走っているペットやスポーツなどを撮影するときには、シャッタースピードをあげて一瞬の動きや表情を逃さない写真を撮ることが、写真の醍醐味のひとつでもあります。

しかしそれとは逆に、スローシャッター(低速シャッター)で風景写真の表現の幅が広がる撮影方法があります。そのスローシャッターで撮影するときに必要なアイテムが、NDフィルター。

NDフィルターをレンズに装着することで、レンズから入る光の量を減らすこと(=減光)ができます。減光することにより、目で見た景色とは異なる風景を撮影したり、様々な場面でボケを活かして撮影したりすることが可能です。

たとえば、海の波や、流れる滝が糸のようになっている写真を見たことがありませんか?実はNDフルターを使うことで、そんなプロのような1枚が撮れるようになります。

そこで今回は、初心者にも分かりやすいよう、NDフィルターの使い方について詳しく解説します。NDフィルターの選び方や活用シーンなども併せて紹介するので、参考にしてください。

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NDフィルターとは?

NDフィルターとはNeutral Densityの略で、直訳すると中立的な濃度という意味になります。

このNDフィルターはレンズに装着することによって、レンズから入る光の量を減らすことができるフィルターです。レンズを人の目とした際、サングラスのような役割をするのがNDフィルター、とイメージすると良いでしょう。

通常、写真の明るさ(=露出)を変えたい場合は、【絞り】【シャッタースピード】【ISO感度】の3つの値を調整します。ただし、イメージする描写で撮影するためには、前述した3つのうちいくつかの値を変えられない場合があるんです。

今回紹介するNDフィルターは、上記のような場合に活躍してくれます。

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PLフィルターとの違い

風景撮影によく使われるNDフィルターとPLフィルター。なんとなく文字面が似ているので、最初のうちは混乱してしまうかもしれません。

PLフィルターとはPolarized Lightの略で、Polarized Lightとは偏光という意味です。

PLフィルターは、光の反射を防ぐ役割をします。太陽の光に強く照らされて葉や海などが白っぽく写ってしまう時などにこのPLフィルターを使うと、被写体が持つ本来の色をはっきりと浮かび上がらせることができます。

特に、水面やガラス面の表面の明るさやテカリを抑えることに効果を発揮します。

風景写真を撮る時には、PLフィルター、NDフィルターどちらも出番が多くなりますが、狙う効果によって使い分けたり、重ねて使ったりします。

NDフィルターを装着するメリット

NDフィルターのメリットを解説します。

日中の屋外でも豊かなボケ表現ができる

一つ目のメリットは、日中の屋外など太陽光がある明るい場所でも、F値を小さくすることで豊かなボケ表現が楽しめること。

特に、白昼は太陽の光が強いため、そもそも白飛びしやすい環境が整っています。さらに、そこからボケさせるためにF値を小さくすると、最低ISO感度かつ最高シャッタースピードに設定しても、空などの明るい部分が白飛びしてしまいます。

背景をボカすために絞ったことで空の部分が白飛びしてしまっている

白飛びを自然なこととして、あえてそのままにし、自己を表現する作品として残すということもあるでしょう。写真を楽しむことにルールはありません。

しかしNDフィルターを使用すれば【一輪の花や愛犬・人物を際立たせるために、背景・前景をほどよくボカす】といった、日中に撮りたいボケを活かした写真を、白飛びすることなく撮影可能です。

もちろんNDフィルターを使用しても、色調や色の再現性は損なわれません。再現したい色味はそのままに、光量だけを減らすことができます。今までカメラの設定だけでは対処しきれなかった日中撮影が、NDフィルターをつけることで狙いどおりの写真が撮れるようになります。

日中に、屋外で愛犬とお散歩をしながら撮影したり、ポートレートなどの作品撮りをしたりする方にとっては、ぜひ取り入れていただきたいアイテムです。

日中の屋外でもスローシャッターで撮影できる

二つ目のメリットは、日中の屋外でもスローシャッターを活かした表現が楽しめること。

スローシャッターとは、シャッター速度を落として撮影することです。

スローシャッターで撮影することで表現できる代表的なものといえば、滝の流れです。スローシャッターで撮影することで、肉眼では見ることのできない、絹糸のように滑らかな水の流れを撮影できます。

しかし、日中に行なうスローシャッターでの撮影では、白飛びを防ぐことが困難。最大絞り・最低感度でも、適正露出よりも明るくなってしまいます。

スローシャッターで撮影したことで空の部分が白飛びしてしまっている

そこで用いられるのがNDフィルター。日中にスローシャッターで撮影しても白飛びを防ぐことができるので、水の流や雲の流れを撮影できます。

昨今のキャンプブームで、大自然に触れることが多くなった方も多いと思います。自然にパワーをもらいながら、より高い作品性を目指して写真を撮影されたい方にとっては、なくてはならないアイテムと言えます。表現の幅も広がるので、とても面白いですよ!

