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田舎者写真日記【番外編:科学的根拠のないお話〜フィルム写真と欧州ひとり旅〜】 6ページ目

なにか物思いに耽るわたしの心を読んだのか、ソフィアおばあちゃんはゆっくり、こう切り出しました。

「ごめんなさいねありあ、変なことを言って。」
「わかってる、わかってるのよ。わたしはきっと、写真に、写真によってあたたかくなる自分の心に、そして写真によって蘇るかけがえのない記憶に、いまこうして生かされているのよね。」

「ありあはどんな写真を撮るのかしら。よかったら、見せてもらえないかしら。」

ヴェネチアの冬はたしかに厳しいけれど、ソフィアおばあちゃんと過ごすこのかけがえのない時間は、どの季節のそれにも、当てはまらなかったように思います。

「素敵な旦那さんだったんですね。」
「勝手に人のことを殺すんじゃないよ、まったく。」

エプロン片手に突然リビングに入ってきた素敵な白髭のおじいちゃんは、わたしにそう言って。

瞬く間に笑い声に包まれたこの空間を、わたしは決して忘れないでしょう。

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この記事を書いた人

写真家、文筆家。東北の田舎町出身。

ドイツの大学で西洋美術史を学んでいる。
2021年に祖父の形見としてフィルムカメラを譲り受けて以来、フィルム写真の魅力に取り憑かれてしまう。「青春」や「日常」をテーマとしつつも、様々なジャンルの写真に挑戦し、絶賛成長中。

また、幼少期から書いている日記を、SNSで毎日発信している。