MARSH読者の皆さまこんにちは。ついに本格的な梅雨シーズンが到来しましたね。
第3回では「雨の日のスナップ写真」の撮影方法を【夜景写真家】のDAIさんにご紹介いただきました。

第4回となる今回は引き続き「雨の日」をテーマとし、「水たまりのリフレクション写真」についてDAIさんに教えていただきます。
「雨の日は機材が濡れるのが心配」という方でも水たまりのリフレクションは比較的挑戦しやすいので、ぜひ最後までご覧ください。
雨の日の撮影に挑戦してみたい方から、梅雨の季節に家に籠りがちという方まで、ぜひ最後までご覧ください。
Creator’s Styleとは…
「だいぶ写真撮影に慣れてきたけど、自分の作風がなかなか出せない」「自分が撮りたいイメージになかなか近づけられない」という悩みを持つ方は、きっと少なくないはず。
そんな読者の悩みを解決するべくスタートしたMARSHの新企画が、Creator’s Style(クリエイターズ・スタイル)。
撮影テクニックや作品表現に関するノウハウを、独自のスタイルを持つクリエイターにレクチャーしていただく、1ランク上のお勉強コンテンツです!
自分の色を出すための、自分の思い描く理想の作品表現に近づくための、とっておきのヒントがたくさん詰まっているので、ぜひ最後までご覧ください。

フォトグラファー・DAIさんについて
まずは今回「光と影を生かした撮影方法」について教えてくださるDAIさんについて紹介します。

DAIさんの作品






リフレクション写真が撮れる条件

天気
ー今回もよろしくお願いいたします!
まずリフレクション写真が撮れる条件を天気から教えていただけないでしょうか?
DAIさん雨が降った後の水たまりを撮るので、天気は無風に近い方が良いです。水面が揺らいじゃっていると、きれいに反射してくれないんですよね。
風が吹いている状態で撮ると、写っているものがなんとなくはわかるけど、鮮明には写らない写真に仕上がっちゃうんです。
ーなるほど。きれいにリフレクションさせるためには水面が揺れていない状態が理想ということですね。



はい。風が吹いているときの他にも、雨が降っているときもリフレクション写真を撮るのは少し難しいです。
雨が降れば水たまりができて、撮りやすいと思われるかもしれないですけど、リフレクション写真は、(雨が)降っている最中だと、雨が水たまりに降りかかって水面が波打っちゃって……あんまりきれいに撮れないんですね。
ーでは天気の条件としては、雨上がりの風がない状態がベストなのでしょうか?



そうですね。雨上がりか、雨が弱まっているタイミングでも撮ることはできます。
なかなか条件は難しいかもしれませんが、台風一過なんて最高ですね。
明かり
ー明かりに関しては雨の日のスナップと同様な感覚で撮影すれば良いでしょうか?



はい。看板やネオンサインなどの光源が多い場所がオススメです。
時間帯
ーきれいなリフレクション写真が撮れる時間帯を教えてください。



夜のスナップと同じ19時前後ですかね。日没後だとより明暗差がきれいなリフレクション写真を撮ることができます。
リフレクション写真が撮れる条件
・雨上がり&無風のタイミングがオススメ
・看板やネオンサインなどの光源が多い場所を狙う
・完全に日が落ちた後だと、明暗差のある写真が撮れる
服装
ー服装に関してはどんなものがオススメでしょうか?



雨の日のスナップと特に使い分けていないですね。滑りにくく撥水性のある靴やアウターと、バッグはレザー調の水が染み込みにくいものを使用しています。
機材
カメラ・レンズ
ーカメラやレンズは雨の日のスナップ写真と同様のものを使用しているのでしょうか?



カメラは第3回で紹介したNikon Z 6Ⅱを使用しています。
レンズに関してですが、リフレクションを撮影する場合はSIGMAの12-24mm F4 DG HSM | Art と、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S の2本を持って行きます。
リフレクションとスナップを一緒に撮影する場合はNIKKOR Z 50mm f/1.8 Sも含めた、計3本のレンズを使用することが多いです。
ー50mmのレンズをリフレクション撮影で使用しない理由はありますか?