他にも、夜間にスローシャッターで車が走る道路や線路を撮影すると、ダイナミックな光跡を撮ることができます。都心で写真を撮ることが多い方にとっては、こちらの写真に馴染みがあるかもしれません。

スローシャッターで光跡を撮影

こちらは日中のように明るい太陽光がないため、NDフィルターがなくても撮影可能ですが、NDフィルターを活用することで光跡をより印象的に仕上げることができます。

赤や白、ブルーやオレンジなどの光跡がはっきりと表現されることで、パッと目を引く写真に仕上がります。例えば全体の色温度を少し下げて、映画の世界のようなサイバー感を出すと雰囲気が変わって、人とは違うオリジナルな作品ができますよ。

プロが撮るような写真を目指したり、自分ならではの世界観を追求したり、楽しみ方は人それぞれ。どちらにしても、撮りたい絵を狙って、それを表現するためのツールとしてNDフィルターは一役買ってくれることでしょう。

スローシャッターでは三脚がマストになります。特に大自然の中での撮影ではどうしても荷物が多くなってしまいますので、できれば軽くて持ち運びがしやすいカーボン素材の三脚を選びましょう。

NDフィルターの選び方

NDフィルターは目的に応じたものを使わないと、イメージ通りの写真は撮影できません。

NDフィルターと一口に言っても、さまざまなメーカーのものがあったり、フィルター径(レンズ前面の直径)の大きさが違ったり、フィルターの濃度も違ったりします。

初心者でもわかるように具体的な選び方について解説します。ポイントは3つありますが、そんなに難しくないのでご安心ください。

装着したいレンズのフィルター径を確認する

まずは、NDフィルターを装着したいレンズのフィルター径を確認しましょう。レンズのフィルター径は、レンズの仕様を見れば分かります。また、レンズの本体のどこかにある「Φ○○(下記画像の赤丸部分)」といった表示が、フィルター径の値です。

NDフィルターを購入・レンタルする際は、必ずこのフィルター径に合うサイズのフィルターを選んでください。レンズキャップを装着する場合は対応サイズが変わる場合があります。

ちなみに、「ステップアップリング」「ステップダウンリング※」といった変換リングをレンズ全面に取り付けることで、レンズのフィルター径よりも大きい、または小さいフィルターを使用することが可能です。

※ケラレ(フィルターが黒く写り込んでしまうこと)が発生する場合あり

「ステップアップリング」「ステップダウンリング」は、何枚もNDフィルターを購入することが現実的ではない場合や、手早くスピーディーに撮影をしたい人にとっては救世主のようなアイテムです。(めんどくさがり屋の私にもぴったり・・・)

ただ1点デメリットとしては、「ステップアップリング」「ステップダウンリング」をつけるとレンズフードが付けられないことがあります。

NDフィルターを使用する場面を確認する

NDフィルターは、1種類だけではなく、濃度が異なるものが何種類かあります。フィルターの濃度が濃いほどフィルターの色が黒くなり、減光量も増加するんです。

濃度を選ぶ際の目安にするために、どのような場面でどのような写真を撮りたいのか、NDフィルターを使用する目的を再確認しましょう。

NDフィルターの濃度を選ぶ

濃度を確認できるのは、NDフィルターに振られているND8、ND16といった番号。番号が大きいほどNDフィルターの濃度が濃く、減光量も増加します。

具体的に解説すると、たとえばND8なら光量は8分の1、ND16なら光量は16分の1に減少可能です。

種類ND2ND4ND8ND16
光量1/21/41/81/16
透過率50%25%12.5%6.25%

また、ハーフNDフィルターというものがあります。その名の通り、フィルターの半分だけに濃度がついているものになります。

たとえば写真上部が空、写真下部が大地や海という場合に、空の明るさだけを抑える場合などに利用します。

濃度を変更できる可変式NDフィルターとは?

NDフィルターの中には、一枚で一定の範囲の濃度に調整できる可変タイプ「可変式NDフィルター」存在ます。レンズを絞るように枠を回転させることで調整するのが一般的。そのため、別のNDフィルターに交換する手間を省けるメリットがあります。

特に、屋外で長時間の動画撮影をする際は便利。日中は時間によって日差しの向きが変わり、光の量が変化します。濃度が決まっているNDフィルターを1枚しか持っていない場合、急に明るさが変わってしまっても対応できません。

可変式NDフィルターを1枚持っていれば濃度を調整できるので、光の強さが変化しても柔軟に対応できます。可変式NDフィルターは普通のNDフィルターよりも高価ですが、動画撮影を行ないたい方や、荷物を少しでも減らしたい方は持っておくと良いでしょう。

長年の経験と勘を頼りにNDフィルターを選べるベテランはもちろん、どれを選べばいいか迷っているカメラ初心者にとっても、頼りになるアイテムになること間違いなしです。

NDフィルターは重ねて使うことも可能

NDフィルターは重ねて使うことも可能です。重ねて使うことによって濃度をさらに濃くすることができます。重ねた際の濃度は、以下のようにフィルターの番号を掛け合わせることで計算可能です。

