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レンズ越しの世界
「あ、カメラの子だ。」
名前の知らない同級生からそう呼ばれていた高校生時代。学校で毎日カメラを持ち歩く私はそう呼ばれることにどこか誇らしげだった。レンズを通して見る世界は不思議と温かい。友達の楽しそうな笑顔や教室の風景。その何気ない景色は記憶の中だけでは収まりきらなかった。そんな時、私は瞬時に「カメラの子」になる。レンズ越しに見る日常は光で溢れていた。そんな温もりと光を閉じ込めた写真が撮れた時、私の胸は大きく高鳴った。

焦点距離:35mm、絞り:F/1.4、シャッタースピード:1/2000、ISO感度:200
葛藤
最初は持っているだけで誇らしかったカメラだが、写真を撮っていくうちに自分の技術不足に目がつくようになった。もっと理論的に写真を学びたい。そんな思いを抱えていたカメラの子こと私は関西大学のオープンキャンパスで衝撃を受ける。何と大学で写真を学べる授業があったのだ。そこからは受験校を関西大学一本に絞り必死に勉強した。
浪人の末に何とか合格を果たした私は迷わずフォトグラフィー実習を履修した。授業ではプロも使用する機材を手に様々なシチュエーションで写真を撮ることが出来る。今までは設定から構図まで何でも感覚で決めていた私は、研究者でもあり写真のプロでもある先生たちの指導に眼から鱗の連続だった。
一方で、周りの受講生が次々と成果を上げる様子を見て心がざらついた。焦りだった。写真に対して初めて抱く負の感情にシャッターを押す手が止まる。どうしたらもっと上手く撮れるのか。悩み逃げ出したくなった時、ふと「カメラの子」であった頃の自分に思いを馳せた。写真を学びたくて必死に勉強した。これまでの純粋な努力も初めての負の感情も無駄にしたくない。自分の壁を越えたい私はますます貪欲に授業に食らいついていった。
自分越しの世界

焦点距離:35mm、絞り:F/1.4、シャッタースピード:1/4000、ISO感度:160
そんな時、授業の一環として1ヶ月間GOOPASSでカメラをレンタルさせていただけるという夢のような話が耳に入る。私は目を輝かせた。自分の壁を越える一つのきっかけになるかもしれない。
関西大学とGOOPASSのコラボにより実現したその夢。私が借りた機材はFUJIFILM X-T4 フジノンレンズXF35mmF1.4 Rだ。
デザインが可愛く、軽い。しかし決め手はフィルムシミュレーションという特別な機能があったことだ。往年のフィルムをベースにした色再現を選択できる画像設計機能で、フィルムカメラでフィルムを交換するように、場面や気分に合わせて発色やコントラストを変化させることができる神機能だ。
フィルム風の写りが大好きで普段はフィルムカメラを愛用している私がずっと憧れていたカメラ。ときめきが私をかけめぐる。
私は毎日このカメラを持ち運びたくなった。憧れのカメラで撮る世界は自分が想像している以上に温かく、そしてより鮮明に輝きを映し出してくれる。レンズを通して初めて見えるものが沢山ある事に改めて気付かされた。

焦点距離:35mm、絞り:F/1.4、シャッタースピード:1/4000、ISO感度:160
それは会話の中でのふとした表情へのときめき。光と影が織りなす煌めき。普段見逃していた身近な温もり。シャッターを切ることが楽しくて仕方がない。そんな自分が何だか嬉しかった。
「懐かしいな、この感覚。」

焦点距離:35mm、絞り: F/1.4、シャッタースピード:1 /2000、ISO感度160
生活の一部として馴染み始めたX-T4が「カメラの子」と呼ばれていた自分を呼び戻してくれたような気持ちだった。しかし、以前と全く同じ自分ではない。実習で学んだ知識がすでに無意識のレベルにまで馴染んだ私に「自分らしさ」という武器がもう一度加わった、アップデートされたカメラの子だった。私にしか感じることのできない友達の空気や風の色がある。今の私だからそれを写し撮り、形にすることができる。そう気づいた瞬間から世界は彩りを取り戻し、日常は光で溢れた。自分越しに見える全てがとても愛おしく輝きだす。
GOOPASS越しの世界

焦点距離:35mm、絞り:F/1.4、シャッタースピード:1/8000、ISO感度:200
サブスクであるGOOPASSを利用することによって、手の届かない憧れのカメラを日常に手軽に呼び出すことができる。所有しないことの「軽さ」が、写真との心理的な距離をグッと縮めてくれる。

焦点距離:35mm、絞り: F/1.4、シャッタースピード:1/2000、ISO感度:160
この1ヶ月間撮りためた写真を見返すことで、私は写真への愛情の原点を改めて理解することができた。それは大切なものを大切なまま閉じ込めておきたいという情動。ただ闇雲にシャッターを切っていたあの頃とは違う。GOOPASS越しに見える世界は、私にしか感じることのできない色を温かく映し出してくれていた。
目の前の光景を写真として切り取りたいと感じる瞬間。それは自分らしさを発見する旅の始まりの合図だ。あなたが自分らしさを取り戻すための旅路に、GOOPASSはきっと寄り添ってくれる。
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著者プロフィール:葛西 悠里(かさい・ゆり)

2000年生まれのミレニアムガール。
明るいとよく言われるが実は人見知り。
食べることが大好きでご飯に一番合うおかずはラーメンだと思っている。
■Instagram:@b_oohk






