目次
あいさつ

みなさん、初めまして。フォトグラファーのコハラタケルです。
新しく発売されたFUJIFILM X-H2S。気になっている方も多いのではないでしょうか。
僕はこれまでに X-T10 XT-3 X-S10 X-Pro2 X-Pro3 X100V GFX50R GFX50S IIなどのFUJIFILMのカメラを使ってきたのですが、今回はX-H2Sと同じAPS-Cのセンサーサイズでもあり、僕が愛用しているX-Pro3との比較を中心にX-H2Sのレビューをしていきたいと思います。またレンズはXF23mmF1.4 Rを使用しています。
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FUJIFILM X-H2S ボディ
シャッター音とシャッターフィーリング

新しい機材が発表されるとき、みなさんはどの部分を気にするでしょうか?人それぞれ違うと思うのですが、僕は”シャッター音とシャッターフィーリングが気になる”タイプです。ちなみにここで話しているシャッター音とはメカニカルシャッターのことを指します。電子シャッターの音ではありません。
とくにシャッター音は重要で、この音にときめくことができるかどうかで撮影時の気分が変わります。
ちなみにこれまで使ってきたカメラで、とくに好きだったシャッター音はX-Pro2とX-Pro3、そしてGFX 50Rです。
ではX-H2Sはどうなのでしょうか? 答えは……良いです。
シャッターを切っていて気持ちが良いですね。こればかりは文章で伝えるのが難しいため、是非、下記の埋め込みやYouTube等で音を聞いて欲しいのですが、僕としては大満足なシャッター音です。
▼X-H2Sのシャッター音(やや雑音あり)

また音の大きさも良いです。シャッター音が小さいほうが良いという人がいるのですが、僕は違います。シャッター音はある程度、大きいほうが良いです。というのも今、シャッターを切ったというのをモデルさんに伝えたいからです。
僕の経験上、シャッター音が聞こえないほうが撮られやすいという人もいたのですが、仮にそうだとしても僕はシャッター音がある状態で撮影していきます。また、どうしてもシャッター音を小さくしたい、または消したいのであれば電子シャッターを使って無音にすることが可能です。
シャッター音やカメラを構えられることによる緊張感というのは、スマートフォンでは感じることができない撮影体験だと思っており、シャッター音はある程度の大きさを残しておいて欲しいんですよね。

さらにシャッターフィーリング。こちらに関しても満足しています。「あっ! 撮りたい!」と思った瞬間、やわらかいタッチでもシャッターを切ることが可能です。人物だけでなくスナップもよく撮る僕としては、シャッターを切りたいと思ったとき、いかに早く自然にシャッターを切れるかどうかが重要です。

起動時間もスナップ向き

スナップの話をしたところで、もうひとつ伝えておきたいのが起動時間。こちらに関してもスナップを撮る人であれば気になるところではないでしょうか?
基本的にスナップを撮るときというのは電源を入れっぱなしにすることが多いのですが、バッテリーの消耗を抑えるために切っていることもあります。そんなときに限って撮りたい瞬間がやってきたりするものなのですが、そこで重要になってくるのが起動時間です。
仕様を確認してみると……
・X-H2S 0.49秒
・X-Pro3 0.4秒
僅かにX-Pro3のほうが早いのですが、撮っていたときの感覚としてはX-H2Sの起動時間であってもまったく問題ありませんでした。やはりこれだけ起動時間が早いとスナップ好きとしては助かります。
ファインダーを覗いたときの接眼感も◎

接眼感という言葉は聞き慣れない人もいるかもしれませんが、僕にとってはこちらも新しいカメラ試すときに気になる部分です。
と言いますのも、僕はコンタクトではなく、メガネをかけたまま撮影をします。メガネをかけている人であればお気持ちわかってもらえると思うのですが、ファインダーとメガネのレンズが接触する部分。覗いた瞬間に違和感がないかどうかというのが大切なんです。
僕にとってX-H2Sの接眼感はまったく問題ありませんでした。またファインダー(EVF時)がX-Pro3が約369万ドットに対して、X-H2Sが約576万ドットというように向上しているため、X-Pro3のときよりもファインダーを覗いて見える画面の線が細く、よりクリアに見える印象がありました。
“ファインダーを覗いた瞬間の気持ちよさ”
感覚的かつ人それぞれ異なる部分ではありますが、僕が求めるカメラはそういう部分が大切なんです。
フォーカスレバーの移動が滑らか

X-H2Sのフォーカスレバーは、X-Pro3に比べて(レバーの)突起部分が少々短め。


写真のようにX-Pro3のレバーは突起部分がX-H2Sよりも長いため、フォーカスの位置調整に関してもひとつずつ動かしていくという感覚なのですが、X-H2Sに関してはフォーカス位置の移動が滑らかです。とはいえ、X-Pro3に比べて大きな変化はありません。慣れれば問題なく使いこなせるようになると感じました。
センサーシフト方式5軸補正 7.0段の手ブレ補正

まず、動画を撮らない僕としては手ブレ補正に関してはあってもなくても大丈夫な人です。実際、X-Pro3には手ブレ補正はありません。
とはいえ、あるに越したことはないとも思っています。もしも手ブレ補正が必要ではない場合、切れば良いだけですからね。
今回のX-H2Sですが、センサーシフト方式5軸補正 7.0段の手ブレ補正とのことで、強力な手ブレ補正が搭載されています。
例えば、こちらの写真はシャッタースピード 1/8 で撮影しています。

