SIGMAさんのレンズをお借りして、早くも約1ヶ月が経ちました。
これまで2本のレンズのレビュー記事を執筆させていただきましたが、最後に、 SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporaryをレビューさせていただきます。


Contemporaryラインとは
SIGMAさんのレンズには、Art、Contemporary、Sportsという3つのプロダクトラインがあります。
Artは、高水準の芸術的表現を可能とする、作家性を生かした写真づくりに適したレンズです。
Contemporaryは、小型化・軽量化と高度な光学性能を同時に叶えることを追求した、旅行からスナップまでの幅広い撮影シーンで力を発揮するレンズです。
Sportsは、スポーツ写真やネイチャーフォトなど、動く被写体や遠方の被写体を捉えるのに最適なレンズです。
今回お借りしたレンズは、Contemporaryラインに属します。
作品撮りから旅行、カフェ巡りまで、様々なシーンで使用したい私にぴったりなレンズだと思います。
Iシリーズとは
Iシリーズは、“ミラーレスシステムに新たな価値を提案するフルサイズ対応のレンズシリーズ(シグマ公式サイトより引用)”。
光学設計における最新技術を惜しみなく取り入れているのはもちろん、全ての部品を金属素材の削り出しで作るなど、“道具としての品質、扱う中で感じる感触、そして所有すること自体の喜びに至るまで熟考し、形にした”シリーズ(シグマ公式サイトより引用)”です。
Iシリーズのレンズは広角から中望遠まで幅広い焦点域をカバーしており、主に高画質と常用性の両立を目指すシリーズと、コンパクトネスを追求するシリーズの2つに分かれています。
SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporaryは、Iシリーズの中でも後者の、小型化・軽量化を目指して開発されたレンズです。
更に、最短撮影距離は12cmと、 高い近接撮影能力を持っています。
初めて手にする超広角レンズで撮った写真たち
私はほぼ全ての撮影において50mmの単焦点レンズを愛用しているのですが、ここまで広角なレンズを使用するのは初めてのことでした。
目に見える世界とファインダーを覗いた時に見える世界のギャップに苦しみ、普段の感覚で写真を撮ると違和感を覚えてしまうことが多く、お借りしたレンズ3本のうち、仲良くなるのに一番時間がかかったレンズでした。
そんな悩みを、広角レンズを使い慣れている夫に打ち明けたところ、「普段と同じような撮り方ではなく、このレンズの特性を生かした撮り方をしないと」と言われ、はっとしました。
そこからは、「いつもの自分だったらこんな風に撮れる」という固定観念やこだわりにしがみつくことを意識的に避けて撮影に臨むようにしました。



















17mm F4 DG DN | Contemporaryを使ってみて

今思うと、私の撮影スタイルには、自分が一度に捉えることができる視覚の範囲内に収まる被写体のみを切り取ろうとする癖が付いていたように思います。広い範囲を写しすぎることで様々な要素が画面に入り込んでしまい、写真の持つメッセージ性が弱まってしまうことを危惧していました。
それが、このレンズのファインダーを覗いているうちに、メインの被写体だけではなく、それ取り巻く周辺環境も含めて魅力的に写すことで、より強いメッセージを持つ写真に仕上がるのではないかと思えるようになりました。また、被写体を俯瞰的な視点で見つめる視点が徐々に養われていったような気がします。
このレンズを使って撮った最後の写真が、朝焼けの海でランタンを持っている女性を被写体に作品撮りをした時のものです。刻々と色を変えて明るくなっていく空の下、波打ち際で何かを探すかのように海を見つめる女性、という、孤独で静かな世界観を表現したいと考えていました。無限に広がり続けているかのような空と海と、ポツンと佇む女性。超広角レンズだからこそ叶うこの対比構造を利用することで、女性がまるでこの世界に1人きりであるかのような非現実的な絵を撮ることができました。
その他、このレンズを使用していて感じたことを、3つのポイントに沿って紹介したいと思います。
デザイン
私がこれまで超広角レンズを使ってこなかった理由としては、一般的な超広角レンズの特徴である、大きく突出した前玉の存在が影響しています。
こういった形状のレンズではフレアやゴーストが出やすいですし、単純にデザインとして苦手意識を持っていました。
しかしこのレンズは、超広角レンズらしさが削ぎ落とされたデザインで、見た目的には標準レンズとそこまで変わらないため、抵抗感なく使用することができました。
軽さ・サイズ
このレンズを箱から取り出してそっと手に取った時、あまりの軽さに拍子抜けしてしまいました。Iシリーズの中でも最小クラスのこのレンズは、まさに手のひらサイズです。
家の近所をぶらぶらと歩いている時にこのレンズで撮影していたのですが、その軽さのおかげで首周りの負担感がとても少なく、カメラを持たないで歩いている普段の感覚とほぼ同感覚で過ごすことができました。
折角軽いミラーレスカメラを持っているのなら、レンズも軽いに越したことはないと思います。
描写力
超広角レンズはボケ感を表現するのが難しいという先入観があったのですが、工夫次第で美しいボケ感を実現することができました。一面の芝桜の向こうにそびえ立つ富士山を撮影した時は、富士山を主役にしたかったため、手前の芝桜に思い切り寄って撮影しました。その結果、手前の芝桜が綺麗にボケてくれ、自然と富士山に視線が集まるような写真を撮ることができ、とても嬉しかったです。
また、最短撮影距離が12cmと短いため、例えばコーヒー豆といった小さな被写体にぐっと寄ることで被写体の質感を強調し、今にも香ばしい香りが漂ってきそうな写真を撮影することもできました。
旅行先のキャビンやカフェなどのこぢんまりとした空間でも、体を引くことなく全体の雰囲気を写せるので、屋内での撮影時にこのレンズを持っているだけで安心だ、とお守りのように感じていました。
それから、鮮烈な光が斜めに差している洞窟で、影に向かって手を伸ばしているように見える少女の写真が撮れた時は、良い意味で自分らしくない写真が撮れたと感じました。薄暗い中、歩きながらという難しい環境でシャッターを切りましたが、少女と影、どちらも画面に収めることのできる超広角レンズだからこそ撮れたものだと思います。
超広角レンズで撮影するという、自分にとっては大きな挑戦を経て感じるのが、このレンズは間違いなく私の写真表現の幅を広げてくれたということです。
ファインダーを覗いた時に見える世界が、そのまま目で見える世界と違うからこそ、新しい表現を追求したくなる。
このことを改めて実感させてくれたこのレンズに対する感謝の気持ちを胸に、これからも様々な撮影に前向きに挑戦していきたいと思っています。
17mm F4 DG DN | Contemporary 製品情報

| 対応マウント | ソニーEマウント、Lマウント |
| 焦点距離 | 17mm |
| 開放F値 | F4.0 |
| 絞り羽根枚数 | 7枚(円形絞り) |
| 最短撮影距離 | 12cm |
| 最大撮影倍率 | 1:3.6 |
| フィルター径 | φ55mm |
| 最大径×長さ | ・ソニーEマウント:φ64.0mm × 50.8mm ・Lマウント:φ64.0mm × 48.8mm |
| 質量 | ・ソニーEマウント:220g ・Lマウント:225g |
| 付属品 | マグネット式メタルキャップ(LCF-55-01M)、花形フード(LH576-03)、フロントキャップ(LCF-55Ⅲ)、リアキャップ(LCR Ⅱ) |
高埜志保さんによる写真小説『てのひらの炎』

高埜志保さんによる機材レビュー











