GOOPASS MAGAZINEをご覧の皆さま、こんにちは。編集部のchinoです。
今回、2023年6月23日発売の「14mm F1.4 DG DN | Art」をSIGMA(シグマ:以下敬称略)様よりお借りしましたので、実写レビューをお届けします。
14mm F1.4 DG DN | Artは、「最高の星景撮影レンズ」として開発された、超広角単焦点レンズです。
ソニーEマウント用とLマウント用が同時発売されました。
14mmの超広角レンズとして世界初※である、F1.4の明るさを実現。
きわめて暗い夜空、極小の点光源である星という難しい被写体を写すため、SIGMAの光学技術すべてを投入した1本です。
描写力だけでなく、外観・操作性にも星空撮影をサポートするこだわりを感じられました。
今回は星景写真を中心に14mm F1.4 DG DN | Artをレビューするので、参考にしてみてください。
※魚眼レンズを除く、ミラーレスカメラ用・一眼レフカメラ用交換レンズとして(2023年6月SIGMA調べ)

14mm F1.4 DG DN [ソニーE用]
目次
14mm F1.4 DG DN | Artの基本スペック

まずは、14mm F1.4 DG DN | Artの基本的なスペックから見ていきましょう。
| 製品名 | 14mm F1.4 DG DN | Art |
| 対応マウント | ソニーEマウント/Lマウント |
| 焦点距離 | 14mm |
| F値 | F1.4 |
| 最短撮影距離 | 30cm |
| レンズ構成 | 15群19枚 |
| 最大径×長さ | 101.4×151.9mm/101.4×149.9mm |
| 重量 | 1160g/1170g |
| 付属品 | ケース、カバーレンズキャップ、リアキャップ、三脚座、プロテクティブカバー、ガイドプレート |
14mm F1.4 DG DN | Artの特徴
14mm F1.4 DG DN | Artの特徴を、従来モデルとの比較・作例などを交えながら紹介します。
世界初、14mmの超広角でF1.4を実現
特筆すべきは、世界初の14mm超広角でF1.4の開放値を実現した点。
2017年に同じ焦点距離の「14mm F1.8 DG HSM | Art」が発売された際も、世界初※・開放値F1.8のレンズとして人々に驚きを与えました。
あれから6年。14mmの超広角という、通常であれば収差の発生しやすい焦点距離でありながらそれを抑え、さらなる明るさも両立しました。
F1.8からF1.4の進化は、一見すると微々たるものに思えるかもしれません。しかし、星空撮影では顕著に明るさが変わります。
私の使用カメラは画素数の多いα7R IIIであり、できればISO感度は3200程度に抑えたいと考えています。
とはいえ撮影地によっては明るさが足りず、露出時間を伸ばすか、ISO感度を上げるかの選択をしなくてはいけません。
14mm F1.8 DG HSM | ArtであればF値で明るさを稼げる分、露出時間を伸ばしたり、ISO感度を過剰に上げて画質を傷めたりする可能性を減らせます。
※デジタル一眼レフカメラ用交換レンズにおいて(2017年2月現在)
ちなみにF1.8からF1.4にすると、シャッター速度を5秒ほど速めても同じ露出が得られる計算です。
星を流さずに撮影できる点はもちろん、動きのある前景も採用しやすくなるのではないでしょうか。
たとえば、風にあおられやすい草花や水面に浮かぶボート、動物など。私は未経験ですが、星空×ポートレート撮影ではモデルの負担も減らせるはずです。
今回は蕎麦畑を前景に入れた撮影をしてみました。
茎が細いため揺れやすく、花が小ぶりなのでディテールの出しにくい花ですが、シャッタースピードを短くして揺れを軽減できました。
明るさが得られることで、今までは撮影が難しかった被写体や失敗しやすいシーンでも作品作りができそうです。
周辺部まで解像がよくサジタルコマフレアがない
F値が低い大口径レンズを用いる星空撮影。
F1.4やF1.8など明るいレンズは多くあるものの、星空をF値開放で撮影できるレンズは実のところ限られています。
周辺部で星の形が歪になる収差(サジタルコマフレア)が目立ってしまうため、1/2~1段ほど絞る必要がありました。
しかし、14mm F1.4 DG DN | Artは、SLDガラス1枚、FLDガラス3枚、非球面レンズ4枚を含む、15群19枚のレンズ構成で徹底的に収差を補正しています。
中でもサジタルコマフレアの抑制に力を入れたとのこと。
実際に、開放F1.4とF2.0、F2.8の3つの周辺部と中央部を撮り比べてみました。
中央部に関しては絞るほど若干引き締まったような印象を受けますが、周辺部に関してはほとんど違いがわかりません。
ちなみに、前モデルの14mm F1.8 DG HSM | Art(キヤノン用)を数年間愛用してきました。
14mm F1.8 DG HSM | Artも十分素晴らしいレンズですが、開放撮影をすると周辺部のサジタルコマフレアが目立ちます。

