OM SYSTEM OM-3+M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO F1.4 1/60 ISO6400
OM SYSTEMの新機種OM-3は、一見すると銀塩フィルムカメラと勘違いしてしまいそうな金属的な質感とクラシカルな佇まいの美しいカメラだ。
フィルム時代のOMシリーズそのままの出で立ちは、連綿と続くOMスピリットを正に体現したデザインと言えるだろう。
だが、クラシカルな見た目とは裏腹に、その中身は最新の機能が満載されているのだ。
フラッグシップ機OM-1 Mark IIと同等の高画質なセンサーと画像エンジンに加えて、各種コンピュテーショナルフォト機能とカラー/モノクロプロファイルコントロールを搭載し、自在な絵作りを可能とした超高性能機である。
また、小型軽量で質感の高いボディーに配置された各種ダイヤルやボタン類は直感的な操作が可能で、アウトドアでの酷使にも耐える防塵防滴仕様のタフな造りとなっている。
OM SYSTEMのこれまでのラインナップとは全く異なる新たな展開と言える魅力的な機種の登場である。
今回、OM-3で作例を撮影してきたので、ぜひご覧いただきたい。

OM SYSTEM OM-3 ボディ

M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II

M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II

M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO
目次
執筆者プロフィール

中藤毅彦
Takehiko Nakafuji
1970年東京生まれ。
早稲田大学第一文学部中退。東京ビジュアルアーツ写真学科卒業。
作家活動と共に東京•四谷三丁目にてギャラリー・ニエプスを運営。
都市のスナップショットを中心に作品を発表し続けている。
国内各地の他、東欧、ロシア、キューバ、中国、香港、パリ、ニューヨークなど
世界各地を取材。
国内外にて個展、グループ展多数開催。
第29回東川賞特別作家賞受賞。第24回林忠彦賞受賞。
OM-3とは?OM-1 Mark II/OM-5 との比較
| 項目 | OM-1 Mark II | OM-3 | OM-5 |
| センサー | 裏面照射積層型Live MOS センサー | 裏面照射積層型Live MOS センサー | Live MOS センサー |
| エンジン | TruePic X | TruePic X | TruePic Ⅸ |
| 電池 | BLX-1 | BLX-1 | BLS-50 |
| ファインダー | 5.76Mドット | 2.36Mドット | 2.36Mドット |
| 最大常用ISO | 25600 | 25600 | 6400 |
| AF | 1053ポイント 人物/車、オートバイ/飛行機、ヘリコプター/電車、汽車/鳥/動物(犬,猫) | 1053 ポイント 人物/車、オートバイ/飛行機、ヘリコプター/電車、汽車/鳥/動物(犬,猫) | 121ポイント |
| AEAF追従連写性能 | メカシャッター連写:10コマ/秒 電子シャッター連写:20/秒 SH2:50/秒 | メカシャッター連写:6コマ/秒 電子シャッター連写:20コマ/秒 SH2:50コマ/秒 | メカシャッター連写:6コマ/秒 電子シャッター連写:10コマ/秒 |
| IS | 8.5段 | 中央6.5段、周辺5.5段 | 6.5段 |
| 防塵防滴 | IP53 | IP53 | IP53 |
| コンピュテーショナルフォト | ハイレゾショット、ライブND、ライブGND | ハイレゾショット、ライブND、ライブGND | ハイレゾショット、ライブND |
| 動画 | 4K 60P | 4K 60P | 4K 30P |
