チリリリンとめざまし時計の鳴り響く田舎町の寂しさを、皆さんはご存じでしょうか。

朝6時すぎ。眠たい目をこすり、ベッドのどこかにある暖房のリモコンを手繰り寄せて、あとそれから、寝ぐせを整えて。
まもなく外に出るので、ベッド脇の窓から外を眺めます。
「今日は、きっと晴れみたい」
この時期特有の朝もやが辺りの景色を隠していますが、わたしはあまり納得がいっていません。
「隠さなくったって、こんな田舎町、何もないのに」

今日はプラスチックごみの日。
ゴミ捨ては、小さい頃からのわたしの役割です。昔はゴミ捨てをするたびに、両親から10円のお小遣いをもらえていたけれど、いつからかもらえなくなってしまったけれど。
適当な上着を羽織り、お気に入りのスニーカーをとんとん。扉を開けた瞬間の「いってきます」は、十軒先の田中さんちくらいまでは、きっと聞こえているでしょう。この町の静けさと相反するように、今日もわたしは元気です。
左手にゴミ袋、右手には、小さなカメラが一台。最近、どこへ行くにもフィルムカメラを持ち歩いています。1年前におばあちゃんちで見つけた、OLYMPUS TRIP 35という小さくて可愛いそのカメラは、亡くなったおじいちゃんの形見です。

もやが薄まってきた頃、ゴミ捨て場に着きました。
何だかこのまま帰るのはもったいない気がしたので、カメラも持っていることだし、少し散歩することにします。

わたしは、田舎が嫌いです。
カメラのファインダーを覗いても、見えるのはどこまでも続く田畑と、空き家かどうかも分からない古民家が、ぽつりぽつり。キラキラしたネオンも、お洒落なカフェもありません。近所に住む老夫婦の杖のつく音や、農道を走るトラックのエンジン音は、田舎町の寂しさをより際立たせています。