一方14mm F1.4 DG DN | Artでは全くといってよいほど星像が崩れることはなく、画面全体で均一な星の形状を再現しています。
「絞るか、周辺部をトリミングするか」という選択を迫られる時代は終わったのかもしれません。技術の進歩ですね。
また、これほどの点像再現を可能にしていることからも分かるように、星以外の描写性能も高レベルです。
画質に重きを置くArtラインらしい、シャープな切れ味。絞り開放から、クリアな写りを実感できました。
全体的に、繊細で上品な印象を受けます。星ひとつひとつが見えないほど細かく描写され、ゆえに肉眼で見る星空に近いような撮影が可能です。
もちろん派手なレタッチに耐えうる画質もあり、その点でも可能性を拡げるレンズといえます。
周辺減光の比較
一般的にF値が低いほど周辺減光が目立つため、周辺減光に関しても比較してみました。
開放F1.4では確かに減光がハッキリしていますが、レンズ補正で気にならない状態まで修正可能です。
むしろ星空撮影では多少減光しているほうが自然な気もします。
周辺減光に関しても問題にならないと感じるので、14mm F1.4 DG DN | Artは描写上のデメリットが存在しないレンズ、といっても過言ではなさそうです。
行き届いた機能性と操作性のよさ
20mm F1.4 DG DN | Art、24mm F1.4 DG DN | Art、そして今回の14mm F1.4 DG DN | Art。2022年からの1年で、SIGMAは星景撮影を意識したArtレンズを3本発売しました。
いずれも高い光学性能だけに留まらず、操作性を意識したデザインが採用されています。
三脚座

今回は1,160g(ソニーEマウント用)と、ミラーレス用の単焦点レンズとしては重量級です。安定性を求めて、アルカスイス規格の三脚座が付きました。
三脚にも装着しやすく、縦構図にもすばやく変更可能です。
三脚座は着脱できますが、個人的には手持ち撮影の際も付けて左手で支えている方が安定する気がします。
尚、三脚座を外した際にできる窪みを隠すためのプロテクティブカバー(PT-41)も付属。
ロック機能付きレンズキャップ
また、今回新たに採用されたのが、ロック機能がついたかぶせ式のレンズキャップとフィルター収納ホルダー。
14mm F1.4 DG DN | Artはレンズが飛び出したいわゆる「出目金レンズ」であり、レンズキャップはかぶせ式です。
従来にはなかったロック機能が備わり、うっかり外れてしまう事故が防げます。
キャップ裏には初見でまったく用途が想像できないギミックが搭載されていました。

キャップの左右が変形して、シートタイプのリアフィルターホルダーになります。シートフィルターを使用した場合、この隙間に収納してからスロットを閉じれば落下の心配がありません。

