実写レビュー!Canon(キヤノン)RFマウントのEXTENDER RF1.4xを使って野鳥を撮影してみた

野鳥撮影を趣味にされている方の中には、レンズの焦点距離を伸ばすためにエクステンダーの使用を検討されている方もいらっしゃると思います。使用を躊躇されている方は、エクステンダーの焦点距離が伸びる便利さと引き換えに、画質やAF速度などの低下が心配なのではないでしょうか。
確かに一眼レフ時代は、「エクステンダーはある程度妥協して使うもの」という認識が一般的であったように思います。ところが、ミラーレス時代に入り、カメラ・レンズの画質が向上しているなかで、エクステンダーも進化しています。
そこで、この記事では、Canon(キヤノン)EXTENDER RF1.4xを野鳥撮影で使用したレビューを紹介。
結論としては、エクステンダーによるレンズの性能の劣化をほとんど感じませんでした。期待通りの焦点距離と、期待を越えた画質と性能。
エクステンダーの認識を、一眼レフ時代からアップデートしなければいけないと感じました。
EXTENDER RF1.4×
なお、記事の中で野鳥を撮影している写真は全て、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMとEOS R6との組み合わせにEXTENDER RF1.4xを使用したものです。
カメラとレンズ共に、撮影した2022年7月時点での最新ファームウエア※を使用しています。
※EOS R6:ファームウエア Version 1.5.2
※RF100-500mm F4.5-F7.1 L IS USM:ファームウエア Version 1.1.0
●筆者のスペック
40代男性。メインカメラはCanon EOS 7D→EOS 6D→EOS-1DX Mark2→EOS R6と使っています。
7Dと1DX Mark2で野鳥撮影を少しかじっていましたが、その後は子供写真ばかりに。子供も大きくなってきたため、野鳥撮影をまた楽しめるようになりました。
エクステンダーは、EFマウントの一世代古いEXTENDER EF1.4×IIを使用した経験はありますが、当時は画質に満足できずに長期間使うことはありませんでした。

目次
エクステンダーとは

はじめに、一般的なエクステンダーについて解説します。
「エクステンダー」とは、レンズとカメラの間に装着し、レンズの焦点距離を伸ばすものです。メーカーによっては「テレコンバーター」と呼ぶこともあります。
手持ちのレンズでは焦点距離に不足がある場合に、エクステンダーを使うことで、装着したレンズの焦点距離を伸ばせます。焦点距離の長いレンズを用意しなくても、手軽に焦点距離を伸ばせるのがメリットです。
ただし、エクステンダーを使うことのデメリットもあります。
エクステンダーの特徴
焦点距離が長くなる
エクステンダーをレンズに装着することで、レンズの焦点距離が長くなります。
エクステンダーは焦点距離が1.4倍になるモデルか、2倍になるモデルが一般的です。エクステンダーを接続した焦点距離の例は、次のようになります。
| 100-400mmレンズに装着した場合 | 800mmレンズに装着した場合 | |
|---|---|---|
| 1.4倍 | 140-620mm | 1,120mm |
| 2倍 | 200-400mm | 1,600mm |
簡単に焦点距離を伸ばせるため、野鳥撮影のように焦点距離の長さを求められる撮影では効果的です。
暗くなる
エクステンダーを装着した場合のデメリットは、レンズが暗くなる点。
具体的には、EXTENDER RF1.4xの場合は1段、EXTENDER RF2xの場合は2段、開放F値が高くなります。
| F4のレンズに装着した場合 | F7.1のレンズに装着した場合 | |
|---|---|---|
| 1.4倍 | 開放F5.6 | 開放F10 |
| 2倍 | 開放F8 | 開放F14 |
カメラの露出設定を自動補正にしている場合は、想定している以上にシャッタースピードが落ちたり、ISO値が上がったりするため、注意しましょう。
性能が落ちる
一般的に、エクステンダーを使用するとレンズの性能が落ちると言われています。
具体的には、次のような点です。
- AFのスピードが落ちる
- 画質が悪化する
- 最短撮影距離が長くなる
レンズとカメラ本体の間に別のレンズを入れているので、レンズの性能を最大限活かせないことは想像できますよね。
ただし、エクステンダーの性能によっては、ほとんど性能の変化を感じない場合もあります。詳しくは後述しますが、EXTENDER RF1.4は使用していても性能差を感じませんでした。
接続できるレンズとできないレンズがある
同じメーカー、同じマウントのレンズであっても、エクステンダーを接続できるレンズとできないレンズがあります。
使っているレンズがエクステンダーの装着が可能なものか、前もって確認しましょう。
EXTENDER RF1.4×
実際に使ってみて気になった点

