雲海×工場夜景が撮れる「美の山公園(秩父)」工場夜景写真家が選ぶオススメ撮影スポットVol.6

(編集:GOOPASS TRAVEL MAGAZINE編集部)
今回は「埼玉県秩父市のセメント工場夜景」をご紹介させていただきます。一般的に、セメント工場は「光量・光源が少なく煌びやかに仕上がりづらい」という弱点を抱えています。
しかしながら、セメント工場特有の「縦横無尽にうねり狂う巨大パイプ」という強烈な個性は、コアなファンを惹きつけてやまない魅力です。
…とまあ、ここまでがセメント工場の一般的なお話。今回ご紹介する秩父市のセメント工場は小規模で迫力には欠けるものの、「雲海」という自然現象とコラボできるという稀少かつ強力な個性を持っています。
雲海自体がレアな自然現象であるため運次第にはなりますが、うまくいけば雲海と柔らかな明かりに包まれた、幻想的な工場夜景に巡り合えるかもしれません。
※営業状況・営業時間・料金・イベント情報などは異なる場合があります。各スポットへ訪れる際は、事前に公式ページなどで詳細をご確認ください。
※記事内容は2022年7月29日時点の情報に基づきます。
素敵な旅先・おすすめスポットはいいカメラで写真を残したいですよね。
撮影機材は購入する以外にも、まずはレンタルして試してみるという方法もあります。
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たとえば、イベントや旅行の際には短期で借りて、お気に入りの機材は数ヶ月じっくり借りるといった使い方ができます。
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目次
撮影前にチェックしたいこと
撮影を楽しむ際は、撮影のマナーをきちんと守り、様々な環境下で撮影を使用する際の注意点を知っておくことが大切です。
撮影マナー
下記の記事では、観光スポットをはじめとする公共の場所で撮影する際のマナーや、ジャンル別の基本的な撮影マナーを解説しています。
撮影が初めての方はもちろん、撮影マナーについてよく知らない方・不安のある方は、撮影前に必ずチェックしてください。
さまざまな環境で機材を使用する際の注意
特に、雨天時・冬季の撮影や、寒冷地・水中・砂埃の発生する場所などでの撮影。
通常とは異なるハードな環境下でカメラ機材を使用する際は、注意が必要です。
防水性・耐低温性・耐衝撃性・防塵性など、メーカーの保証範囲外で利用すると、カメラが故障したり不具合が発生したりする危険があります。
事前に、使用する機材の仕様を確認しましょう。
また、保証範囲内での使用であったとしても、結露の放置によりカメラが故障する可能性などもあります。
結露対策として急激な温度変化をさせない、結露が発生した場合はすみやかに対処する必要があります。(結露予防 参考:Canon公式)
はじめに
著者プロフィール,寺生まれのS

Instagramで不定期に工場夜景の写真を投稿。一番頻繁な時期には週に1度以上、工場夜景撮影に明け暮れており、撮影した場所は日本全国20ヶ所以上。カメラを始めた当初からInstagramを開設。『変わる廃墟VS行ける工場夜景展』にて作品を出展。
カメラを始めたのは2015年で、始めたきっかけは、旅行などで撮るスマホの写真に納得がいかず、一眼カメラを購入したこと。工場夜景を撮りだしたのは、カメラを始めてから約1年後。カメラの社会人サークルにて、工場夜景を撮りに千鳥町へ行ったものの悪天候のため不発で、もう一度1人でリベンジしたのが工場夜景にハマったきっかけ。
今回紹介するスポット:「美の山公園」雲海×工場夜景

Lens:AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR、ISO:64、焦点距離: 200mm、F5.6、SS:1/8-1/4-0.5-1.0-2.0-4.0-8.0-15.0-30.0
美の山公園の基本情報
| 美の山公園 | |
|---|---|
| 住所 | 〒369-1412 埼玉県秩父郡皆野町皆野 |
| アクセス |
【車の場合】 |
| TEL | 0494-23-1511(秩父環境管理事務所 ) |
| URL | https://www.pref.saitama.lg.jp |
美の山公園の魅力:雲海と街並みも撮影できる
美の山公園にある展望台からは、秩父の街が一望できます。
秩父は都心部ではないんですけど、盆地の中に街がぎゅっと収まってるので、星の海みたいな街並みになるんですね。
もちろん雲海が出ていないときに行っても綺麗だと思うんですが、雲海が出るとより幻想的になります。
信号の光とか車の明かりとか、住宅の明かりとか……。そんな街明かりが雲で乱反射し、非現実的な雰囲気の撮影ができます。
美の山公園で雲海×工場夜景を撮影するときのポイント

