚えておくだけでもよいでしょう。

絞りと写真の変化を表にまとめました。

焦点距離

焦点距離とは、レンズから撮像素子(センサー)までの距離のこと。焦点距離が短いほど画角が広くなり、焦点距離が長いほど画角は狭くなります。同時に、撮影位置が同じである場合に被写体が大きく写る特徴もありますが、それだけではありません。

焦点距離が長いほど、ピントが合っていない部分は撮像素子から離れた位置で結像します。つまり、焦点距離が長いほどピント位置の前後がボケやすいということ。焦点距離50mmより焦点距離100mmの方がボケやすくなります。

同じF値、同じ地点からの撮影であれば、焦点距離が長い方がより大きなボケ量が得られます。

▼焦点距離についての詳細は下記をチェック

被写体とカメラの距離

ボケ写真を作るには、被写体とカメラとの距離も重要です。被写体に近づくほど、ピント面以外がボケた写真が撮影できます

人間の目でも同じ現象が起きるので、試してみると理解しやすいでしょう。人間の目=カメラ、被写体=指と仮定して、腕をめいっぱいに伸ばしたところで人差し指を立てて目線を合わせてみてください。指にピントが合いつつも、周囲の景色はハッキリ見えているはずです(片目で行なうと見えやすい!)。これは写真でいうところの『パンフォーカス(全ての被写体にピントが合っていること)』の状態。

一方、目から10cmほど離したところに人差し指を立ててピントを合わせると、周囲がぼやけることに気づくのではないでしょうか。これは被写体に近づいて撮影しているときと同様の状態です。

絞り値が同じ場合、カメラは被写体に近づくほど、ピント面以外の部分を鮮明に描写できなくなります。この状態を『被写界深度が浅い』ともいいます。

被写体と背景(ぼかしたいもの)の距離

最後に、被写体と背景の距離と、ボケ量について解説します。ここでの背景はぼかしたいものの意味なので、前ボケの場合は背景ではなく前景です。

カメラはピント位置(被写体)から遠ざかるほどボケが大きくなる性質があります。そのため、ボケ量を増やしたい場合は、主題以外の要素をできるだけ被写体から離してあげるとよいでしょう。

逆に被写体と背景が近すぎる場合は、F値を絞ってもボケにくいので要注意です。

一眼カメラで背景をぼかした写真を撮る方法

前の章では、背景をぼかした写真を撮るうえで重要な4つの要素を解説しました。ここでは、実際に背景をぼかした写真を撮る方法を説明します。

具体的な方法は5つ。

  • 撮影モードを『絞り優先モード』にして絞りを開く
  • 焦点距離の長いレンズを使う
  • 単焦点レンズを使う
  • 被写体に近づく
  • 背景を遠くする

撮影モードを『絞り優先モード』にする

一眼レフ・ミラーレス一眼カメラでは、撮影モードが選択できます。ボケを作りやすく初心者でも扱いが簡単なモードが『絞り優先モード(Aモード、Avモードなど)』。F値を自分で決めると、カメラが適切なシャッタースピードを設定してくれるモードです。ISO感度は撮影場所によって適宜調節するか、手ブレが心配な場合はオートモードにしておきましょう。

絞り優先モードは明るさだけでなくボケ量もコントロール可能です。絞りを開いてF値を小さくすると、ピントが合う範囲が狭くなるため背景をぼかした写真が撮れます

しかし、ピントの合う範囲が狭くなるというのは、言い換えればピンボケのリスクが大きくなるということ。特に接写やマクロ撮影はピント合わせがシビアなので注意しましょう。

焦点距離の長いレンズを使う

焦点距離が長いほど背景はぼかしやすいので、ズームレンズの場合はテレ(望遠)端で撮影してみましょう。しかし、一般的なキットレンズは注意が必要です。キットレンズの場合、焦点距離を長くするとF値が上がってしまう構造が採用されています。そのため、焦点距離50mmで開放値がF5.6ほどにしか開けず、場合によっては満足なボケ量が得られないかもしれません。

F値を保ったまま焦点距離を伸ばすレンズは、高価になる傾向があります。そこで初心者の方におすすめなのが、次に紹介する単焦点レンズです。

単焦点レンズを使う

単焦点レンズは、名前の通り焦点距離が単一でズームができないレンズです。代わりにシンプルな構造のため、F1.4やF1.8など、開放値を小さくしたレンズ設計が採用されています。つまり、開放値が低くボケやすいレンズが多いのです。

