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三谷飾屋さんに学ぶ【光と影を生かした撮影方法】|Creator’s Style Vol.2

Creator’s Style Vol.2|

暖かくなってきて出かける機会が増えた今は、撮影テクニックを上げる絶好のシーズンです。

第2回は、【ノスタルジーな光の写真】で知られる「三谷飾屋さん」に、光と影を生かした撮影方法やレタッチのコツなどをうかがいました!

魅惑的な光や影を見つける方法を身につけて、雰囲気たっぷりな写真の撮影に挑戦してみましょう。

Creator’s Styleとは…
「だいぶ写真撮影に慣れてきたけど、自分の作風がなかなか出せない」「自分が撮りたいイメージになかなか近づけられない」という悩みを持つ方は、きっと少なくないはず。

そんな読者の悩みを解決するべくスタートしたMARSHの新企画が、Creator’s Style(クリエイターズ・スタイル)。
撮影テクニックや作品表現に関するノウハウを、独自のスタイルを持つクリエイターにレクチャーしていただく、1ランク上のお勉強コンテンツです!
自分の色を出すための、自分の思い描く理想の作品表現に近づくための、とっておきのヒントがたくさん詰まっているので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

フォトグラファー・三谷飾屋さんについて

まずは今回「光と影を生かした撮影方法」について教えてくださる三谷飾屋さんについて紹介します。

三谷飾屋

関西で活動するフリーランス編集者・フォトグラファー・ライター。法人・個人を問わず、京都の伝統を継承する職人の撮影や、多種多様な業界への取材、観光系Webメディアや某出版社への寄稿などを手掛ける。

写真撮影においては、私的写真やスナップのような「二度とない一瞬」を捉えた写真に魅力を感じ、人物や都市風景などをジャンルレスに撮影。撮り手・書き手として「文脈」に重きを置き、文脈をエモーショナルに演出する「光と影」を被写体として撮影活動をしている。

 

三谷飾屋さんの作品

普段使用している機材

機材について

ー本日はよろしくお願いいたします。まずは、普段の撮影で使用している機材を、ボディ・レンズそれぞれ教えていただけますか?

三谷さん

現在はLeica Q2とPanasonic LUMIX S5II、SONYα7R IIIを使用しています。最近、海外旅行を機にLeica Q2も購入したので、プライベートではLeica Q2を持ち歩くことも増えています。そのほか、RICOH GR IIIやCanon IXY DIGITAL 930 ISなど、Panasonic LUMIX DC-G100なども使っています。

ーそれぞれどのように使い分けられているんでしょうか?

三谷さん

オールドレンズを使いたい時はSONYα7R IIIを使いますが、メイン機はLUMIXやLeica Q2などのフルサイズ機です。
GR IIIやIXYは「もう1台持って行っておこう」という時にカバンに忍ばせています。

「今日はLeica1台で良いや」という日もあれば、ポートレートを撮るときだとLeica Q2が28mmでちょっと画角が広すぎるので、LUMIXに35mmや50mmの単焦点を持っていく日もあります。オールドレンズを使いたいときはSONYα7R IIIだけ持って行ったり…。その日の気分で使い分けていることが多いですね。

ーそうなんですね。色々なメーカーさんの機材を使っている印象ですが、作風などに影響は出ないのでしょうか?

三谷さん

SONYは汎用性の高さ、LUMIXは色が綺麗、など各メーカーそれぞれに得手不得手があるので甲乙は付け難く、撮影シーンや移動時間によってカメラやレンズを使い分けています。

そういう意味では「撮影スタイル」は変わるかもしれませんが、どのカメラでも「光と影を意識すること」は変わらず、色味やコントラストは現像である程度合わせるように意識しているので、作風には影響は出ていないように思います。

ー「光や影をコントロールする」上ではどのようにカメラを選べば良いでしょうか?

三谷さん

センサーサイズは問いませんが、ダイナミックレンジが広いカメラを選んだほうが光と影をコントロールしやすく、撮影難易度も下がると思います。

ーいわゆる三大メーカー(Canon、Nikon、SONY)をメイン機にしている方はよく聞きますが、LUMIXを使われている方が珍しい気がするのですが、LUMIXをメイン機に採用するに至った経緯を教えていただけますか?