一般的なイメージと過去の経験から「エクステンダーを使うと性能や画質が低下する」と思い込んでいたのですが、EXTENDER RF1.4xは想像以上に優秀で、極端なマイナスは感じませんでした。
それでも、実際に使ってみたからこそ気づいた点があったので、それらを紹介します。
①RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMとの組み合わせの問題
今回、EXTENDER RF1.4xはCanonのRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMと組み合わせて使用しました。
このレンズとカメラの組み合わせで使った際に、気になる点がいくつかありました。
レンズを焦点距離300mm以下にできない
残念ながら、「Canon RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」との組み合わせの場合のみ、非常に使いづらくなる問題があります。それは、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMを300mm~500mmの範囲でしか使用できなくなることです。
この仕様は、物理的な制約も受けます。ズームが300mmより短くできません。
EXTENDER RF1.4xを接続すると、このサイズ(下写真)までしか短くできません。右の写真は、実際に手持ちで撮影している時のレンズの様子です。撮影場所を移動する場合には、この状態のまま持ち運ぶことになりました。


CanonのRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMは、500mmまでの望遠レンズであるにもかかわらずコンパクトです。そのためか、レンズの後玉(レンズの一番後ろにあるレンズ玉)がマウント部分に近くなっています。
一方で、EXTENDER RF1.4xはレンズが前方に突き出た形状になっています。
マウント側に近い後玉と、EXTENDER RF1.4xの突き出たレンズが物理的に干渉してしまうため、レンズを300mm以下に縮められなくなっているのです。
レンズを300mm以上に伸ばすと、後玉の位置が銅鏡の前方に進むため、EXTENDER RF1.4xを装着できるようになります。EXTENDER RF1.4xを装着後は、300mmのよりも短くはできません。


また、レンズが長すぎるため、移動も大変。エクステンダーを付けた状態ではカメラバッグに入らないため、一旦外してから収納するという手間もかかりました。
さらに、持ち運びの不便さだけではなく、望遠レンズとしても制約が生じます。
本来であれば100mmから500mmと5倍ズームレンズであったのに対して、EXTENDER RF1.4xを装着した場合はズーム域が420mmから700mmに制限されてしまうため、倍率わずか約1.6倍のズームレンズとなってしまうのです。また、最短の焦点距離が420mmという望遠域になってしまうことも、遠くの野鳥を狙う以外には使いづらくなります。
一度エクステンダーを付けたら着脱を繰り返さないように、腰を据えた撮影の時に使用するのがオススメです。
ただ、これはRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMとエクステンダーとの組み合わせの場合のみです。他のレンズの場合は、このような制限はありません。
サーボAFで若干の迷いを感じる
EXTENDER RF1.4xを装着時に、飛翔している野鳥をサーボAFで追従していると、野鳥からピントが外れることあるように感じました。
下の写真はEXTENDER RF1.4xを接続して焦点距離700mmで、飛翔中のカワウを連写しているところです。
3枚目~5枚目の写真は、カワウにピントが合っていないのが分かりますか。6枚目ではピントが合いました。






以前も、天気が曇りなど明るくない条件で遠くの野鳥を撮影した際、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMとEOS R6との組み合わせで、AFが迷うように感じたことがありました。EXTENDER RF1.4xを接続すると、その割合が少し(体験的には1割程度)増えるような印象です。
恐らくEXTENDER RF1.4xを接続することによって1段暗くなるため、カメラへの負担がさらに増えてしまっているのだと思います。
ただし、一旦ピントが外れても直ぐに野鳥を捉え直してくれるので、「飛翔撮影では使えない」ということではありません。AFで追いかけ始めた時の認識力も高いので、仮にピントがずれたと感じたら、すぐにまたAFをやり直してみましょう。
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMとの組み合わせでかなり暗くなる
EXTENDER RF1.4xを使用することで、1段分暗くなります。
一段程度であれば影響は少ないですが、装着するのがRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMの場合、レンズ自体のF値が高いため、更に一段落ちます。
野鳥撮影の際にはシャッタースピード優先モードを選択することが多いかと思いますが、ISO値をAUTOに設定している場合、シャッタースピードに対するISO値が想定よりも高くなることがありました。
レンズが暗いためISO感度が上がってしまう一方で、EOS Rシリーズのカメラは高感度耐性が高いのが特徴。
次の写真は左が焦点距離700mmの画角、右はその切り抜きです。ISO16000と感度が極端に高い写真ですが、写真の使い道によっては十分な画質ではないでしょうか。