Lens:AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR、ISO:80、焦点距離:200mm、F5.0、SS:1/8-1/4-0.5-1.0-2.0-4.0-8.0-15.0-30.0-63.0
日付が変わる前に行く
美の山公園は、人気撮影スポットなので、雲海の発生条件が揃う日はカメラマンでごった返しています。平日であればそこまでではないですが、土日や金曜日の夜と雲海が重なると、もう激戦区。
予報(※)で50~70%の数字が出るとみんな押しかけて、展望台にはずらっと三脚が並びます。
そのため、日付が変わる前に現地に入っておかないと、最前列が取れません。
最前列が取れないと、後ろから2mくらい三脚を伸ばさないといけないので、できれば日付が変わる前には場所取りをしておいた方がよいですね。
※ Twitterにて有志で予報を出してる方がいます
万全な防寒対策をする
雲海が出る季節(春・秋)は寒いので、防寒対策を上から下まで徹底的にやらないと、体調を崩してしまいます。
日付が変わってからどんどん気温が下がる中、雲海が出てくる夜明けまで何もせずじーっと待ってなきゃいけないわけです。
車に戻ることもできますが、機材を盗難される可能性もあるので、立ってるのが確実。とにかく万全な防寒対策をしましょう。
秩父の雲海×工場夜景での撮影におすすめなカメラ機材

Lens:KOWA PROMINAR 500mm F5.6 FL(TX-10)、焦点距離:500mm、F11、ISO:100、SS:1/8-1/4-0.5-1.0-2.0-4.0-8.0-15.0-30.0-61.0-121.0
カメラ
- ミラーレス一眼カメラ
- 一眼レフカメラ
カメラはミラーレス一眼カメラや一眼レフカメラで、InstagramなどSNSにアップするのであれば、センサーサイズはAPS-Cやマイクロフォーサーズでも問題ないと思います。
ただし、現像して大きく印刷するなどといった場合で、引き伸ばしても綺麗な画質を保てるのはフルサイズのカメラですね。
レンズ
- 200mmをカバーするレンズ
美の山公園からの写真は、最低でも200mmの焦点距離が必要です。それより広角になっちゃうと、公園の高台の前に植わっている木の枝が写り込んでくるんです。
雪が降って木の枝が雪化粧してたり、あるいは桜が咲いてたりすれば広角でもよいかもしれませんが……。桜が咲く時期に雲海が出るかは微妙で、よほど条件が整わないと難しいと思います。
邪魔なものを写さないようにするには、200mmの単焦点や70-200mm、便利ズームの70-300mmの望遠寄りで撮るのがおすすめです。
その他
- 三脚
三脚はトラベル三脚ではなく、ごついの(GT4552GTS)を持っていきました。一列目が取れなかったら、後ろから撮らないといけないので……。
普通に(前列で)撮影するらなら、自分の顔の高さで撮れるくらいのものがあれば問題ないですね。
秩父の雲海×工場夜景のおすすめ撮影場所・構図
1.美の山公園の山頂展望台

Lens:AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR、ISO:100、焦点距離:200mm、F5.0、 SS:1/8-1/4-0.5-1.0-2.0-4.0-8.0-15.0-30.0-62.0
おすすめの焦点距離:200mm
撮影のコツ
構図
構図は、工場を撮るとなると固定されてくるというか……だいたいこの構図しかないというか。もちろん、工場以外を撮るのであれば、もっと自由度は出てくると思うんですよね。
工場をどこに写すかを考えて構図を決めています。私はだいたい三分割構図とか、黄金分割構図の右下配置で撮っています。
別の交点に配置すると、街の構造とか街明かりの関係で、あまり綺麗にできなさそうだったので……。

Lens:KOWA Prominar 500mm F5.6 FL × TX-10、ISO:160、焦点距離:500mm、F8.0 SS:1/8-1/4-0.5-1.0-2.0-4.0-8.0-15.0-30.0-59.0
おすすめの焦点距離:500mm
撮影のコツ
こちらは、盆地の一番端っこを撮ってるような写真です。
やっぱり工場が一番かっこよく見えるように配置してあげるのと、煙をどう入れるのかを意識しました。奥の工場が煙を出してくれるんですよね。
煙の高さをどこまで入れるのか、というのもありますし、下の街明かりをどこまで入れるかという問題も出てくるでしょう。
私は500mm(の単焦点)しか持ってなかったので、街明かりを優先しました。
注意点としては、めちゃくちゃ暗いんですよ、周りが。なので、ピント合わせが恐ろしく難しいです。
余計なものが写らないよう、最初にISO6400・絞り開放で1秒くらい撮ってみて、構図を調節した方がよいと思います。その方が、いざ1分2分、4分と開けて撮った写真が微妙……とならずに済むのかなって。

Lens:AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8 E FL ED VR、焦点距離:200mm、F4.0、ISO:100、SS:1/8-1/4-0.5-1.0-2.0-4.0-8.0-15.0-30.0-60.0-120.0
おすすめの焦点距離:200mm
撮影のコツ
上の写真は、2枚目の写真を広角で撮っています。
ちょうど雲海が出ているので、作品にはなってるかなと思います。雲海が出てなかったら、下側がただの杉林なんで(笑)。
そういう意味では、雲海の状況に合わせて撮るのも一つかな、と思います。
暗くて何も見えないので、背後の山の位置からだいたい推測して撮っています。初めて行くのであれば、ちょっと明るいときに「工場はどの方角にあるんだろう」とか想定した方が確実だとは思います。
位置情報
2.寺坂棚田付近