サイズは20mm F1.4 DG DN | Art等と同様のものが使用可能です
恥ずかしながら撮影中に何度かシートフィルターを紛失しているので、この手の細やかな配慮は非常にありがたいですね。
リア側のフィルターホルダー

新機能ではありませんが、レンズリア側に上記のシートフィルターが挿入できるホルダーがデフォルトで搭載されています。
フィルターをカットするためのガイドプレートも付属。
作例を撮影したのは9月で、この頃に見られる星空はソフトフィルターをつけると華々しい写真になります。


14mm F1.4 DG DN | Artはレンズが飛び出している設計で、フロント側には角形フィルターしか装着できません。
とはいえ角形フィルターは一般的なレンズヒーターで曇りが防止できないので、条件によっては正直あまり使いたくなかったり……。
そのような意味でも、リア側にフィルターが挿入できるホルダーがデフォルト化してうれしく思います。
その他
そのほか、レンズヒーターが前方に飛び出してケラレが発生しないよう、20mm F1.4 DG DN | Artと同様「レンズヒーターリテーナー」が採用されました。

従来レンズと比較すると、一体型フードの根本にわずかな段差があります。
太いレンズヒーターを巻くとフォーカスリングと干渉しますが、フォーカスリング操作を無効としてくれるMFロックがあるためピントズレの心配がありません。
また、MFロックをはじめとしたボタン群も、20mm F1.4 DG DN | Art、24mm F1.4 DG DN | Artと同じです。

ボタンやロックは数が多いため、暗闇で間違えないよう並び順を覚えておくとよいでしょう。
星空撮影以外のシチュエーション
超広角レンズで身近な被写体を撮ることは稀ですが、良い機会なので撮影してみました。

やはりF1.4ともなると被写界深度が浅く、ピント合わせがシビアになります。

また、超広角ゆえに背景との距離なども考えないとボケは体感しにくいものの、開放でも綺麗な玉ボケが作れました。
標準レンズにはない、パースの効いた構図になるのも14mmの面白さですね。手前から遠くへ視線誘導をして、広がり感を出すにはうってつけの焦点距離です。
広い風景と相性が良いのはいうまでもないでしょう。
そしてなにより、細部の質感を際立たせる描写力。古材を打つ波音まで聞こえてきそうな再現力だと感じました。
14mm F1.4 DG DN | Artを手に入れる方法
購入する
SIGMA Online Shopでは、ソニーEマウント・Lマウントともに220,000円(税込 ※2022/10/9現在)で購入できます。また、家電量販店や各ネットショップでも購入可能です。
※ 2023年6月23日発売
レンタルする
14mm F1.4 DG DN | Artが気になっているけれど、「いきなり買うのは怖い」「試しに使ってみたい」という方には、レンタルという選択肢がおすすめ。
“カメラのレンタル・中古買取・中古販売” GOOPASSでは、「14mm F1.4 DG DN | Art」を1泊2日からレンタルすることができます。

14mm F1.4 DG DN [ソニーE用]
まとめ

星空撮影を中心に「14mm F1.4 DG DN | Art」をレビューしました。
超広角でF1.4の明るさ、少ない収差、解像性能……。現状、ライバルを寄せ付けない唯一無二のレンズといえそうです。
重量は従来と大差なく1kgを越えているため、正直なところ軽くはありませんが、描写性に振り切った潔さを感じます。
星空撮影は、軽快に移動をしながら枚数をたくさん撮るよりも、同じ場所でじっくりと1枚の写真を撮るスタイルが一般的なジャンルです。
もちろん軽いに越したことはありませんが、移動が少ない撮影地での使用であれば、多少の重量には寛容になれる方が多いのではないでしょうか。
なにより隅々まで均一に点で画かれた描写を見れば、細かいことは気にならなくなります。明るさ・解像感主義の方は試してみて損はないはずです。
星景撮影のレンズ選びに迷っている方は、ぜひ14mm F1.4 DG DN | Artを検討してみてください。


















