「Lomography(ロモグラフィー)から新しいフィルムカメラが発売されるらしいよ」って友だちから聞いたときは、それはそれは、わくわくしたものです。
だってLomographyさん、いっつも面白いカメラを出してくれるんですもの。
ですから、Lomomatic 110というその新商品が110フィルムを使用するカメラだと知ったときは、「うわあ、さすがLomographyさん、攻めてるなあ」って、第一印象はそんな感じでした。
今回、ご縁があってLomographyさんからこのカメラをお借りすることができたのですが、実際にこのカメラを触ってみて、そして撮影してみて、良い意味で「想像していたものとちょっと違うぞ!」とびっくりしています。
このカメラを一言で表すなら、「日常的に使える非日常なカメラ」でしょうか。
何を言っているのかさっぱりですよね。一見矛盾しているようにも思いますが、でも、本当にそう思ったのですから、仕方ありません。
今回は、そもそも110フィルムってなに?というところから、Lomomatic 110の魅力をたくさんの作例写真とともにお届けいたします。
「日常的に使える非日常なカメラ」とは果たして・・・

目次
著者プロフィール

ありあ
写真家、文筆家
山形県出身。大学で西洋美術史を学んでいる。
2021年に祖父の形見としてフィルムカメラを譲り受けて以来、写真の魅力に取り憑かれてしまう。幼少期から書いている日記や、世界中を旅した際に記した旅日記を、写真とともにSNSで発信し話題に。『MARSH』やFUJIFILMの公式WEBメディア『IRODORI by X Series』をなど複数のメディアで連載コラム・執筆を担当。
Lomomatic 110ってどんなカメラ?
そもそも110フィルムってなに?
Lomomatic110は、いわゆる35mmフィルム(Kodak GOLD 200やFUJICOLOR 100など)ではなく、110フィルムを使用します。
110フィルムは、1972年にKodak社によって導入されたフィルムで、映画用の16mmフィルムと同じ幅の小さなカートリッジ式となっています。
デジタルカメラの普及に伴って2009年にすべてのメーカーの110フィルムが製造を終了したそうで、平成生まれの私が子どもの頃はあったようなのですが、正直「そんなフィルムがあったんだあ」といったところ。
お父さんやお母さんに110フィルムについて聞いてみたのですが、「雑誌の付録とかに、カメラと一緒にあった気がするなあ」と言っていました。

一度は製造が終了してしまった110フィルムですが、その後2012年に、Lomographyさんから新しく販売されることとなります。
そしてなんと、そこから今日まで、Lomographyさんが唯一の110フィルム製造メーカーとなっているのです。
ファッショナブルなデザイン
Lomomatic 110の一番の特徴は、なんといってもそのファッショナブルなデザインにあると思います。
わたしは“Metal“の色を借りしましたが、おしゃれなTシャツを着て、お気に入りのハーフパンツのポケットに忍ばせて持ち歩きたいなって思うような、そんなカッコ可愛いデザインに一目惚れしてしまいました。

“Golden Gate”というカラーバリエーションもあります。
こちらはオレンジとクリーム色の混じったレトロな雰囲気のあるデザインとなっていて、いまだから言えますが、このカメラをお借りするときに、どっちの色にするかだけで2日くらい悩んじゃったほど、どちらも魅力的です。
アナログとシンプルのバランスがちょうど良い
フィルムカメラを使っている、あるいは使ってみたいという方の中には、「アナログな操作を楽しみたい!」と考えている方も多くいると思います。
Lomomatic 110も例外なく、フィルムの装填や距離の設定などは自身で行なわなければならず、アナログな操作感を楽しみたい方にとっては、とても魅力的なカメラであると言えます。
しかしそれだけではありません。このカメラは、アナログな操作感を持ちながらも、とっても簡単に写真を撮ることができます。
「アナログのいいとこどり」という表現が適切かは分かりませんが、露出はカメラが勝手に決めてくれるので、まず、失敗することがないのです。

操作は、ざっとこんな感じです。
①カメラの背面にあるフタを開けて、110フィルムを装填します。ただ装填するだけなので、「え、こんなのでいいの?」と思ってしまうかも。
②次に、撮りたいものとの距離を設定します。0.8m、1.5m、無限遠の3つから選択できますが、風景などを撮るなら、基本的に無限遠に設定しておけば問題ないでしょう。
③フィルムのISO感度を設定(100、200、400から選択)して、ファインダーをのぞいて、あとはシャッターを切るだけ。右上のギザギザがしたシャッターボタンです。
このアナログとシンプルのバランスのちょうど良さが、たまりませんね。
製品仕様
| 製品名 | Lomomatic 110 |
| フォーマット | 110フィルム |
| カラー | Metal、GoldenGate、Bellagio、Zebra Crossing |
| 焦点距離 | 23mm |
| 絞り | F2.8, F5.6の2段階絞り |
| シャッタースピード | オート(A)1/250〜30秒、バルブ(B)30秒まで |
| フラッシュ | Lomomatic 110 Flash(着脱可能) |
| ISO感度 | 100、200、400 |
| 多重露光 | 可能 |
| 電池 | CR2電池1本 |
| 価格(税込) | Bellagio:27,880円 Metal:21,980円 GoldenGate、Zebra Crossing:16,980円 |
作例
皆さんお待たせしました。
ここでは、Lomomatic 110で撮影した写真をたくさんお見せしたいと思います。
お見せする前に、まず、110フィルムにはたくさんの種類があることをおさえておく必要があります。
オーソドックスな色合いのものから、アーティスティックな写りのものまで、その中から、今回は5種類のフィルムを使用しました。
おもに北イタリアを旅したときに撮影した写真です。ぜひご覧ください。