三谷さん

経緯としては僕の周りで使っている人がいたんですよね。そこから興味を持って調べてみたり借りたりしているうちに魅力に気づいて…。
先ほどお話しした色の部分とか、Leicaと協業していることとか、紐解いていくと意外と良いじゃん!っていう部分があったんですよね。

ーLUMIX使ってみたくなります…!Leica Q2を新しく買われたということなんですけど理由を教えてください。

三谷さん

2月にインド旅行に行ったんですけど、それを機に購入しました。
インド旅行が決定した時はSONYしか持っていなくて、SONYは好きなんですけどレンズも大きいし、35mm1本だけ持って行くのも心配だし、インドって環境もよく分からなくて心配だったんですよね。

そんな時写真家の先輩に「初めてフォトグラファーとして海外に行くんだったら悔いのない機材選びをした方が良いよ」って話をしていただいて…。

ーそうだったんですね。LUMIXもそうでしたが、良い機材と出会うには人脈や情報収集も大事なんですね。
レンズはどんなものを使用されていますか?

三谷さん

レンズは35mmを軸に、スナップカメラなら28mm、オールドレンズなら50mm、何を撮るか決めてない日は24-70mmやフォーサーズの50-200(35mm換算100-400)mmなどのズームレンズと、こちらもその日の気分で使い分けています。単焦点とズームレンズを1本ずつ持ち歩くことが多いです。

ー色々なものを使われているんですね。この中でも特に使っているレンズはありますか?

三谷さん

好きで使っているのは35mmです。人の視野に近い画角が好きなんですよね。
写真のジャンルは色々あるし、自分自身も色んな写真を撮っていますが、個人的に好きなジャンルが「私写真」というジャンルで…。

つまり人に見せることが前提じゃない写真なんですけど、ポートレートを撮るときもSNS映えを狙った構図や意思をしっかり決める撮り方よりは、モデルさんとコミュニケーションをとりながら自然に撮るのが好きで、その撮り方に35mmは馴染んでくれるかなと思います。
35mmは被写体との距離感も遠すぎず近すぎずで丁度良いです。

アクセサリーについて

ーアクセサリーはどんなものを使用することが多いですか?

三谷さん

プライベートでは三脚やストロボはあまり使用しませんが、夕景や夜景を撮影する際にはソフトフィルターを使用しています。ブラックミストはNiSi(1/4、1/2)かKenko(No.05、No.1)の物を使用しています。

ーソフトフィルターはどんなシーンで使用しているのでしょうか?

三谷さん

光を印象的に撮影する場合は、逆光もしくは反逆光をレンズに入れて撮影するのが好きなんですけど、直射をレンズに入れてしまうと、光が鋭くなりすぎてしまうんですよね。
その光を気持ちよく飽和させる(描写する)ためにはソフトフィルターがあった方が良いと僕は感じています。

その中でもブラックミストを使う理由は、有名どころを一番最初に使ってそのまま馴染んでしまったって感じなんですけど(笑)。

ーフィルターはそれぞれどのように使い分けられていますか?

三谷さん

ロケーションによって使い分けています。1つの光源に対して大きめに光を膨らませたい、例えば夕日の逆光で写真全体に光を回したい時はNo.1を、逆に夜のスナップでネオンが多く、それぞれの光や色を派手すぎない程度に強調したい時はNo.1に比べて淡く光を拡散させるNo.5を使ったり、被写体の光の強弱によってフィルターを付け替えるイメージです。

カメラバッグ・服装について

ーカメラバッグはどのようなものを使われていますか?

三谷さん

カメラを始めた頃にネットで買った防水カメラリュックを今も愛用しています。そろそろ買い替えたい気持ちもありますが、特に不便していないので愛用しています。
プライベートではお気に入りのメッセンジャーバッグに、カメラケースに入れたサブカメラを入れて、メインカメラはそのまま首から下げています。

ー三谷さんは雨の中で撮影されることもありますよね。その際に服装など気をつけていることはありますか?

三谷さん

スナップを撮る時の話になりますが、やはり地面が滑りやすいのでトレッキングシューズを履いて撮影することが多いです。
バッグも防水のものにしていたら安心ですね。

光と影を生かした撮影方法

ーここからは「光と影を生かした撮影方法」について詳しく伺っていきたいと思います。三谷さんの撮影スタイルの特徴とも言える「光と影」ですが、大前提として心がけていることはありますか?

