MENU

田舎者写真日記【第六回:言の葉の森】 2ページ目

なんとも不思議なタイミングだったと思います。
“言葉”についてある悩みごとを抱えて近所を散歩していた時、2丁目の藤原さんちでお通夜が行われているのを目にして、わたしはすぐに自身の家に戻りました。

お母さんに「あれ、言ってなかったっけ。藤原さんちのおばあちゃん、病気で亡くなったんですって」と言われてからのわたしは、およそ衝動的に、異なる種類のサンダルを履いては家を飛び出して、特に意味もなく、彼女の畑へ向かったのです。


「中学生の時のことなんて、いまのいままで、忘れてたなあ」

藤原のばあちゃんは、言葉に厳しい人でした。わたしの祖母でもないのに、ただの近所のおばあちゃんなのに。わたしという木から生え枝分かれする言の葉の中から、虫のくっているものを都度丁寧にもぎとり、綺麗に整えようとする、そんな人でした。ちょうど、彼女の畑仕事のように。

1 2 3 4 5
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

写真家、文筆家。東北の田舎町出身。

ドイツの大学で西洋美術史を学んでいる。
2021年に祖父の形見としてフィルムカメラを譲り受けて以来、フィルム写真の魅力に取り憑かれてしまう。「青春」や「日常」をテーマとしつつも、様々なジャンルの写真に挑戦し、絶賛成長中。

また、幼少期から書いている日記を、SNSで毎日発信している。