13歳(2018年/40歳)…『少女礼讃』制作開始。

青山:2018年、13歳。人間の実年齢的には40歳の年です。この1年前のちょうど40歳になる直前に、『ソラリーマン』と『SCHOOLGIRL COMPLEX』の2つの作品で突っ走って来たものの、どちらの作品も煮詰まってて、スランプっぽくて。第3の作品を撮りたいけど、出てこないし。ポートレートも上手くなってきたけど、突き抜けるものがなくて悩んでいたんです。そんな中で、2018年に第3の作品『少女礼讃』を撮り始めることになります。もし、この“少女”と出会えていなかったら、どうなっていたんでしょうね。とても運命的な出会いだと思います。
ーこの“少女”とはどのようにして出会ったんですか?
青山:少女をテーマに撮ると決めてモデル探しをしていたわけではなくて、モデルは常にWebサイトなどで募集してたので、そこからしてくれました。ずっと気になってたんですけど、遠方にお住まいだったので、なかなか機会がなくて撮れなかったんです。でも、しばらく経ってから彼女を撮れるチャンスがあって。2018年の7月に撮らせてもらったのが、彼女との初対面でしたね。彼女は写真を撮られた経験が全くない子でした。この頃には、もうポートレートも女の子を撮るのも慣れているはずなのに、「なんだろう、この子は。すごい」って思いました。言語化が難しいんですけど、まずは目が印象的で、すごく強い眼差しを感じました。マンツーマンで撮ってたのは、ほんの数十分ぐらいだったと思うのですが、今までに経験したことのない、我を忘れるぐらいに夢中で撮っていたし、多分彼女の方も同じテンションで撮られてたと思います。撮影した後日に、彼女から連絡が来て、「撮られたことがとても良くて、もっと撮ってほしい。青山さんにしか撮られたくないです」という内容の胸を打つメッセージを送ってくれました。私ももっと撮りたいと思ってたので、ぜひ撮影しましょうということで、スタートしたんです。
ーそれが、『少女礼讃』の始まりだったんですね。
はじめから『少女礼讃』というタイトル・テーマがあってモデルを探していたわけではありません。メッセージをいただいて彼女を撮ろう!って思った時に、「この子を撮るとしたら、どうなんだろう、どういうことなんだろう」って考えてた時に、「すごい少女だな、この子は」って思ったんです。その時に、ふと“少女”という単語が出てきました。
ー出会った時点で、彼女は既に“少女”ではなかったということでしょうか。
青山:『少女礼讃』は、少女の匿名性がポイントになるので、年齢を含めた彼女にまつわる情報を全部謎にしてるんですけど、どう見ても少女に見えるんです。だけど、撮っていると、突然大人っぽい表情をする時もある。撮影経験があるわけではないので、カメラを向けてもポージングをするわけでもないですし、全然喋らない子です。ただ、レンズを通して僕をじっと見てくる。大人っぽい時もあるし、すごく幼くも見えるし……という今までに経験したことのない雰囲気が、そのギャップみたいなものが“少女”だなあ、と。子どもと大人の合間で、大人にはなりきれず、子どもではなくなっていく年頃が少女だと思うんですね。それで、彼女を“少女”として撮ることに決めました。
ー少女は、現在も一般の方なんですか?
青山:そうです。現在もモデル活動などはしていません。彼女は絵を描く子なので、表現に対して、すごく強い興味があるみたいです。
ーそういえば、写真集のあとがきに書かれてましたね。「絵を描いたり、写真を撮ったり」って。
青山:そうなんです。だから、写真表現というものにも、すごく理解があります。遠方に住んでいるので、彼女が夜行バスで東京に来てくれたり、僕が向こうへ行ったりとかして……。若くて貴重な時間を、写真表現のために、僕のために費やしてくれました。だから、もうできることは1つしかなくて。彼女のためになるように、彼女の全部をとにかく肯定して、撮ろうって。ただ、ガムシャラに彼女を美しく、綺麗に、可愛く、正しく、等身大に、ものすごく幼く、ものすごく大人っぽく……もうとにかく全部撮るっていう感じで、礼讃(=手放しで褒め称える)しようと。それで、『少女礼讃』というタイトルが決まりました。あらゆる“少女”を礼讃しているのではなく、1人の彼女を礼讃しているだけのプライベート写真という見方もできます。1人の写真家が1人の女の子を撮り続けているというだけの、誰にでもできる作品だと思っています。もちろん、簡単にはできないことで、彼女の出会いと撮影は、奇跡的なものだと感じています。