三谷さん

そうですね。今回は分かりやすいように光と影の撮影方法をそれぞれ分けて説明しますが、光を意識すれば影が重要になり、影を意識すれば光が重要になるので、根本的にはあまり変わらないんですよね。

このあと説明する撮影方法はあくまで1例で、実際は撮影環境によって少しずつ撮影の仕方が変わります。ですから、撮影場所に行ってから今回の内容をヒントに探る感じで実践していただければと思います。

光や影を意識して撮影するメリット

ー光と影それぞれを意識して撮影するメリットなどはありますか?

三谷さん

ソフトフィルターやオールドレンズで光を柔らかくした撮影の場合、ポートレートであれば被写体の肌の質感も柔らかく表現されます。また個人的な見解にもなりますが、逆光を入れた写真からはどこかセンチメンタルな、感情を掻き立てられるような効果を感じます。
順光と逆光を使い分けることで、被写体となる人物やロケーションをどのように強調させるかを意識しながら光を使い分けることが重要だと思います。

また、影を意識して陰影をつけて撮影すると、ドラマチックな印象が演出できるというメリットがあると思います。被写体が浮かび上がるので立体感も出やすいです。

良い光や影の見つけ方

ー三谷さんのお写真は光や影が印象的な写真が多いですよね。良い光や影を見つけるコツなどはありますか?

三谷さん

光と影が強調される時間帯や天気を選ぶことでしょうか。
逆光で光を強調したり、ブラインドの影を体に当てるようなポートレートを撮影する場合は夕方が良いでしょう。斜陽の時間帯は光が強く、フレアも影も出やすくなります。

スナップで影を意識する場合は、お昼の上から注ぐ光でも撮りやすいと思います。基本的には晴れている日が好ましいです。

太陽は季節や時間帯により位置が変わるので、日頃から太陽の位置を観察しながらイメージを膨らませておきましょう。屋内撮影の場合、撮影時間中の太陽の位置と窓の向きを把握しておくことも重要です。

光(夕日・シティライツ)を意識した撮影

ーそれでは良い光や影を見つけた後の撮影方法について伺っていきたいと思います。まず光を意識した撮影の方法を教えてください。

三谷さん

まずは夕日を活用した撮影の方法を説明していきますね。
上のような光がフワッとしているような写真を撮る時って、光の出方が角度によって変わるんですね。特にオールドレンズで撮影する際は顕著なんですけど、真正面から撮るとフレアがフワーっと上から降り注いでいるように映るんですけど、ちょっとレンズを傾けるとゴースト(光の輪)が出ることがあるんです。

光がどう出るかは現場次第なんですけど、光の向きに対してレンズをどう向ければカッコよく光が飽和してくれるかを考えながら、レンズを色んな方向に振ってあげるというのが基本だと思います。

ー実際やってみないと中々分かりづらいですね。オールドレンズを使用しない場合はどう撮れば良いですか?

三谷さん

上の写真はSONYのレンズにブラックミストを付けたものです。空が白飛びしすぎず被写体が黒つぶれしすぎない程度の露出や光の入り具合を探り、角度を決定して撮影しました。

頭の上らへんに太陽があるんですけど、頭から若干太陽がはみ出る構図になっているのが分かりますか?
頭から漏れた光をブラックミストで柔らかくしているイメージです。

それと、夕日って結構すぐ沈んでしまうので、撮影している間に光の強さや向きが変わっていってしまうんです。ですから現場では僕自身も右往左往しています(笑)。

ー「撮影場所でレンズを振りながら、光がカッコよく映り込む最適な角度を探す」という感じでしょうか?

三谷さん

そうですね、光源が正面か斜め前に来るようにレンズを向けて、レンズに対して光の入り方や強弱、被写体に対して光が被りすぎていないかを意識して撮る感じですかね。

オールドレンズを使用しない場合はソフトフィルターをつけて撮影することで光源からの光が柔らかくなりますし、オールドレンズなら光の輪(ゴースト)やフレアが出るような角度で撮影すると、光が情感を演出してくれます。

ーカメラはどのような設定にしていますか?

三谷さん

光源に向かって撮影する時に、設定がオートの場合は、(カメラが)被写体を明るく撮ろうとして、全体が明るくなりすぎることがあります。なので被写体のディテールが失われない程度に意識的に露出を少し暗めに設定するのがおすすめです。

現像で後から明るくすることもできるため、黒つぶれしないような設定にする感じですね。

ーなるほど。F値はどのように設定されていますか?