一般的にズームレンズより軽くてリーズナブルなので、初心者の方でボケ表現を楽しみたい方は単焦点レンズを購入してみましょう。

被写体に近づく

絞り優先モードにして、絞りを開いたら、できるだけ被写体に近づきましょう。被写体に近づいて撮影すると、焦点距離の短い広角レンズや標準レンズでもボケを作ることができます。

とはいえ、レンズには最短撮影距離※が定められており、ある程度の距離を取らないとピントが合いません。近接撮影ではピンボケに注意が必要です。

※ ピント合わせが可能な、カメラ(センサー面)と被写体の最短距離。これよりも被写体に近づくとピントが合わない

背景は遠くする

被写体に近づくのと同時に意識したいのが、背景の位置。ボケをいかすには被写体から背景を遠ざけましょう。ボケ写真とは背景がボケることで成り立つ写真なので、被写体と背景に距離がない場合は難易度が上がります。

背景を離すのが難しい場合は、下から上を見上げるようにして写真を撮るなどアングルを工夫して、遠くのものを背景にできないか考えてみてください。

スマホやコンデジで背景をぼかした写真は撮れない?

一眼レフやミラーレスで背景をぼかした写真を撮る方法について解説しました。ボケやすい写真を作る条件がわかったところで、スマートフォンやコンデジでボケ写真を撮るのが難しい理由について考えてみましょう。

一番の理由は、センサーサイズが小さいためにレンズの焦点距離が短くなってしまうからです。

レンズ交換式のカメラには、フルサイズやAPS-C、マイクロフォーサーズと呼ばれる大型のセンサーが搭載されています。一方でコンデジやスマートフォンは機器を小型化するため、1型や1/2.3型といった小さなセンサーが一般的です(機種により異なる)。

カメラをやっている人は『35mm判換算』という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。これはフルサイズ(35mm判サイズ)以外の機材で撮影したとき、フルサイズであればどの画角に相当するのかを表現したもの。

APS-Cサイズであれば使用レンズの焦点距離に『1.5倍(Canon機は1.6倍)』、マイクロフォーサーズであれば『2倍』、1型は『2.73倍』、1/2.3型は『5.58倍』すると、35mm判換算した焦点距離を求めることが可能です。

例えばAPS-C機に50mmのレンズを付けて撮影した画角は、フルサイズ機の75mmに相当します。

センサーサイズが小さければ、短い焦点距離のレンズでも望遠撮影ができます。逆にいえば、小さいセンサーサイズで広い画角を得るには、焦点距離の短いレンズを使用しなくてはいけません

スマートフォンのカメラは一般的に、汎用性のある24~28mmの画角が採用されています。仮に26mmの画角をコンデジやスマートフォンで得るには、

  • 1型のコンデジ:26mm÷2.73=9.523…
  • 1/2.3型のスマホ:26÷5.58=4.659…

コンデジであれば約9.5mm、スマホであれば約4.6mmの焦点距離のレンズを採用しなくてはいけません。

実際に具体例を出すと、SONY(ソニー)のコンデジ『サイバーショット DSC-RX100M7(1型センサー)』のレンズは9~72mm、Apple(アップル)の『iPhone 13 Pro』は5.7mmの焦点距離です。

これらのレンズは焦点距離が短いため被写界深度が深くなりボケにくく、結果としてコンデジやスマートフォンのカメラはボケが出しづらくなってしまうのです。

しかし、最近ではiPhoneの『ポートレートモード』など、ボケ味が出せるモデルが登場しました。複数のセンサーとレンズを搭載して望遠域をカバーしたり、撮影後に被写界深度をコントロールしたりと、カメラの性能は向上しています。また、コンデジにおいてもAPS-Cサイズのセンサーを搭載した高級コンデジも人気です。スマートフォンやコンデジでもある程度のボケ写真は撮影できるようになったといってよいでしょう。

とはいえ、一眼レフやミラーレス一眼の方が背景をぼかしやすいのは変わりありません。より美しく自然なボケ味を求めるのであれば、やはりレンズ交換式のカメラがおすすめです

背景をぼかした写真を撮るには一眼レフ・ミラーレスカメラがおすすめ!

この記事では、一眼カメラを使った背景をぼかした写真を撮る方法について解説しました。最後に記事の内容をまとめていきます。

・本格的に背景をぼかした写真を撮るには一眼レフ・ミラーレスカメラがおすすめ
・絞り優先モードにして絞りを開き、被写体に近づいて背景からは離れて撮影する

背景がボケた写真は、被写体を強調させてとても綺麗に見えます。この記事にある情報を参考にして、ぜひ一眼カメラで背景をぼかした写真を撮ってみてください。