もちろん、晴れた環境などでは十分な明るさがあるので、ISO感度を抑えられます。撮影時は明るい場所を選ぶと、さらにカメラ・レンズの画質が発揮された良い作品が撮れるでしょう。
②AFの枠が狭まる
EXTENDER RF1.4xを使用すると、画面上のAF範囲が、縦横共に80%の制限されてしまいます。ファインダーや背面液晶から見ると、次の図の通りです(中の枠はイメージ)。AFの範囲が上下左右10%ずつ短くなります。

上の写真のハトは目の位置がAF範囲の枠を外れているため、ピントが合っているのは画面中央、羽根の部分です。
一方、下の写真は、焦点距離を縮めて枠の中に目を配置した場合です。AFは瞳をしっかりと捉えました。

AFの枠が制限される場合、困るのが野鳥の飛翔シーンです。野鳥撮影に慣れていない方の場合、飛んでいる野鳥をファインダーの中に捉え続けるのも難しいはず。さらに、中央80%の位置にキープするのはある程度の経験や練習が必要になりそうです。
下の二つは、焦点距離700mmで連写中の連続した2枚の写真です。左のほうでカワウを認識できていましたが、その次の瞬間、ピントが外れたのは、恐らく80%の枠外に野鳥を配置させてしまったからだと思います。


EXTENDER RF1.4xを使う場合、野鳥の瞳や体をこの枠の中に収める必要があるので、少し窮屈に感じることがあるかもしれません。
③価格が高い
EXTENDER RF1.4xは性能がよくて便利です。
とはいえ、Canon公式サイトでの販売価格は69,300円(税込 ※2022年07月21日現在)という高価なもの。
購入するにしても、まずは使い勝手や画質などをじっくりと確認する方が良いでしょう。レンタルして試してみるのがおすすめです。
EXTENDER RF1.4×
実際に使ってみて良かった点

EXTENDER RF1.4xを使ってみて感じた、良かった点を紹介します。
①手持ちレンズの焦点距離が伸びる
EXTENDER RF1.4xを装着することで手持ちのレンズの焦点距離が1.4倍伸びるのは、やはり便利。
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMに装着して使用しましたが、もともと最長500mmであった焦点距離が700mmまで伸びることで、野鳥を大きく撮影できます。
下の写真は、左が焦点距離500mm、右が700mmの画角です。(一部、斜めになってしまっている写真がありますが、焦点距離そのままの画角をお見せするために修正しておりません。ご了承ください)。
これらは遠くの野鳥を撮影したものですが、焦点距離が500mmから700mmに伸びると大きく写ります。ファインダー内でも被写体が大きく見えるため、野鳥が首をひねって形が面白くなった瞬間や目線をこちらに向けた瞬間など、タイミングを見計らった撮影がしやすくなります。






野鳥撮影ではより長い焦点距離が求められますが、被写体によっては、焦点距離が長すぎると使いづらい場合があります。EXTENDER RF1.4xは携帯性にも優れているため、とりあえずカメラバッグに入れておいて、必要な時に焦点距離を伸ばす使い方が便利でした。
②画質の劣化をあまり感じない
EXTENDER RF1.4xを使う以前には、エクステンダーを使うことに少し不安がありました。
今回組み合わせて使用したRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMはとても画質に優れたレンズです。EXTENDER RF1.4xを装着するとその画質がどれぐらい劣化してしまうのか、レンズの満足度がどれぐらい目減りしてしまうのか、心配していたのです。
ところが、結論としては、EXTENDER RF1.4xを装着した写真でも画質の劣化はほとんど感じませんでした。撮影した写真をモニターの大きな画面で見ても、十分満足できる画質だったのです。
こちらはEXTENDER RF1.4xを接続して焦点距離700mmで撮影したスズメです。左が700mmの画角で、右がその中から顔部分を抜き出したものです。顔の羽毛もしっかりと解像しています。