リフレクションをきれいに撮るには、24mm程度の広角で撮らないと下(映り込んでいる象)まで入らないんですよね。
僕は12-24mmしか持っていないんですけど、もし20mm前後のレンズがあればそれでも大丈夫だと思います。
ーなるほど。リフレクション写真は建物だけでなく、その下で反射する水たまりまで写さなければならないので、ある程度広角側のレンズが必要なんですね。
アクセサリー
ーリフレクション写真を撮るときに必要なアイテムとかってあるんでしょうか?



僕はSmallRigのL型ブラケットを使用しています。
ーこれって三脚の着脱をスムーズに行うための機材ですよね?撮影で三脚を使用するということでしょうか?



僕の場合は、水たまりに機材を沈めて撮影するので、カメラに水かつかないようにこのL型ブラケットを使用しています。
オススメの撮影地


ーリフレクション撮影にオススメのスポットがれば教えてください!



これからリフレクション撮影を始める人向けであれば、まずは東京駅がオススメです。
雨上がりの夜に東京駅に行ったら、同じようにリフレクション写真を撮っている方がたくさんいるので、人が集まっている場所を見れば、どの水たまりで写真を撮れば良いかっていうのが分かりやすいと思います。
ーその際の撮影ルールのようなものはあるのでしょうか?



東京駅でいうと東京駅の駅前が三脚禁止になっているので、そこだけ気をつけていただければ大丈夫だと思いますよ。
ー東京駅以外でオススメの場所はありますか?



あとは浅草寺もリフレクション写真の撮影でオススメのスポットです。
街中で印象的な看板を探すのって最初は難しいかもしれないですけど、東京駅や浅草寺は有名な観光名所ですし、比較的撮りやすいスポットだと思います。
ーそうなんですね。浅草寺も雨上がりに撮影される方が多いのでしょうか。



多いですね。あと東京駅や浅草寺、歌舞伎町もそうですけどライブカメラがあるんですよ。
ライブカメラがあると雨の状況が分かるので、そういう意味でもオススメです。
「そこに行けばなんか撮れるかな」っていう意味で言うと、個人的には新宿もリフレクション写真の撮影でオススメの場所ですね。
設定


ー水たまりリフレクションの撮影をする際、カメラはどのような設定にされていますか?



基本的には前回お話しした内容と同じです。
撮影モードはマニュアルで、F値は標準の24-70mmを使うときはF4、50mmを使うときはF2.8、シャッタースピードは1/125〜1/200ぐらいで、ISOは800~2000、ホワイトバランスは5000K、露出アンダーで撮影しています。
ーありがとうございます。同じようにライブビューで撮影されるのでしょうか?



はい。水たまりの水面ぎりぎりまでカメラを下げるので、ライブビューで撮影しています。
カメラ設定を決める際のポイント
・マニュアルモードで撮影
・基本的にはF4(50mmを使う際はF2.8)、シャッタースピードは1/125〜1/200、ISOは800〜2000、ホワイトバランスは5000Kに設定
・AFはAF-Cモードにし、3枚連写で手ブレしないようにする
・片手で撮影することが多いため、ライブビュー優先モードにし、ファインダーは使わない
撮影方法


構図
ー水たまりのリフレクション写真の撮影方法を教えてください。



水たまりを挟んで反対側に主題となる物を持ってくる感じで撮影します。
コツとしては、例えばこの上の写真の場合「マルチメディア」というネオンサインを主題としたかったので、水たまりを挟んでその反対側に自分が立っていれば、このように水面に主題となるテーマが映り込んできます。
基本的に水たまりがあって、 自分が撮影する反対側に何かしらモノがあれば、絶対に反射しているんです。
なので、水たまりをまず見つけて、その水たまりの反対側に写したいもの、面白いものがあれば、どこでも撮ることができます。
ー水たまりの反対側とはどういうことですかね…?