もちろん現像で明るさは調整していますが、暗い場所の場合、そのシーンでは撮らずに次の場所へ向かいます。
しかし、このときは「シャッタースピード 1/8ぐらいでも撮れるのかな」という興味でシャッターを切りました。
僕は自分の撮影スタイルとして動きながら撮影することが多く、狙って撮る場合もそこまでしっかり構えて撮るようなタイプでありません。このシャッタースピード 1/8 のときも、ある程度は構えて撮っていますが、「手ブレしないように、しっかりと慎重に構えて、そうっと……」というような感じでは撮影していません。ごく自然にいつも通りに撮影しました。

状況にもよりますが、体感としてはモデルさんに動いてもらわない状態であれば、シャッタースピード 1/15 までは自然と使えるなという印象でした。元々、しっかり構えて撮るという人であれば、もう少し遅いシャッタースピードでも大丈夫でしょう。
0.5単位のトーンカーブの微調整が可能に

FUJIFILMのカメラは設定でトーンカーブを調整することが可能です。これは僕がFUJIFILMを使い続けていて思うことなのですが、FUJIFILM(Xシリーズ)の絵づくりはコントラストがしっかり出る印象があります。
とくにシャドウ部分の黒の締まりが良く、ここに魅力を感じている人も多いのではないかと思います。

しかし、これは仕事での撮影の話になるのですが、仕事の撮影の場合は黒の締まりがそこまで必要ではないシーンもあるんです。
実際、僕は現場で「コハラさん、影はそんなに濃くなくていいかも」と言われることがありました。
「最終的にはRAW現像するので気にしなくてもいいんじゃないでしょうか?」と思う人もいるかもしれませんが、僕の場合、シャッターを切る回数も多いため、撮影現場によっては軽いデータであるJPEGを飛ばすこともあります。つまり、JPEGでどう見えるのかを無視するわけにはいきません。
そこで調整するのがカメラ内の設定で調整できるトーンカーブ。僕は基本的に ハイライト−2 シャドウ−2に設定することが多いです。この設定にすると白飛びと黒つぶれを防ぎやすく、コントラストが弱い状態にできます。
僕が使っているX-Pro3ではこの設定が「+2 +1 0 −1 −2」というように1単位ずつでしか調整できなかったのですが、X-H2Sでは「+2 +1.5 +1 +0.5 0 −0.5 −1 −1.5 −2」というように0.5単位での調整が可能となりました。
実際にハイライトは−2で固定。シャドウを0 〜 −2に変更した写真をご覧ください。
※JPEG撮って出しです。





写真を見てわかるようにコントラストがやわらかくなっていったのがわかると思います。今回、X-H2Sでは、シーンによって −1〜−2 を使い分けると良いと感じました。
ストレスを感じない暗所AF

薄暗い室内での撮影も好む僕としては暗所AFの性能も気になるところです。今回はストロボのモデリングライトは使わず、電灯や看板、お店のライトなどの街にある明かりでどれだけ撮れるのか試してきました。



結果としては満足しています。少なくとも今回の撮影でストレスを感じるようなことはありませんでした。
FUJIFILMのカメラはレンズが小さいのも魅力的だと思っており、カメラ本体を含めたコンパクトな装備だからこそ撮影時の瞬発力を求めています。せっかくの軽装備なのに暗所AFの迷いが多いと、だったらしっかり構えて撮りますという話になりますからね。時間をかけて構えて撮るのであれば僕は別に大きなカメラとレンズでも問題ありません。
僕が普段、撮っているような人物撮影であればX-H2Sの暗所AFの性能は問題ないと感じました。
まとめ

僕が使っているX-Pro3というカメラは良いカメラなんですけど、一方でクセもあるカメラです。浅いグリップや背面液晶がないこと、ファインダーの位置などなど。オススメできる人もいればそうではない人もいるのですが、X-H2Sに関しては万人におすすめしやすいカメラだと感じました。
撮影していてストレスがないです。それはAF性能や手振れ補正、サブ液晶モニターに見やすいファインダーなどなど。撮っていて「ああ、この部分がもどかしいっ!」なんていうシーンはありませんでした。とくにAF性能に関しては優れており、野鳥やスポーツ、乗り物などの動きものを積極的に撮るわけではなく人物撮影がメインの僕でもAF性能の優秀さを体感しました。
気になるのは価格です。FUJIFILMの最新のフラグシップ機ということもあり、30万円を超える値段となっています。この価格帯になってくると他社のフルサイズのカメラのことを考えてしまう人もいると思います。僕も最初は他社メーカーを使っている人の立場も考えたのですが、もっとFUJIFILMを使っている人に焦点を絞りました。
と言いますのも、僕、昔から「FUJIFILMがフルサイズのカメラを出してくれたらいいのになぁ」と思っていたんです。今回のX-H2SはFUJIFILMを使い続けている人がフルサイズのカメラと同じ感覚で使えるところまで進化したのではないかと感じました。
CFexpressにも対応していますし、縦位置グリップや人物以外の動物、鳥、レーシングカーなどの被写体認識AFの向上に連写性能。これだけの機能を搭載していても今回、使ったXF23mmF1.4 Rなどの単焦点レンズであればカメラ・レンズ含めコンパクトな見た目に抑えることができます。
普段使いからプロの現場まで。
「APS-Cもここまで来たか」と感じさせる1台です。
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FUJIFILM X-H2S ボディ
著者・コハラタケルさんによるフォトコラム『おはよう、じゃあね、またあした。』
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