【実写レビュー】TAMRON(タムロン)50-400mm F/4.5-6.3 Di Ⅲ VC VXDで動物園の撮影をしてみた

「一眼カメラで動物園の写真を撮りたい!」と思っても、肝心のレンズ選びに迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?
「展示スペースも込みで写したい」「動物の顔や体をアップで撮りたい」など、動物園の規模や動物との距離、動物の種類によって使いやすい焦点距離は変わってきます。
動物園へ行ってから、画角が狭すぎて入りきらなかったり、思ったより近づけずに小さく写ってしまったりという失敗は、できる限り避けたいところ。
とはいえ、撮影に慣れていないと事前にどのようなレンズが必要か予想するのは難しいものです。
そこで今回は、動物園におすすめのレンズとして、TAMRON(タムロン)の超望遠ズーム「50-400mm F/4.5-6.3 Di Ⅲ VC VXD」をご紹介します。
2022年9月22日に発売した50-400mm F/4.5-6.3 Di Ⅲ VC VXDは、広角50mmスタート、望遠側は400mmの8倍ズーム。
70mmや100mmの画角で抱く「林に佇むトラなど、情景も入れて撮影したい」「観客や格子をぼかして、より自然な写真にしたい」という願望に1本で対応できるレンズです。
実際に動物園※にて撮影してみたので、画質や取り回しの観点も含めながら、50-400mm F/4.5-6.3 Di Ⅲ VC VXDのレビューをお伝えします。
超望遠レンズが欲しいけれど重さが気になっている方や、高倍率の便利ズームでは描写に不満がある方、50-400mm F/4.5-6.3 Di Ⅲ VC VXDの購入を検討している方は参考にしてみてください。
※撮影は「松本市アルプス公園 小鳥と小動物の森(入場無料)」と「小諸市動物園(入場料300円)」で行なっています。
20代女性。普段は風景や星景の撮影が中心で、普段の撮影ではSONY α7RⅢを使用。レンズはFE 24-70mm F2.8 GM・14mm F1.8 DG HSM | Artなどを愛用中。動体の撮影にあまり慣れておらず、動物園での撮影は今回がはじめて。
なお、記事の中で撮影している写真は、α7RⅢ・α7SⅢとの組み合わせです。カメラとレンズ共に、撮影した2022年8月時点での最新ファームウエア※を使用しています。
※ILCE-7RM3:ファームウエア Ver. 3.10
※ILCE-7SM3:ファームウエア Ver. 2.10
※50-400mm F/4.5-6.3 Di Ⅲ VC VXD:ファームウエア Ver. 1.0

目次
50-400mm F/4.5-6.3 Di Ⅲ VC VXDの魅力

高解像、柔らかなボケ味

50-400mm F/4.5-6.3 Di Ⅲ VC VXDのレンズ構成は18群24枚。LD(Low Dispersion:異常低分散)レンズなどの特殊硝材を使用した本レンズは、全域における高画質を追究して開発されました。
高倍率ズームレンズは解像感が犠牲になる点が懸念されますが、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXDではあらゆる画角で高画質が得られます。
周辺部においても大幅に解像力が落ちているようには感じられませんでした。
一般的に高倍率ズームが苦手とするのは、望遠域です。
せっかく超望遠域をカバーしても使用を避けたくなる解像感では意味がありませんが、望遠側の撮影でも毛並みや細かな皺まで描写されました。

トリミングしても粗がありません。

また、大口径ではないものの、長い焦点距離を活かして十分に柔らかなボケが得られます。
作例はややわかりづらい玉ボケになってしまいましたが、形も悪くなく"うるささ"を感じません。ボケの中に目立った輪郭や模様もなく、綺麗といえるのではないでしょうか。
顔のアップから展示スペース全体まで撮れる焦点距離

50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXDの最大の特徴は、なんといってもズーム範囲の広さ。400mmの超望遠域を備えながら、スタートは標準域の50mmです。
倍率だけでいえば、同社の「18-400mm F/3.5-6.3 Di II VC HLD」が世界初※の22.2倍を誇っていますが、こちらはニコンFマウントとキヤノンEFマウント用。
SONY機でマウントアダプターを介さずに標準50mmと400mmの望遠域を撮影したい方にとっては、現状唯一の選択肢といえるでしょう。
別マウントのレンズを使用する場合、場合によってはAF性能や画質が落ちたり、絞り制御ができなかったり(ボディ側から絞りを絞ることができない)する問題が発生します。
18-400mm F/3.5-6.3 Di II VC HLDにアダプターを介した場合より100gほど重くなる点を考えても、アダプターを介さず撮影できるのはアドバンテージです。
※ デジタル一眼レフカメラ用交換レンズとして(2017年5月現在。タムロン調べ)
動物との距離がおかれている展示場がほとんどのため、遠くからでも撮れる超望遠域が重宝しました。
離れた場所から撮影する方が動物たちへのストレスも少ないでしょうし、警戒心が減り自然な表情を見せてくれます。

