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てのひらの炎 12ページ目

コートを羽織り、玄関のドアを開けて外に出た。
雪に覆われた、見慣れた故郷の風景が目の前に広がる。
涙に濡れた頬に刺す風は冷たく、朝の光は温かかい。父のいない、いつもの朝だ。
私は自分の存在を確かめるように、手袋越しに自分の手を強く握ってみた。
握ったところから、脈拍に合わせてどくどくと熱が広がっていく気がする。
(きっと、大丈夫)
朧げな夢の記憶の中で、父から最後にかけられた言葉が、鮮やかに耳に残っている。

確かに二人だけだったあの世界で、手のひらに感じた小さな炎の熱が息づいているようで、私は自分の手を握りしめたまま、目の前に広がる景色をいつまでも眺めていた。

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この記事を書いた人

学生の頃に写真活動を始め、独学で撮影技術を獲得。「季節のうつろいや物語性を感じさせる写真」をテーマに数々の作品を制作。元国家公務員で、現在は兼業カメラマンとして活躍中。2022年9〜10月には「恵比寿 gallery HALO」にてAoki Nagisa氏との合同写真展『透光』を開催した。

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