EXTENDER RF1.4xを使って、「エクステンダーは焦点距離を伸ばすために画質を犠牲にするもの」という認識はなくなりました。一眼レフ時代とは、エクステンダーの常識が変わったといえそうです。
③AFスピードの低下を感じない
EXTENDER RF1.4xを使用しても、AFスピードの低下を感じませんでした。
実際には仕様としてスピードは落ちているはずで、EXTENDER RF1.4xのマニュアルには次の通り記載されています。
”エクステンダーを使用すると、AFの制御性を考慮して意図的にAF速度を遅くしています。”
出典:https://gdlp01.c-wss.com/gds/0/0300039540/01/extenderrf14x-rf2x-im-jpn.pdf
ただ、体感としてはAF速度の変化は感じませんでした。装着していない時の速度が速すぎるため、多少遅くなったとしても気がつかない程度なのかもしれません。
特に、枝の上に止まっている野鳥を撮影する場合などは、まったく影響を感じませんでした。飛翔している野鳥も撮影できます。
下の写真は、サーボAFモードで鳥を追従しながら、1/100秒というシャッタースピードで流し撮り撮影をしたものです。流し撮り自体は技術不足から少しブレていますが、ピントはカメラがしっかりと合わせています。

AFの速さはレンズの性能に依存しますが、エクステンダーがその能力を落とすことはなくなりつつあるようです。
EXTENDER RF1.4×
付属品や外観の仕様
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMの付属品と、外観について紹介します。
レンズポーチ LP811
EXTENDER RF1.4xに付属するレンズポーチは、LP811です。


肉厚の素材でしっかりと保護してくれるポーチです。
EXTENDER RF1.4xのサイズに対して巾着の口も中身も十分な大きさがあるので、レンズへの装脱着の際にも出し入れしやすくなっています。
またEXTENDER RF1.4xの前後には、エクステンダーキャップ RFとレンズダストキャップ RFというキャップを装着します。レンズダストキャップ RFは一般的なRFレンズのマウント側に付けるキャップですが、エクステンダーキャップ RFは専用キャップです。
現場で脱着する機会が多くなるかもしれませんが、紛失に注意しましょう。


外観の仕様
EXTENDER RF1.4xはレンズとボディの間に装着しますが、サイズ的にはそれほど大きなものではありません。装着した状態でも邪魔ではないですし、手持ち撮影の場合にも、ボディとレンズの重さのバランスを崩すようなことはありませんでした。

注意したいのが、後端のレンズです。このレンズがドーム状に出っ張っているため、つい手で触れてしまいそうになりました。レンズ構成図でも、レンズが膨らんでいる様子がよく分かります。


指紋や手の脂が付いてしまうと画質が落ちる場合があるので、注意しましょう。
EXTENDER RF1.4xの詳細情報
EXTENDER RF1.4xの基本スペック
EXTENDER RF1.4×
EXTENDER RF1.4xのスペックは、次の通りです。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| レンズ構成 | 4群7枚 |
| 最大径×長さ | φ71.2×20.3mm |
| 質量 | 約225g |
対応レンズ一覧
EXTENDER RF1.4xを使用できるレンズは、次の通りです。
| 対応レンズ | EXTENDER RF1.4x装着時 焦点距離/開放F値 |
|---|---|
| RF400mm F2.8 L IS USM | 560mm/F4 |
| RF600mm F4 L IS USM | 840mm/F5.6 |
| RF600mm F11 IS STM | 840mm/F16 |
| RF800mm F5.6 L IS USM | 1,120mm/F8 |
| RF800mm F11 IS STM | 1,120mm/F16 |
| RF1200mm F8 L IS USM | 1,680mm/F11 |
| RF100-400mm F5.6-8 IS USM | 140-560mm/F8-F11 |
| RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM※ | 420-700mm/F8-10 |
まとめ

エクステンダーの価値は、ミラーレス時代になって非常に高まったと感じました。
正直、一眼レフ時代のエクステンダーとは、「いくつかの妥協とトレードオフで焦点距離を伸ばすもの」という印象でした。
ですがEXTENDER RF1.4xは、画質的にも性能的にも高いクオリティが求められる野鳥撮影で使ったにもかかわらず、撮影面の不満は感じませんでした。
ミラーレス時代のエクステンダーは、画質や性能をほとんど担保したまま焦点距離を伸ばせる、本当に便利なものに進化したようです。
その性能のためか、EXTENDER RF1.4xはEF時代のエクステンダーと比較して、高価なものになりました。キヤノン公式サイトの価格(2022年7月16日現在)を比較すると次の通りです。
EXTENDER EF1.4×III:51,425円(税込)
EXTENDER RF1.4x:69,300円(税込)
EXTENDER RF1.4xは便利で画質も良いですが、ご自身の使いかたで購入するほど役に立つものか、一度レンタルして利用して試してみてはいかがでしょうか。
EXTENDER RF1.4×
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