| 外部接続 | SDスロット:2x、マイク、ヘッドフォン、HDMI、レリーズ、USB-C | SDスロット:1x、マイク、ヘッドフォン、 HDMI、USB-C | SDスロット:1x、マイク、HDMI、レリーズ、micro-USB |
これまでにない全く新たな価値観を提示するOM-3であるが、数値性能的な意味で現行OM SYSTEMの各種ミラーレスカメラのラインナップの中で、比較対象となるのはOM-1 Mark IIとOM-5であろう。
上記に、3機種の性能を分かりやすくまとめた比較表があるので参照してもらいたい。
センサーやエンジン、動画機能、被写体認識AF、使用電池など主要部分は、完全にOM-1Mark IIと同一である。
一方で、ファインダー性能や手ブレ補正、SDカードスロットの数、連写性能など、いくつかの部分で中位機種のOM-5と同等の仕様になっている部分もある。
立ち位置で言えば、OM-1 Mark IIとOM-5の間に位置し、どちらかと言えばOM-1 Mark IIの性能に相当なところまで迫った機種と言えるが、操作性やカメラの方向性が全く異なるので、極限的なプロ機としてのOM-1 Mark IIの価値は揺らぐことはない。それぞれの役割を持って両立する存在といえるだろう。
また、表には記載されていないが、これまでPEN-FとPEN E-P7にのみに搭載されたカラー/モノクロプロファイルコントロールが再び装備されたことは、OM-1 Mark IIとOM-5にはないアイデンティティーを主張するOM-3ならではの大きなアドバンテージと言える。
それでは、これまでOM SYSTEMのカメラを使用してきたユーザーの中で、どんな層の人々がOM-3の購買層になるだろうか?
OM-5を使用してきたが、フラッグシップ機はハードルが高いと考える層のステップアップには最適なのは当然として、プロファイル機能の便利さやクラシカルな佇まいに惹かれて名機PEN-FやE-P7を愛用して来たユーザー(何を隠そう、僕自身もその1人だ)にとっても、待ちに待った事実上の後継機と言える。
また、普段OM-1 Mark IIを使用するプロやハイアマチュアにとっては、仕事でも併用できる頼りになるサブ機としても魅力的な選択肢の1つとなるだろう。
渋谷の再開発風景の取材中、フィルム時代の名機OM-1と共に。
常に持ち歩いてさっと撮れる、クラシカルなデザイン!
OM-3を実際に手にしてまず感心するのは、マイクロフォーサーズならではの小型軽量の機動性の高さとデザインの美しさだ。
こうした特徴は、フィルム時代のOMシリーズやPENシリーズなど名機の数々を生み出した名設計者、米谷美久さんの精神を引き継ぐオリンパス時代以来の伝統である。
今回のOM-3のデザインに関して言えば、フィルムカメラのOM-1、OM-2へのリスペクトであることは古参のOMファンには一目瞭然だ。
逆に、新たな若いファンにとっては、レトロでお洒落なカメラとして新鮮なデザインに見えることだろう。
無論、それは単なるノスタルジーと言う訳ではない。
アナログ的な各種ダイヤルやボタンは、それぞれに的確な役割を与えられ、直感的なコントロールが可能で大変使いやすい。
実際に使う際の撮りやすさを徹底的に考えたうえでの原点回帰デザインなのだ。
ボディー重量496gと、重過ぎず、軽過ぎず、小振りで手に馴染むちょうど良いサイズ感と、ヒヤリとした金属の質感が生み出す使用感の心地良さは、撮影のモチベーションを高めてくれる。
OM-3には大げさな三脚は似合わない。小振りなズームや単焦点レンズを組み合わせて、手持ちの軽快なスナップが一番の持ち味だと感じる。
このカメラであれば、鞄に入れても首から提げても、重さや大きさで身体的負担になることはまずない。手に入れたら常に持ち歩いて、気になったモチーフを見つけたらサッと撮りたくなることだろう。
フィルムライクな仕上がり
今回、OM-3で個人的に最も嬉しいポイントは、名機PEN-Fと同様のカラー/モノクロプロファイルコントロール機能が復活したことである。
これは、撮影と同時進行で、かなり細かい部分まで撮り手の意図を反映した画作りをカメラ内でコントロールできる機能だ。