動物ではありませんが、400mmの焦点距離は木に止まっているセミも狙えました。

一方で、50mmの焦点距離を使うと、近くからサル山の全容が写せます(サルたちは別の場所に移動してしまいましたが……)。
今回訪れた動物園は小規模で特別広い展示場はありませんでしたが、全体の雰囲気を伝えたい撮影でもレンズ交換をせずに対応できそうです。
基本的には望遠側で撮影しましたが、動物が寄って来てくれた場合に50mmを使いました。最短撮影距離が1mを超える超望遠レンズが多い中、本レンズは広角端の最短撮影距離は0.25mなので突然の接近にも対応できます。
また、家族で動物園に行く方は、動物と触れ合っている子供や記念写真も一緒に撮りたいのではないでしょうか。とはいえ、都度レンズ交換をするのは面倒で荷物もかさ張ります。
そのようなシーンこそ、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXDの得意分野だと感じました。
1本で動物撮影からスナップまでこなせるので、少ない荷物でスピーディーに撮りたい方に最適です。
動物園以外でおすすめのシーンは、お祭りやテーマパーク、航空ショー、運動会など。レンズ交換が難しく、かつ画角が頻繁に変わるような撮影で活躍するでしょう。
長さ183.4mm・重さ1,155g。手持ち撮影もしやすいボディ

汎用性のある広いズーム域ながら、重さは1,155g、長さは183.4mmとコンパクトです。
1kgを越えるため決して軽いとはいえず、手にするとずっしりとした重みが伝わります。しかし、首や肩に掛けての撮影では、痛みや疲れはあまり感じませんでした。
実際に動物園・公園内を3時間ほど周りましたが、負担になっていません。
ただし、手持ちで、高い場所にいる動物を下から見上げるように撮影する場合は、手首が疲れやすく、長時間の撮影は難しそうです。
サイズや重さがネックで望遠レンズの使用をためらっている方に、ぜひ使ってほしいレンズです。

また、さりげないシステムながらうれしいのは、広角端でズームリングを固定する「ロックスイッチ」です。

ズームするごとに鏡筒が伸びる繰り出し式の本レンズは、最長で75mm全長が長くなります。
移動の際は自重により鏡筒が伸びてきてしまうのですが、ロックスイッチをONにしておけばそのような心配もありません。歩きながら撮影しなければならない動物園では便利な機能です。
優れた手ブレ補正機構

タムロン独自の手ブレ補正機構「VC」を搭載。
動物園に限らず、ショーやお祭りなど、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXDが活躍する場面は三脚の使用が制限される可能性があります。そんなときに手ブレ補正が心強い味方になってくれるはずです。
撮影した鳥エリアは植物園のような屋内ドームであり、薄暗い場所でした。
解像感を落としたくないためISOは1250までに留め、普通であったらブレが生じそうな1/125秒のシャッタースピードを採用。
しかし、手ブレ補正機構によりブレが抑えられています。撮影前はモニターに映る像がユラユラと動いて「ブレるかな?」と心配でしたが、撮影の瞬間に像がカチリと補正される感覚がありました。
- VC OFF…手ブレ補正オフ
- VC1…通常の手ブレ補正モード
- VC2…流し撮りモード
そのほか感じたこと

実際に使用して感じた点や、今回は使用していないものの触れておきたい50-400mm F/4.5-6.3 Di Ⅲ VC VXDの魅力をご紹介します。
手ブレ補正機構で夜でも手持ち撮影可能
F値が広角側でF4.5、望遠端ではF6.3と、やや暗めですが、手ブレ補正機構で夜でも手持ちで撮影できます。
8倍ズームでありながら小型化したボディや、67mmで統一されたフィルター径などを考慮すると、絶妙なバランスといえるでしょう。
また、動物園ではありませんが岐阜県にて鵜飼撮影をした際は、夜間の動体撮影に手持ちでチャレンジしました。
完全に日が落ちた時間の撮影ではあるものの、予想より手ブレは起きていません。
ナイトZooや低照度のブースは単焦点レンズなどとの併用が必要な場合もありますが、手ブレ補正とαシリーズ機の高感度耐性が、レンズの暗さもカバーしてくれます。
しっかりとしたズームリング
ズームリング回転角を75°にしており、狭い範囲にたくさんの数字(焦点距離)が並んでいます。小さな回転で画角設定ができるので、手首に無理な動きをさせずに(負担をかけずに)済みます。