Tiger CN200
ヴェネチアのカナルグランデで撮影した写真です。逆光という難しい環境ではありましたが、朝日がとても印象的に写っています。
こちらも、ヴェネチアで撮影した写真です。黄色と赤色の発色がたまりません。
ブラーノ島へ向かう船の乗り場に集まる人々。朝早いこともあって、観光客よりも地元の方が多めです。
Lobster Redscale 200

とても“Redscale”という名の通り、赤やオレンジが特徴的なこのフィルム。イタリアの風景ととてもよく似合います。
小さな港の堤防で日焼けを楽しむおばあちゃん。夏のイタリアでは、よくみられる光景です。
ヴァチカン市国にあるカトリック教会の総本山、サン・ピエトロ大聖堂で撮影しました。薄暗い場所ではありましたが、神に祈る女性をしっかり写すことができました。
LomoChrome Metropolis 100-400
オーソドックスな色合いから一歩抜け出したい方におすすめなのが、このフィルムです。
Redscaleとは異なり、青や緑が特徴的です。アルプス山脈を登っているときにこのフィルムを使用したのですが、山の緑の色合いにうっとりしてしまいました。
B&W Orca 100
ここまでとは打って変わって、わたしの日常をモノクロフィルムで撮ってみました。少し縦線の入っている写真がありますが、ゴミが入ってしまったかもしれません。
LomoChrome Purple 100-400
個人的に一番クセのある写りをするフィルムだなあと感じました。
“Purple”とあるように、紫色の写りが特徴的です。これまでこういったフィルムを自分から選んでこなかったのですが、その写りをみて、ちょっとハマりそうです。
作例写真をご覧になって、いかがでしたでしょうか。
どのフィルムもとても面白いですよね。まずはTiger CN 200でオーソドックスな写りを楽しんでから、撮りたいものやそのときの気持ちなどにあわせて色々なフィルムに挑戦していくのがおすすめです。
使いこなすためのポイント
特殊なカメラではないんです
110フィルムを使うカメラだと聞くと、なにか特殊なフィルムカメラなのではないか、あるいは趣味性の強いニッチなものなのではないかと考える方もいらっしゃるのではないかと思います。
たしかに、現行で110フィルムを販売しているのがLomographyさんだけであると考えると、少し身構えてしまいそうです。
しかしわたしは、このカメラが何か特殊なものだとは思っていません。
花や食べ物、あるいは一緒に遊んだ友だちを撮ったり。
普段スマホで何気なく撮る写真と同じように使うことのできるカメラだと考えています。実際に、わたしはほぼ毎日このカメラを持ち歩いています。
買い物に行くとき、バイトに行くとき、友だちと遊ぶときはもちろん、朝のゴミ出しのときまで。
ポケットに入ってしまうほどのに小さくて軽いのですから、せっかく購入したのに持ち歩かないなんて、損ですよね。
「当初想像していたものとちょっと違うぞ!」という感想を持ったのは、実はこの「思っていた以上に日常で使うカメラだなあ」というところなのです。
110フィルムというジャンルにとらわれず、あまり身構えずに、とにかくさまざまな場面で持ち歩いて使用することをおすすめします。
普段とは異なる視点で撮ってみよう
とはいえ、このコンパクトさ、ファッショナブルなデザインだからこそ撮ることのできる写真もあるでしょう。
こういったカメラを使うときは、普段とは異なる視点で写真を撮ってみるのも、また面白いと思います。
え、さっきと違うことを言っているって?ふっふっふ、気づきましたか。
でも、矛盾したことではありません。
これはつまりオールラウンダーなカメラだと言い換えることができるのですが、大きさもそのファッショナブルなデザインも良い意味でカメラっぽくないからこそ、友だちは自然な表情をしてくれたり、ちょっとアーティスティックな写真を撮ってみたいなって気持ちにさせてくれたりするのです。
また作例写真でもお見せしましたが、たくさんの種類のフィルムから好みにあわせて選んで撮ることができますので、このレビューの冒頭で「日常的に使える非日常のカメラ」という言葉でこのカメラを表現したのは、まさにこういったところからきているわけです。
まとめ〜110カメラのすすめ〜
皆さん、Lomomatic 110、いかがでしたか。「このデジタルのとき代にフィルムカメラかあ。しかも珍しい110フィルムを使うってどうなの?」と思われた方も、このレビューを読んで、少しでも魅力的で身近なものに感じていただけたら嬉しいです。
このレビューを書いているいまも、「次にこのカメラで何を撮ろうかな。どんなフィルムを使おうかな」って考えているわたしがいます。
そんなわくわく体験を、ぜひ皆さんにも味わっていただきたいです。
この小さなカメラを毎日ポケットに入れて持ち運べば、きっと普段の生活をより楽しく感じられることと思います。皆さんが望めば、きっと非日常の世界へ連れて行ってくれるかも?
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