足首のあたりまで積もった雪を蹴散らしながら、父の背中を必死で追いかける。
距離があと2メートルくらいのところまで迫り、もう一度叫ぼうとした時、父が振り向いた。
私の姿を認め、ああ、とため息をつき、目尻を下げて微笑んだ。
最後の記憶の中の父は痩せ衰え、病院のベッドの上で苦しそうに息をしていたが、今目の前にいる父は血色も良く、元気な頃の姿のままだった。
「お父さん・・・?」
語尾が震えた頼りない声は、まるで他人の言葉のように響いた。息は荒く、頭の芯がぼうっとしている。
父は力強く頷き、口を開いた。
「うん。ただいま」