例:ND4×ND8=ND32に相当

例であげたように濃度が低いNDフィルターでも、重ねて使えば濃度を高めることが可能。一度に持ち運ぶNDフィルターの枚数を少なくできるメリットがあります。

たとえば、光の強さが事前に分からないときは濃度の低いNDフィルターを何枚か用意しておき、光が強ければ重ねて使うと良いでしょう。

ただし、フィルターの重ね付けをすると、特に広角レンズになればなるほど、写真の四隅が黒っぽく写ってしまうケラレが発生しやすくなりますので、注意が必要です。

事前に光が読めない場合には、可変式NDフィルターを準備しておくことをおすすめします。

NDフィルターが活躍するシーン

NDフィルターが具体的にどのような撮影シーン・表現で使われているのか紹介します。

雲の流れ

NDフィルターを使えば白飛びせずに、ダイナミックな空模様をスローシャッターで撮影することができます。

特に、雲があるときにスローシャッターで空を撮影すると、なめらかな雲の流れを表現できるでしょう。

また、同じ時間帯に同じ場所で空を撮影しても、濃度の違うNDフィルターを使えば違った雰囲気に調整可能。カメラマンのセンス次第で印象を大きく変えることができます。

流れる雲を撮る時には、ND1000を使うことが多いです。ND8やND16が一般的に使われることが多いNDフィルターの濃度ですから、ND1000という数字はあまり聞きなれないかもしれません。

ND1000は、たとえば60秒など、日中に長時間露光で撮影するときに使います。そうすると上記のような、ダイナミックで印象的な写真を撮ることができるようになりますよ。

雲の流れはひとつとして同じものはありません。何度も撮影してみて、空の表情を見比べながら、納得のいく1枚を撮りましょう。

NDフィルターを手に入れたら、まずは身近な空から撮影してみてはどうでしょうか。

街中

街中といえばスナップ写真が定番ですが、日中にNDフィルターを使ってスローシャッターで撮影すれば違った印象になります。

歩く人々や動いている車や電車をわざとブレさせることが可能。ブレることはネガティブなイメージで捉えられがちですが、場合によっては良い演出になります。あえてブレを生じさせることで、スピード感が出て、写真に動きを与えるはず。肉眼では見られない光景を写せます。

最近では、個人情報保護の観点からも、人の顔がはっきりわかる写真をSNSなどにアップすることは好ましくありません。

このようにあえてブレを狙った写真を撮影することで、個人情報が守られながらも表現の自由を楽しむことができます。

水の流れ

こちらはNDフィルターを手に入れたら、真っ先に撮ってみたいと思う写真じゃないでしょうか。

NDフィルターは風景写真の印象を強めたい場合にも役立ちます。特に、滝や湖・海などの水の流れを、美しく表現するのが一般的。

たとえば、日中の水面を普通に撮影すると、キラキラした日差しの反射が映り込むことがよくあります。しかし、NDフィルターの特性を活かせば、光を抑えて水面の透明感を強調することが可能です。

このように絹糸が流れているような滝を撮影をするときには、光の強さにもよって変わってきますが、まずはN8、N16あたりを使うことが多いでしょう。ここでも可変式NDフィルターがあると、その場でベストな濃度を選ぶことができるので、おすすめです。

友人たちとアウトドアに行った際に、こんな写真を撮ってあげることができれば、思い出話にも花が咲きます。

打ち上げ花火

夏の風物詩である打ち上げ花火にもNDフィルターは有効です。花火は強い明るさを持つ被写体。最低ISO感度で撮影しても、白飛びしてしまいます。

また、F値を大きくし過ぎてしまうと回折現象(解像力やシャープさが落ちていく現象)が発生する恐れがあるでしょう。カメラの機種によっては花火の撮影もできる夜景撮影モードがありますが、設定によってノイズが発生してしまいます。

NDフィルターを使えば、過度な設定を行なわなくても白飛びを抑制できるので、花火を鮮やかに映し出すことが可能。空にいくつもの花火が打ちあがっている様子をキレイに撮影できれば、SNS映えも狙えるかもしれません。

今すぐレンタルできるフィルター

NDフィルターで有名なメーカーと言えば KenkoK&F ConceptNISIなどが挙げられます。

価格も濃度もバラバラなので、どれを選べばよいか迷ってしまいますが、NDフィルターと言えばKenkoと言われるくらいKenkoは有名ですので、まずは名が通ったブランドから手にすると安心感があります。

もちろん、まずは比較的手の届きやすいNDフィルターからお試しするのもいいですね。それでも迷ったときは購入ではなく、レンタルするという手もありますよ。

今すぐレンタルできるフィルターはこちらでご確認ください。

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まとめ

撮影での表現の幅を広げられるNDフィルターについて解説しました。NDフィルターを使用すれば、本来は白飛びしてしまうようなシーンでクリアに撮影ができます。初心者から上級者まで持っておいて損はないアイテムです。ぜひ、この機会にNDフィルターを使ってみてください。

ただし、写真の良し悪しを大きく左右するのはやはりカメラ本体とレンズです。NDフィルターを使ってもイメージ通りの撮影ができないときはカメラのレンタルサービスを利用してみてください。