三谷さん

光を意識した撮影(夕日やネオン街のスナップ)の場合は、なるべく開放F値の低いレンズが良いと思います。

僕は三脚を立てて撮影するより自分が歩きながらとか、モデルさんに動いてもらいながら撮影することが多く、シャッタースピードも確保したいので、そういう意味でもF値はできるだけ低く設定します。開放F値の低い単焦点レンズや、F2.8まで落とせる大三元レンズだと安心ですね。

ーできるだけ開放で撮影されているということでしょうか?

三谷さん

開放で撮る癖はありますが、逆にピントが合わなくなってしまったこともあるので、撮影場所の環境次第ですね。ポートレートの場合はF5.6まで絞ることはなくて、F1.4かF2.8に設定することが多いです。


光(夕日)を意識した撮影のポイント
・光源が正面か斜め前に来るようにレンズを向け、レンズに対して光の入り方や強弱、被写体に対して光が被りすぎていないかを意識
・オールドレンズを使用しない場合はソフトフィルターをつけると光を柔らかくできる
・カメラの設定は黒つぶれしない程度に露出を下げて撮影
・F値はなるべく低く設定する

影を意識した撮影

ーでは次に、影を意識した撮影について伺っていきます。撮影方法を教えてください。

三谷さん

根本の考え方は実は光の時とあまり変わりません。スナップの場合なら歩きながら、影の落ち方がきれいだと感じたところを切り取ります。

ポートレートの場合は影が被写体にかかる割合を意識して撮影するようにしています。

ー被写体にかかる影の割合は、具体的にどのような塩梅にされていますか?

三谷さん

例えば左上の写真ですが、被写体の右側の影を顔にかからないギリギリの構図で撮っています。この時は被写体の顔が写っていて欲しかったので、影が顔にかからない場所や角度を探しました。

ミステリアスな雰囲気にしたい場合は、右上の写真のように逆に被写体に影がかかるように撮影することもあります。

ーカメラはどのような設定にしていますか?

三谷さん

スナップの場合は、カメラにもよりますがオートでもシャドウがつぶれない露出を決めてくれるので、全てオートに設定して自身は撮影に集中することもあります。ポートレートの場合は現像も視野に入れ、光で肌の質感が損なわれないような明るさを意識します。

また光を意識する時と同様、コントラストが強い環境での撮影が多いため、白飛び・黒つぶれをしないように気をつけて、現像でトーンを調整しています。

ーF値はどのように設定されていますか?

三谷さん

影を意識した撮影の場合は、あまりボカすことを意識していないので、開放で撮ることに重きは置いていないです。背景と前ボケをどのくらい適切に描写したいかを意識しながらF値を決定しています。

光を意識した撮影は暗い環境が多いので、なるべく明るい設定で撮影しますが、影を意識した撮影は基本的に強い光が当たっているものを撮るので、ちょっと暗めに撮ります。

スナップだったらF5.6〜8くらいに設定することが多いですが、基本的には全てオートにしてカメラ任せにし、自分は撮影を楽しむことが多いです。

ーF値をF5.6〜8に設定するというのは、ピントを合わせやすくするという意図もあるのでしょうか?

三谷さん

そうですね。ピントが合っていない写真も瞬間的に撮った面白さが出ていて好きですが、基本的にはピントが合うように努力しています(笑)。

F5.6やF8ならパンフォーカスまではいきませんが、多くの場合ピントはそんなにずれることがありません。
とくに旅行時でのスナップ撮影は一度失敗して取り直しするのが難しいので、背景がボケるエモさよりも記念として残すことを優先してF値を高く設定しています。

ーたしかに。海外旅行のスナップ写真でピントが合っていなかったら勿体ないですよね。影を意識して撮影する場合はソフトフィルターは使われないのでしょうか?

三谷さん

はい。光を意識する時と比べ、影の硬さを出したい場合が多いのでソフトフィルターは使いません。

影を意識した撮影のポイント
・ポートレートの場合、被写体に対して影のかかり具合を意識しながら立ち位置や構図を決める
・スナップ撮影の場合はオートモードでもOK。白飛び・黒つぶれに気を付けてF値はF5.8〜8に設定
・影に硬さを出すためにソフトフィルターは使わない

レタッチのコツ

ーでは次にレタッチについて伺っていきます。編集ソフトは何を使用されていますか?