また、ズームリング自体はしっかりとした手ごたえを感じました。どちらかといえば少し硬めです。
個人の好みによって感じ方の変わる部分ではありますが、ゆっくりと画角を調整したいシーン・静止画撮影では気になりませんでした。
※ ズームリングの操作感には個体差が出る場合があります
50mmで0.5倍の撮影倍率
50mmの広角側では、いわゆる「ハーフマクロ」としての撮影が可能です。どれくらい被写体に寄れるかといえば、最短撮影距離は0.25m。レンズフードがくっつきかねない距離です。
動物園なら、モルモットなどに触れる触れ合いコーナーで撮影をしてみると面白い画が撮れるかもしれません。
遠くのものを狙ったあとにマクロも撮れる、という意外性によって新しい作風が生まれるのではないかと感じました。
使い勝手のよい67mmのレンズ径
TAMRONは多くのレンズを径67mmで発売しています。そのため、ほかにも同径のレンズを持っている場合はレンズフィルターの使い回しが可能です。
もちろんレンズキャップも同様。レンズ交換の際は外したキャップをそのまま付けられるので、キャップを探してポケットをまさぐる手間……なんてものもなくなるわけです。
50-400mm F/4.5-6.3 Di Ⅲ VC VXDの基本スペック

50-400mm F/4.5-6.3 Di Ⅲ VC VXDのスペックは、次の表の通りです。
| 製品名 | 50-400mm F/4.5-6.3 Di Ⅲ VC VXD |
|---|---|
| 対応マウント | ソニーEマウント |
| 焦点距離 | 50-400mm |
| レンズ構成 | 18群24枚 |
| 絞り羽根枚数 | 9枚(円形絞り) |
| 開放F値 | F4.5〜F6.3 |
| 最短撮影距離 | 0.25m(WIDE) / 1.5m(TELE) |
| 最大撮影倍率 | 1:2 (WIDE)/ 1:4(TELE) |
| フィルター径 | 67mm |
| 最大径×長さ | 88.5mm×183.4mm |
| 質量 | 約1,155g |
| 標準付属品 | 花型フード、レンズキャップ |
■購入する場合は、165,000円(税込 ※2022/10/25現在 TAMRON Online Store)となっているようです。
まとめ

超望遠撮影を身近に感じさせてくれるサイズ感、1本でいろいろなものが切り取れる画角の自由さ。ズーム力だけに終始せず、信頼に足る描写性能も持ち併せています。
撮りたい被写体が決まっている人はもちろん、園内を散策しながら気のおもむくままにシャッターを切る……望遠レンズにはあまり適さなかったスタイルの撮影を可能にしてくれました。
今回訪れたような小規模の動物園では、400mmの画角があれば十分です。
展示スペースと距離が取られていても、ブタのしっぽや馬の目を大きく切り取れる一方、サルが登る木も一緒に写すなど、風景の中にいる動物たちを撮影することができました。
もちろん画角が狭い場合は動いて被写体から距離を取る選択肢もありますが、動物園はほかの観客もいるため、通行の妨げになってしまう場合があります。
そんなとき、ガラスや柵のぎりぎりからでも広い範囲が切り取れる50mmの広角端が役に立つでしょう。
50-400mm F/4.5-6.3 Di Ⅲ VC VXDは今までは撮らなかった写真を撮る機会を与えてくれる、表現の幅を増やすレンズです。
「レンズ1本で標準も望遠も撮りたい」「出かけるときは荷物を減らして身軽に撮影したい」「けど画質も捨てられない……」。そんな方はぜひ1度、50-400mm F/4.5-6.3 Di Ⅲ VC VXDの機動力と描写力を味わってみてください。
GOOPASS ANIMAL MAGAZINE 編集スタッフ Chino
こころに残る"トキ"のサブスク・GOOPASSを展開するGOOPASS株式会社のライター。自社Webメディア『GOOPASS MAGAZINE』などの、ディレクション・記事制作などを担当する。数年のブランクを経て、2014年にカメラを再開。 風景・星景をはじめとする自然物の撮影が中心で、季節感のある写真を好む。使用カメラはCanon EOS 6D、SONY α7RⅢ。
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