言葉で説明するのは難しいですね……。
まずは水たまりを見つけて、明かりに向けてシャッターを切ればリフレクションを収めることができはずです(下イメージ図参照)。





リフレクション撮影は、ほぼアングルで決まります。
レンズを水たまりギリギリつくかつかないかぐらいのところまで、下げれば下げるほどきれいに映ると思います。
ー構図としては主題となる建物と水たまりが1:1ぐらいになるように撮るのが良いでしょうか?



そうですね。きれいに鏡面を見せる、それこそまるで反転世界のように見せるのであれば、シンメトリーに撮るのが1番きれいだと思います。
ー水たまりはどの程度の大きさなら撮ることができるのでしょうか?



水たまり大きさは結構小さいものだと、奥の方まで映らないので、ある程度大きさは必要です。
ただあまりにもきれいに全部写しすぎちゃうと、本当にただ反転してるだけの(面白味のない)写真になってしまうので、水たまりに映っているってわかるぐらいの構図を意識していたりします。
ーあえてそのような構図を意識する理由はありますか?



完璧なシンメトリーのリフレクション写真って、多分作ろうと思えばPhotoshopを使って作ることができるじゃないですか。
主題となる建物を反転することで作れると思うんですけど、 それだったら雨の日に行く必要がないと思うので……。
水たまりだと分かる程度のディティールが好きなんですよね。
水たまりを見つけるコツ
ー実際に撮ろうと思ったとき、いい感じの水たまりを見つけるのって難しいと思うのですが、何かコツなどはあるのでしょうか?



雨上がりだったら、結構どこでも水たまりはできているとは思うんですけど、リフレクションしている水たまりを見つけるたびにカメラを構えて写真を撮るのって面倒くさいですよね。
そこでオススメなのが、カメラでの撮影前に、スマホで1回画角チェックする方法です。
スマホだったらすぐカメラを起動できますし、一度写真を撮ってみてリフレクションがきれいかどうかチェックできるので、画角をなかなか見つけづらい人にはおすすめです。
ーなるほど。たしかにそのやり方が一番スマートかもしれません!



あとは、水たまりは大きさのほかに、深さもある程度あるといいです。
浅い水たまりだと映り込みが甘かったりするので、パッと見たときに「ある程度反射しているな」っていうのがわかるぐらいの水たまりだと、きれいにリフレクションしてくれます。
ー深さが重要なのは知りませんでした。



浅い水たまりだと、底面のアスファルトが透けて見えてしまうことがあるんですよね。
深ければ深いほど、リフレクションはきれいに映り込みます。
写真を撮るときの体勢


ーリフレクション写真の撮影の経験がないので、とても初歩的な質問になってしまうのですが、どのような体勢で写真を撮られているんでしょうか?



自分の場合は、先ほどアクセサリーで紹介したボディに付けるL型ブラケットが水たまりに沈んでるような状態で、水面のギリギリまでレンズを持ってきて、しゃがんで撮っています(上イメージ図参照)。
ーブラケットを水たまりの中に入れているということでしょうか?



はい。僕の場合はほぼ沈めて撮っています。
もちろんそんなバシャバシャやったりせずに、波立たないようゆっくり入れて、しばらく待って、波が落ち着いたタイミングでシャッターを切る感じです。
ーそれは驚きです!ではL型ブラケットが大きな役割を果たしてくれているんですね。



はい。あとは……東京駅とかのリフレクションで有名な場所に行けば、撮っている人がいるので、初心者の方であればその人の真似をして撮ってみるのもオススメです。
水たまりのリフレクション撮影のポイント
・水たまりを挟んで自分とは反対側に主題となる被写体がくるように撮影
・画角はスマートフォンのカメラ機能でチェックする
・バランスの良い構図は実像と虚像が1:1
・水たまりは大きくて深いものだときれいなリフレクション写真が撮れる
・写真を撮るときはしゃがんでカメラとレンズを水たまりの表面ギリギリに向ける
写真を撮るときのマナー
ーリフレクション写真を撮るうえで知っておきたいマナーなどはありますか?