三谷さん

いくつかの現像ソフトを試しましたが、今はLightroomをメインに使用しています。

Capture Oneをそろそろメインにしようと考えてはいますが、Lightroomはスマホアプリでクラウド連携ができるので、現場でデータをスマホに転送してサクッと現像できるのが楽ですね。

ーでは今回はLightroomを使用したレタッチについて伺っていきますね。いつも行なっているレタッチの工程などがあれば教えてください。

三谷さん

ざっくりとご説明すると、技術的なポイントとしては「ライト」や「ポイントカーブ(Lightroom Classicの場合はトーンカーブ)」で、影の締まり具合や、光が飛びすぎていないかを調整しています。

光と影の写真なのでコントラストを極端に強くしていると思われがちですが、実はシャドウの端は少し持ち上げて、ハイライトの端は少し落とすことが多いです。

そこから中間調で締まり具合をコントロールするイメージです。これは写真によるので決まった形はありません。

ーなるほど。ポイントカーブを普段いじらないという方も多いと思うのですが、いくつか具体例を出していただけますか…?

Before
After
三谷さん

では上記の画面を例に説明しますね。

まず、これはオールドレンズで撮影した写真です。Beforeを見て分かる通り、全体にフレアが出て光が飽和し、少し眠たい感じになっています。

「ライト」の項目で基本的な補正をしてから、ポイントカーブのシャドウ側(左側)をグッと下げて締めています。

ーシャドウ側とはポイントカーブで左側の部分のことですよね?

Before
After
三谷さん

そうです。左側がシャドウ側で右側が光側です。

それで、Afterの一番左側が少し上がっていて、一番右側が少し下がっているの分かりますか?
暗さや明るさを強調すると言うよりも、光の枠がくっきり出つつディティールを美しく表現したいので、ここでその塩梅を探っています。

ーありがとうございます。これは光を意識した撮影の場合ですが、影を意識して撮影した場合のレタッチも教えていただけますか?

三谷さん

上の画像はどちらも現像後のスクリーンショットです。ここでもポイントカーブに注目していただきたいんですけど、どちらも中間域をちょっと落としています。

あとはシャドウが潰れすぎないように気をつけながら微調整する感じです。

ー光でも影でもディティールがなくならないように、過度にどこかの数値をいじるということはないんですね!

三谷さん

そうですね。ただ、この技術的な面はあくまで工程の一部みたいな感覚があり、レタッチの大きな考え方としては「その時の感動や美しさが現れているか」を考えています。
ですから、僕の写真は暖色から寒色、メリハリのあるものから柔らかいものまであまり統一感がありません(笑)。

レタッチのポイント
・編集ソフトは主にLightroomを使用
・基本補正(明るさやコントラストの調整)をした後、ポイントカーブで影の締まり具合や、光の明るさをさらに調整
・「その時の感動や美しさが現れているか」を意識する

光と影を生かした撮影・レタッチ例

ー機材から撮影、レタッチまで詳しく教えていただきありがとうございます!感覚的な部分で撮影されている部分も多い印象でしたが、実際のお写真を元にどのように撮影・レタッチをされたか教えていただけますか?

三谷さん

そうですね。気分や感覚で撮影することが多いので、なかなか説明が難しい部分も多いです。

では「光を意識した撮影」「影を意識した撮影」それぞれ2例ずつ解説しますね。

光を意識した撮影 Ex.1

Before
After
三谷さん

こちらはSONYα7 IIとSuper Takumar 55mm F1.8というオールドレンズで撮影した写真です。髪の毛に透ける暖かみのある太陽光が白飛びしないよう、少し暗めに撮影しました。

撮って出しでは逆光でややシルエット気味になっている被写体ですが、現像でトーンを調整し、表情とゴーストが浮かび上がらせ、「光に照らされた笑顔の女性」の写真へと仕上げています。

光を意識した撮影 Ex.2

Before
After
三谷さん

こちらはLeica Q2で撮影した写真です。インドのガンジス川にて沐浴する老人を逆光で撮影したため、これまでに紹介した写真よりもよりコントラストが強く、撮って出しでは黒潰れまで行かずともほぼシルエットになっている状態です。

