外はまだ雨が降っている為か、店内は人もそれほど多くなく静かだ。
事前情報通り、壁にはステンドグラス、天井にはシャンデリアが施されている。
華やかな照明器具でも、暖色系の灯りは落ち着く。
人が炎を見ると心が落ち着くのと同じような心理なのだろうか?
以前の青学会館の様子は知らないけれど、現在のお店の内装にとても馴染んでいる。
昔のものをこうして形を変えながらも現代へと取り込んでいくことは素敵だなと思う。
物の価値は人によって、そして時代によって変化する。
古いものが老朽化し、また機能性が衰えて価値が下がることはもちろんあるけれど、必ずしも新しいものが良いとは限らない、かもしれない。
それこそカメラなどの電化製品や車は新しければ新しいほど性能は高いけれど、その分次の新しいものが登場し価値が下がるスピードは凄まじい。
一方で昔の機械式フィルムカメラやガソリン車の価値がヴィンテージ品として価値が高まることもある。
最新(だった)製品の価値が下がりガラクタとなってしまった物の処理については、いずれより大きな社会問題になるだろう。
いくら環境に配慮したものでも、それを生産するコストや価値が下がるスピードのことを考慮すると、そのバランスはとても複雑だ。
プラスチックを減らす為のエコバッグやマイボトルを生産する為に、大量の石油を必要とするといった皮肉のような仕組みに近い気がする。
話が随分と逸れてしまったが、いろいろな視点から物事を考えた上で、なにを選択するかの判断基準を自分の中にしっかりと持っていたい。
そしてそれは時代や環境によって常にアップデートされていくべきだと思う。
もしかしたら人間関係でも同じようなことが当てはまるのかもしれない。
自分にとって大切な物事・大切な人を変わらずに大切にしたい。
そんな当たり前で少し恥ずかしいような事も、忙しい日常生活の中ではつい忘れてしまう。






荒木夫妻が結婚式を挙げたチャペルはなくなり、形を変えてしまったけれど、お二人の中では変わらず残り続けているものがあるのだろう。
少なくとも、挙式当日に撮られたであろう写真に写るお二人は、ずっと美しいままだ。
コーヒーを飲み干し、隣のお花屋さんで赤い宝石のような実がついた植物を買って帰った。
シャンデリアに施されていた装飾によく似ている。
著者紹介:髙木 美佑(たかき・みゆ)

1991年生まれ、東京都在住。 日本大学芸術学部写真学科卒業。セルフポートレートや 自己の体験を中心に作品制作を行う
2020年12月に初の作品集「きっと誰も好きじゃない。」を刊行。
■WEB:https://www.takakimiyu.com/
■Instagram:@miyu.takaki
■Twitter:@2h35m
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