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田舎者写真日記【第四回:わたしの住むこの田舎町には、AIがあります】 2ページ目

それから1ヶ月くらい経って、「あなたが写真を撮る理由って、なんですか。」に対するこの田舎町に住む人々の答えが、幾十ばかりか集まりました。

カメラっていう物が好きだから。孫が可愛いから。昔プロになりたかったから。プリントして、近所のママ友に見せたいから。遠くに住む息子夫婦にLINEで写真を送りたいから。楽しいから。

色々な理由が、メモ帳15ページ分くらいにぎっしり書かれていますが、これだけたくさんの答えを知ってもなお、わたしの心の中のモヤモヤがなくなることはありませんでした。
ただ、モヤモヤと同時になぜかスッキリした気持ちも同居しているのはきっと、ゆっくりとした時間の流れるこの町でたくさんの話を聞いたことで、色々なことを整理できたのだと思います。ちょうど年末の大掃除で、ごみはまだ捨てていないけれど、捨てるものと取っておくものの仕分けはきちんと終わったような、そんな感じと似ているかもしれせん。

SNSを見ていると、断片的な情報が都会を走る電車みたいに次から次へとやってきて、どれが正解で、そしてわたしはなにをすべきなのか、よく分からなくなってしまうことがあります。

それはつまりわたし自身の未熟さゆえの問題でもあるのですが、そんな時にわたしを支えてくれたのは、やっぱり近所のじじばば、お兄さんお姉さんたちでした。彼ら彼女らの長ったらしい話は、ときに煩わしく、全校集会の校長先生のそれに通ずるものがありますが、その話には説得力や裏付けみたいなものがきちんとあって、それは例えば話をする際の彼ら彼女らのまなざしや手のしわの数、そして今日まで守られてきたこの雄大な自然なんかが、物語っているわけです。

ここまで書いてきたわたしの文章は、およそどこかに公開するようなものではないのかもしれません。なぜならこれは、わたし自身の思考の整理みたいなものでしかないように思いますし、わたし自身がなんのために写真を撮り、そして今話題のAIがわたしの撮る「写真」にどのような影響をもたらすのか、なんの結論も出ませんでしたから。ただ間違いなく、さまざまなことを考えるきっかけにはなったことを、信じてやみません。

記録写真と芸術写真の違いがどうとか、SNSの存在によって加速する「消費」のこととか。
そもそもAIさん、まずはあなたのことを知らなくちゃ。

写真を撮る理由だって、そう。この小さな田舎町で尋ねてまわっただけでも、A6サイズのメモ帳15ページ分が埋まるくらいには「理由」があるわけで、つまるところそれは、人間の数だけあるのかも?なんて思ったり。
そしてわたしが約1年半前に写真を始めたきっかけが、「楽しい」とか、わたしにカメラをくれたおじいちゃんを「感じたい」という真っ直ぐな気持ちだったこともまた、忘れてはならないでしょう。

とかく、色々な要素が複雑に絡み合い、たくさんの想いがそこに乗っかっている物事対して、簡単に何かを言い切ることはできませんが、やっぱりわたしは、写真が大好きです。

今回質問に答えてくださった近所のじじばばも、お兄さんお姉さんも、そしてわたしも、AIのことをまだよく知りません。でもその代わり、わたしの住むこの田舎町には、愛(あい/AI)があります。

AIさんの出身はどこ?好きなタイプは?苦手な食べものは?
あと年齢とか身長とか、あ、どんな本を読んでいるのかも知りたいなあ。

佐々木さん、わたしはきっとAIさんと仲良くなりますから、またあなたと喫茶店で話をしたいです。その時はわたしもウィンナーコーヒーを飲んで、上くちびるにちょこっとクリームを残すなどして。

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この記事を書いた人

写真家、文筆家。東北の田舎町出身。

ドイツの大学で西洋美術史を学んでいる。
2021年に祖父の形見としてフィルムカメラを譲り受けて以来、フィルム写真の魅力に取り憑かれてしまう。「青春」や「日常」をテーマとしつつも、様々なジャンルの写真に挑戦し、絶賛成長中。

また、幼少期から書いている日記を、SNSで毎日発信している。