「えっと・・・この状況、まだ飲み込めてないんだけど・・・・」
満足気に煙草を吸う父を横目に、私は思い切って口を開いた。
「どうしてここにいるの?私に会いにきたってこと?いつまでここにいられるの?」
堰を切ったように疑問が溢れ出す。小さな頃は世界が不思議に溢れていて、父を質問攻めにして困らせたが、あの頃と同じようだと頭の片隅で思った。
父は困ったような顔をしながら、煙と言葉を吐き出した。
「実は、自分でもよく分からないんだ」
そう言うと、煙草を持っていない方の手でランタンを掲げ、遠くを見る目をした。
「気がつくと真っ暗闇の中、ランタンの灯りを頼りに歩き続けていて、帰らないと、と思いながら足を動かしていたら、ここにいて・・・」
父は言葉を切り、ぼんやりとした表情になった。
「じゃあ、ここに帰りたいって願えば、これからもいつでも帰ってこれるってこと?」
勢いづいて聞く私に対する父の回答は芳しくなかった。
「うーん、どうだろう。難しいことはよく分からないけど、天気、気圧、湿度とか、色々な条件が重ならないと帰ってこられないらしい」
「そんなの誰が言ってたの」
「誰だったかな。でも、父さんとしてもそんな気がするんだよね」
「・・・変なの」
予想はしていたけれど、そう上手くいくものではないらしい。私は肩を落とした。




