新居での日々をぼんやり想像し、豪徳寺を後にした。
そして、荒木夫妻が住んでいたマンションのあたりを歩いてみた。
そのマンション自体はもう無いけれど、都内にも関わらずとてもおだやかな住宅街だ。
大きなタワーマンションなどは無く、どちらかというと戸建てが多い。
戸建てということは、庭付きの住宅が多い。
歩いていると、それぞれにシンボルツリーがあることに気が付く。
ソテツや松など、それぞれの住宅に合わせられていてとても興味深かった。



私の実家にはオリーブが植えられていた。
いつからあったのか覚えておらず、気がついた時にはとても大きな苗木になっていた。
母方の祖母の家には、柿の樹が植えられていた。
それは私の兄が小さい頃に食べた柿の種を埋めて育ったものらしい。
今では立派に育ち、毎年多くの実が成る。
そして鳥たちの憩いの場となっている。
柿の実は種が多くて硬く、正直なところ少し食べづらいのだけれど、毎年祖母から段ボールいっぱいに送られてきていた。
祖母がまだ生きていたころは干し柿にしてくれて、それが大好きだった。
私もいつか庭のある家や大きなバルコニーのある家に住んだら、シンボルツリーを育てたいなと思う。
花が咲く品種がいい。
そして散った花びらや落ち葉の掃き掃除を朝の日課にしたい。



そういえば陽子さんの著書の中に、豪徳寺駅へ向かう道の途中に桃色の花が咲く大きな百日紅(さるすべり)の樹があると書いてあった。
百日紅の花は初夏から秋にかけて咲くらしい。
私が訪れた時は開花にはまだまだ早すぎたが、豪徳寺の街の掲示板には梅まつりのチラシが貼ってあった。
荒木夫妻も季節の移り変わりを感じながら、近所を散歩していたのだろうか?
その時はきっと、こうしてカメラを持っていたに違いない。




著者紹介:髙木 美佑(たかき・みゆ)

1991年生まれ、東京都在住。 日本大学芸術学部写真学科卒業。セルフポートレートや 自己の体験を中心に作品制作を 行う。
2020年12月に初の作品集「きっと誰も好きじゃない。」を刊行。
■WEB:https://www.takakimiyu.com/
■Instagram:@miyu.takaki
■Twitter:@2h35m
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