JPEG撮って出しの状態でも、モノクロ/カラーそれぞれに、フィルムライクな完成度の高い画像を得られる大変有用な機能にもかかわらず、なぜか以後の機種ではPEN E-P7以外は搭載されることがなかった。
しかも、PEN E-P7ではやや簡易なレバーになっていた切り替え機能が、PEN-F同様の存在感あるダイヤルとして復活しているのも注目のポイントだ。
銀塩のOM-1ではセルフタイマーがあったカメラ前面に据えられたダイヤルは、デザイン的にも良いアクセントになっている。
このクリエィティブダイヤルがあることで、モノクロとカラーに加えて各種アートフィルターを状況に応じて瞬時に変更が可能なことは大きい。
後からのPCでのレタッチ前提であればモノクロもカラーも関係なく取りあえずRAWで撮影しておけば良い訳だが、プロファイルコントロールは、基本的にはカメラ内で画を完成させ、JPEG撮って出しで使うことが前提の機能と言える。
だが、モノクロもカラーも両方撮る作家であれば、どうしてもフレキシブルにモノクロとカラーを現場で使い分ける必要が生じて来るものだ。
その際、ボタン呼び出しの煩わしい操作の手間が無く、簡単に切り替え可能なクリエィティブダイヤルは、そのときのカメラの設定が一目瞭然で把握できるし、とてもありがたいのである。
さて、実際の機能の内容を見てこう。
カラー/モノクロプロファイルコントロールを簡単に言えば、モノクロ・カラー共に4つのプリセットを基本に、撮影時に各種項目をコントロールして好みの画を作る機能である。
カラーは、標準の「プリセット1」のほか、渋みと重厚感のあるクロームフィルムリッチカラーの「プリセット2」、彩度が高く濃厚な発色のフィルム風の効果が得られるクロームフィルムビビッドの「プリセット3」、淡く柔らかい色調を得られるクロームフィルムソフトトーンの「プリセット4」という異なる4つのプリセットが用意されている。
モノクロは、標準の「プリセット1」のほか、モノクロフィルム風のクラシックフィルムモノクロの「プリセット2」、赤外線フィルムの様な効果が得られるクラシックフィルムIRの「プリセット3」、コントラストを抑え、柔らかい印象に仕上げるクラシックフィルムローコントラストの「プリセット4」である。
これらの基本的なプリセットの生み出す画質は、それぞれに個性的で完成度が高く、まずはデフォルトの状態でもフィルムライクな十分に満足の行く仕上がりを得ることができる。
そのうえで、より目的に沿った画を作り上げるため、モノクロの場合はフィルムのコントラストフィルターを模したカラーフィルター機能、調色、粒状フィルム効果という3つの項目がある。
カラーの場合は色相表に沿った12色の彩度を11段階に細かく設定が可能だ。
更にカラー・モノクロ共通の項目として、周辺光量をコントロールするシェーディング効果、シャープネス、コントラストのトーンカーブを調整するハイライト&シャドーコントロールがあり、撮影者の意図を反映した細かい絵作りができる。
こうして言葉で説明するとややこしくなってしまうが、実際に使用する際は背面モニターで効果を確かめながら直感的にコントロールができるので、操作自体はさほど難しいことはなく、一度把握できれば簡単である。
そのコントロール範囲は無限と言って良い程に幅が広い。
特にモノクロプロファイルの調整の幅広さとフィルムライクな画像のクオリティは他に類を見ないもので特筆に値する。
これらの調整項目のベースにあるのは銀塩時代のフィルターワークや現像テクニック、各種フィルムの選択などである。
そうした意味では、最新のデジタルカメラでありながら銀塩の経験値があれば大いに使いこなせる機能と言えるし、ビギナーにとっては実際に使いながら写真の原理を理解する良き教材にもなるだろう。
いずれにしろベテランからビギナーまで自分独自の好みに沿った理想のトーンや色彩を開拓する楽しみがあり、使いこなしがいのある機能と言える。
カラープロファイルコントロールプリセット1
カラープロファイルコントロールプリセット2
カラープロファイルコントロールプリセット3
カラープロファイルコントロールプリセット4
