「コケコッコー!」
近所のにわとりの鳴き声がこんなにも透き通って聴こえるなんて、そう思えるような、春晴れの朝。眠気を流行りの邦ロックでかき消すようにヘッドフォンで鳴らしながら、港で船を待っていました。
「こんなに朝早い必要あるかなあ」とつぶやきますが、これは隣にいる友だちへ向けてではありません、ひとりごとです。だって、船が朝夕の数本しかないことくらい、分かっていますから。
小さな島へ行くには、船は思ったよりも大きくて、どこの席に座ろうかなって考えている間に、船はイカリをあげて、もたもた、なかなか座らないわたしたちに催促するように、汽笛を鳴らしました。

結局外のプラスチックの椅子に座ったわたしと友だちは、写真を撮ったりはしゃいだり、海原を見たり。せっかくセットした髪の毛を潮風にわしゃわしゃされながら、40分ほどかけて島へ到着しました。
途中、何か閃光のような、違和感を覚えるなにかに視界を奪われたような気がしましたが、きっと気のせいでしょう。ほぼ貸切の船でしたし、360度見渡す限りの海原の真ん中で、なにか起きるはずもありません。