こちらもこれまでの考え方と同様、光が飛びすぎないように意識しながらシャドウを持ち上げることで、主題となる老人が浮かび上がってきました。

影を意識した撮影 Ex.1

Before
After
三谷さん

こちらは先ほども例に挙げた写真ですが、SONYα7 IIとSIGMA35mmF1.4 Artで撮影しています。
パッと見ではわかりづらいですが、肌にかかる影のコントラストを少し和らげ、肌の質感を少しだけ甦らせています。肌に当たる光によって美しい肌の質感が伝わり、ブラインドの影が都会的なイメージを持たせ、光と影によって見え隠れする表情がミステリアスな印象を持たせる写真へと仕上がりました。

影を意識した撮影 Ex.2

Before
After
三谷さん

こちらはGR IIIで撮影した写真です。夏の強い日差しによって生まれた木の影を撮影しています。これまでの写真に比べ、こちらではシャドウを締めずハイライトを少しだけ上げることで、夏の光の強さと影の濃さを表現しています。

ーありがとうございます! 光と影どちらを意識する場合も「ディティールを失わないよう撮影し、レタッチで過度になり過ぎない程度に明るくする」というのか大まかなポイントでしょうか?

三谷さん

はい。光を意識する場合は、「撮って出しでディテールが潰れない程度の暗さ」を意識して撮影しつつ、現像では「被写体の表情がわかる明るさ」「光の強さ」を意識してトーンを調整します。

影を意識する場合は、光を意識する時と同様、全体のトーンが過度にならない(白飛びしない・黒潰れしない)よう意識しながら撮影し、光と影のバランスを取っています。

まとめ(光と影を生かした撮影方法)

ーここまで丁寧に教えてくださりありがとうございました。コツを掴むまでが難しそうですが、まずはスナップから光や影を生かした撮影をしてみたいと思います!
最後に、撮影の際に大切にしていることを教えてください。

三谷さん

ポートレートでもスナップでも意識していることですが、「その写真を見返して思い出が蘇るような写真」が素敵だと思います。

なので「1枚の絵としての美しさ」よりは、「撮影体験」に重きを置いていますね。モデルさんや周りの環境にも配慮しながら、写真を見返した時に良い思い出が甦るような撮影をこれからもしていきたいです。

ー作品よりも撮影している時間そのものも大切にされているのですね。撮影に挑む際のマインドなどはありますか?

三谷さん

そうですね。「撮影体験ありき」みたいなところがあるので、クライアントワークは別として、多少光のコントロールが下手だったり、背景処理が弱く構図が不安定でも、自分(と相手)が楽しめていたり好きな写真が撮れていたら、そこに価値があると感じています。

ーなるほど。色々と教えていただきましたが、一番大事なことかもしれませんね。まずは撮影を楽しみながら素敵な光や影を探しに行こうと思います!

光と影を生かした撮影方法
・カメラ…センサーサイズは問わず、ダイナミックレンジが広いカメラがより光と影をコントロールしやすい
・レンズ…オールドレンズは光の輪(ゴースト)やフレアが出るような角度で撮影すると、光の情感を演出可能。オールドレンズを使用しない場合は、光源からの光を柔らかくするためソフトフィルターをつける
・光を意識した撮影…「撮って出しでディテールが潰れない程度の暗さ」を意識して撮影しつつ、現像では「被写体の表情がわかる明るさ」「光の強さ」を意識してトーンを調整
・影を意識した撮影…全体のトーンが過度にならない(白飛びしない・黒潰れしない)よう意識しながら撮影し、光と影のバランスを取る

三谷飾屋さんの使用機材一覧

三谷さんが普段使用している機材のうち、GOOPASSで取り扱いのあるものを紹介します。

カメラ

SONY α7 II ILCE-7M2

SONY α7R III ILCE-7RM3

レンズ

SONY Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA SEL35F14Z

SONY FE 24-70mm F2.8 GM SEL2470GM

Panasonic LUMIX S 85mm F1.8 S-S85

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この記事を書いた人

東京都出身。大学卒業後、写真専門学校にて写真を学ぶが、中退し編集者の道へ進む。現在は独立してフリーエディターとして活躍中。韓国が好きすぎるあまり移住し、日本と行き来する生活を実行中。

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