ローアングルで撮影するので、被写体の周囲を歩いている人は気にして撮るようにしています。
ーたしかに、人がいない場所を狙うのが一番ですが、観光名所などになるとそれも難しいですよね。
撮影時のマナー
- 撮影をする際は、著作権・商標権・肖像権を意識して、法律的トラブルを防ぎましょう。
- 人物を撮影する際は、相手の権利を侵害しないよう、本人または未成年者であれば保護者に撮影許可を取りましょう。
- 観光地や公共の場所では、三脚などの機材が利用できなかったり、撮影が禁止されていたりすることもあります。撮影前に撮影可能か予め確認しましょう。
- 観光地や公共の場所で長時間の撮影はやめましょう。
- 観光地や公共の場所で機材を使用した場所取り行為はやめましょう。
- 観光地や公共の場所では、撮影目的ではない一般のお客さんに配慮した行動を心がけましょう。
▼下記の記事ではより詳しく撮影マナーについて解説しています


レタッチ


ーそれではレタッチについてうかがっていきます。
雨の日のスナップでは下記の条件でレタッチをしているとのことでしたが、リフレクション写真の場合どこか変えているポイントなどはありますか?
雨の日のスナップのレタッチ
・大まかな流れはディティール調整→色の調整
・シャープを110、明瞭度を下げ、その1/2の量のテクスチャを上げる
・基本補正は露光量を上げ、ハイライトを下げた分白レベルを上げ、シャドウで暗くなっている部分を持ち上げ、コントラストや黒レベルで黒を足していく
・色味は緑をなくしてブルーを-6、彩度を下げて自然な彩度を上げる
・かすみの除去を上げて光が滲む感をアップ!



雨の日のスナップではコントラストを少し上げていましたけど、リフレクション写真は、水たまりに映っている部分のコントラストを少し下げています。
ーその理由を教えていただけないでしょうか?



理由はわかりませんが、どの写真でも必ず水たまりに映っている部分のコントラストが上がっているんですよね。
なので、実像との明るさを揃えるためにコントラストを下げています。
ーなるほど。とうことは、まず「雨の日のスナップ写真」と同様のレタッチをして、その上でリフレクション部分の明るさを調整しているということでしょうか?



そうですね。やっぱり実像よりもちょっと暗くはなってしまうので、映っているのがわかるぐらいのレベルには明るさを戻しています。
とはいえ、完全に実像と虚像の明るさや色を揃えるのは無理なので、コントラスト下げたり明瞭度や露光をちょっと上げたりして部分的に調整する程度です。
リフレクション部分(虚像)のレタッチのポイント
・全体のレタッチが済んだら、水たまりの部分にマスクをかけて追加調整
・実像と明るさを揃えるために、コントラストを下げて、明瞭度や露光を上げる
まとめ(水たまりのリフレクション写真の撮影方法)
ー前回に引き続き丁寧に解説いただきありがとうございました!雨上がりならではな水たまりのリフレクションに挑戦してみたいと思います。最後に水たまりリフレクションの撮影を楽しむポイントを教えてください。



梅雨になると雨が多く気分が落ち込む季節になりますが、逆に雨だからこそ撮れるものがあり、普段の生活のなかでも水たまりができているのを見ると『リフレクションできていそうだな』
『この角度から撮ったらおもしろそうだな』などと考えたりしています。
雨の中で撮影するのは大変ですが、実際に撮れたものを見ると、感動と達成感がありその楽しさにハマってしまいました。
撮影に出ると見落としがちですが、試しに水たまりをのぞき込んでみると意外と面白い景色が広がっているかもしれないので、ぜひ雨の日の撮影にもチャレンジしてほしいです。
ー「雨の日は撮影に出かけない」と決めている方にこそ挑戦して欲しい撮影ですよね!読者の皆さんにもぜひその感動と達成感を味わっていただきたいですね。


DAIさんの使用機材一覧
カメラ
Nikon Z 6Ⅱ


レンズ
NIKKOR Z 24-70mm f/4 S


SIGMA 12-24mm F4 DG HSM | Art


Creator’s Style バックナンバー

