モノクロプロファイルコントロールプリセット1
モノクロプロファイルコントロールプリセット2
モノクロプロファイルコントロールプリセット3
モノクロプロファイルコントロールプリセット4
モノクロプロファイルプリセット2 粒状フィルム効果強 シェーディング効果−3

OM SYSTEM OM-3 ボディ
フラッグシップ同等の高画質
OM-3の裏面照射積層型Live MOSセンサーや画像エンジンTruePic Xは、既に定評のあるフラッグシップ機であるOM-1 Mark IIと全く同じ物を使用している。
当然のことながら、その画像もOM-1 Mark IIと完全に同等で、マイクロフォーサーズの小型センサーながら圧倒的な解像感と高いダイナミックレンジを誇る。
また、このセンサーとエンジンの能力を最大限に活かすため、中央6.5段、周辺5.5段の強力な手ブレ補正が装備されている。
巷では、作品としての写真はフルサイズで撮らなくてはならないと考える写真ファンも多い。
しかし、そうした層も先入観無しにOM-3の生み出す画像に接すればマイクロフォーサーズの真の実力を認めざるを得ないだろう。
もし、それでも満足できないと言う向きには、コンピュテーショナルフォトグラフィの1つ、三脚ハイレゾショットの使用をおおすすめする。
0.5ピクセル単位でセンサーを動かしながら8回撮影した画像を合成することにより、80M相当の超高解像写真を得ることが可能だ。
三脚が無い場合には50M相当の手持ちハイレゾショットも撮影することができる。
また、ハイレゾショットの他にも明暗差の大きな被写体をハーフNDフィルターで自然な美しさに仕上げるライブGND撮影や多重露出、深度合成など、新たな写真表現の領域を開拓する各種コンピュテーションナルフォトグラフィや、人物、モータースポーツ、鳥、犬・猫、飛行機に対応するAI被写体認識AFといった便利な機能も装備されているので、撮影意図に応じて駆使したい。
防塵防滴
僕は、オリンパス時代から名機PEN-Fを長く愛用してきた。
大変良くできた機種で、いまだに中古市場ではカルト的な人気を誇るが、防塵防滴ではないことは、1つの弱点であった。
お恥ずかしい話だが、僕はこれまでに2台、水で修理不能にしてしまった経験がある。無論、これは水の危険がある場所に持ち込んだ自分の使い方の問題であり、カメラのせいではない。
しかし、TGシリーズを始め、防塵防滴の技術には定評のあるOM SYSTEMのカメラとしてはやや残念な部分ではあった。
今回のOM-3は、PEN-Fの機能や高い質感のボディーなどの特徴を継承しながら、防塵防滴仕様になっているのは大変嬉しい進化である。
質感とデザインを重視したレバーやダイヤルの美意識を維持しながら、しっかりと防塵防滴機能を備えていることに感心する。
同時発売のM.ZUIKO DIGITAL 25 mm F1.8 IIとM.ZUIKO DIGITAL 17 mmF1.8 IIも光学系はそのままに防塵防滴化された。タフで軽快な、組み合わせはストリートでの雨や雪はもちろん、アウトドアでも安心して使用することができる。
まとめ
デザインと質感に優れた小型軽量ボディーに、フラッグシップ機と同等の機能をバランス良くまとめられたOM-3は、所有する喜びと使う楽しみの両方を満足させてくれる完成度の高い機種と言える。
銀塩カメラ的なレトロ感と最新機能の高度な融合は、今の時代に合った新鮮な感覚である。今後のOM SYSTEMの中核を担うカメラになるだろう。
OM-3を手に入れる方法
購入する
OM SYSTEM公式サイトでは、264,000円(税込)で購入できます。また、家電量販店やネットショップなどでも購入可能です。
レンタルする
「OM-3」に興味はあるけど、過去にレンズの購入で失敗したことがあるから、いきなり買うのはちょっと怖い…」という方には、レンタルするという選択肢がおすすめ。
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OM SYSTEM OM-3 ボディ








