
にわか祭りでは一般的なキリコではなく、武者絵を描いた巨大な行燈が担がれる。
特筆すべきはそのスピード感で車輪付きの大奉燈が街中を所狭しと駆け巡る。
やがて海瀬神社とたどり着き、そこでも周囲をぐるぐる回ったり、時に真ん中に躍り出てみたりと「にわか」の乱舞が深夜まで続く。
今年は時々雷光が夜空に閃く中での開催だったが、その空の色を映してドラマティックな写真を撮影することができた。

また、能登には「ヨバレ」という習慣がある。
これは、祭りの日に各家庭で親戚や友人らを多数自宅に招き、ごちそうでもてなす習慣のことだ。
とある町で祭りがあれば、その他の町の親せきや友人など、普段お世話になっている人を招いて、もてなす。そこに呼ばれた親戚や友人の町で祭りがあるときに、以前もてなしてくれた人が「よばれ」てもてなされる。
「よばれ」た人は食事をし、またその地域の祭りを楽しむ。
本来は能登の人でなければなかなか体験できないのがこの「ヨバレ」だ。
今回お誘いを受けて超常連の人たちと一緒に鵜川の改築したての古民家でこのヨバレを体験させていただいた。
輪島塗りの器に地元の食材を使った料理が供され、お酒と共に振る舞われる。

この能登でもそうだけれど、写真を撮ることが私を想像しえない場所や人のところへと運んでくれた。撮るために旅をしてその旅先で誰かと出会う。写真を見せたり、SNSに投稿をすれば誰かの反応が次なるモチベーションの引き金となり、ときにはアルゴリズムが新たな旅先へと私を導く。
それを「承認欲求www」と言って笑うのは簡単だけれど、
その先へ先へと進むことで能登に住んで祭りを撮り歩いているフォトグラファーの方にお会いしたり、能登線の終焉を見届け、それを収めた写真家の方にもご挨拶できた。
決して大きなマイルストーンではないけれど、カメラを買って撮り始めたころには全く予想もできなかった未来だ。
実は最近会社の若手に少し話をした。仕事じゃない、趣味の話だ。
「一人でやるのも悪くないけれど、誰かの目に触れるところでやることを勧めるよ」
と、半年以内にライブをやるかYouTubeに動画を上げてはどうかと話をした。
彼の場合は音楽だったので写真とは違う。
・・・余計なお世話だったかもしれない。
でも、何かに興じてそれを人前に曝すこと、発信し続けることは確実にあなたを未だ見ぬ場所に連れて行ってくれる(もちろんSNSに限らず)。
時に反応もなく空虚に思えることや嫉妬に焼かれることがあってもその先にはきっと受け取る人がいて、そこから繋がる今と違う景色がある。
老婆心ながら、ここ数年で失われたものを取り戻してほしい、という気持ちも少しある。
そんなことを考えていたら来年の予約をすっかり忘れていた。
恐る恐る聞いてみる。
「先日、来年の祭り、まだ宿は空いていますかね?」
「あはは、もうこっちで勝手におさえとったよ!」
来年もよい夏を能登で過ごせそうだ。

今回使用したカメラ・レンズ
SONY α7R V ILCE-7RM5

FE 70-200mm F2.8 GM OSS SEL70200GM


FE 16-35mm F2.8 GM SEL1635GM

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