Lens:AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G、ISO:64、焦点距離:58mm、F4.0、SS:1/125-1/60-1/30-1/15-1/8-1/4-0.5-1.0-2.0-4.0-8.0-15.0-30.0-61.0-120.0-240.0
おすすめの焦点距離:50mm
林道丸山線の道路から、構図を探して撮っています。棚田付近であれば、あとは個人の好みに合わせて、足を使って構図を変えてもらえればと思います。
撮影のコツ
奥の工場がメインではありつつも、棚田に構造物があったりするので、個々人が「かっこいいな」とか「綺麗だな」と思うように、手前にアクセントを置いてもいいかもしれません。
これが正解っていうのは、美の山公園に比べればないと思います。
この場所も暗すぎたので、F4で撮っています。本当はもうちょっと絞りたかったんですけど、そうなると「何秒開けていればいいんだ」って感じで……。
自分は絞りを開けて妥協しましたけど、もしかしたらISOを上げる方向で妥協した方がよかったのかなとも思います。

Lens:KOWA Prominar 500mm F5.6 FL × TX-10、ISO:80、焦点距離:500mm(×1.33 trimming)、F9.5、SS:1/60-1/30-1/15-1/8-1/4-0.5-1.0-2.0-4.0-8.0-15.0-30.0
おすすめの焦点距離:500mm
撮影のコツ
こちらは植え込みがあって、意外と撮れる構図が限定されてきます。手前の木を入れないようにするには、500mmが必要ですね。
セメント工場は縦横無尽に走るパイプが特徴的なので、やっぱりそこに一番視線が行くような感じで撮っています。セメント工場ならではの良さが分かるのが重要かなと思います。

Lens:AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR、ISO:80、焦点距離:105mm、F4.0、 SS:1/60-1/30-1/15-1/8-1/4-0.5-1.0-2.0-4.0-8.0-15.0-30.0
おすすめの焦点距離:100mm
撮影のコツ
最後は縦構図です。
ちょうど雲海の発生初期というのもあって、どんどん雲海が降りてきているタイミングでした。工場の煙とうまく繋がった瞬間というか、工場の煙が雲海を呼び寄せたみたいな……。それがわかりやすくなるよう、縦構図で撮影しました。
あくまで工場の撮影なので、あまり工場が下に行きすぎないように、構図は三分割くらいで。もしかしたら、下の杉林はもう少し削ってもよかったかもしれません。
位置情報
秩父の雲海×工場夜景での撮影に使用した機材
今回紹介した写真の撮影に使用した機材は下記の通りです。
カメラ
Nikon D850

言うことなしの1台
D850に関しては、完成されているというか、いうことなしの1台ですね。
夜景撮影するにあたっては、タッチスクリーンが結構便利なんですけど、以前使っていたD750にはなくて。
D850でタッチスクリーンが使えるようになって、効率が上がりました。
夜景撮影では、必ずもっていくメイン機種です。D750から乗り換えた決め手は、タッチスクリーンはもちろん、高画素な点でした。
使用してみて驚いたのは、高画素機はノイズが結構出ると聞いていたのですが、実際はD750よりも全然少なかったことです。
細部までビシッと描写されていて、本当に買って良かった1台ですね。
| Nikon D850 | |
|---|---|
| センサーサイズ | フルサイズ |
| 対応マウント | Fマウント |
| 有効画素数 | 4575万画素 |
| ISO感度(通常) | 64~25600 |
| シャッタースピード |
1/8000~30秒 |
■購入する場合は、297,800円(税込 2022/09/13現在 カカクコム調べ)となっているようです。
レンズ
Nikon AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

工場夜景のオールラウンダー
基本的に、工場夜景撮影で必ず使う1台です。はじめて行く場所はもちろん、特に撮影する写真を決めていないときは、だいたいこのレンズがあれば、どうにかなります。
| Nikon AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR | |
|---|---|
| 対応マウント | ニコンFマウント |
| レンズ構成 | 18群22枚 |
| 絞り羽根枚数 | 9枚 |
| 最短撮影距離 | 1.1m |
| 最大撮影倍率 | 0.21倍 |
■購入する場合は、281,800円(税込 2022/09/13現在 カカクコム調べ)となっているようです。
Kowa PROMINAR 500mmF5.6FL

出典:Kowa
100万円の写りが二十数万くらいで手に入る、コスパ最強のレンズです。しかし、安く仕上げている分、マニュアルフォーカスという点と、絞りが2段分しかない制約があります。描写は文句なしで、四隅が甘くなることがなく、線が線として写ります。ワイドコンバーターやテレコンバーターで350mmや850mmにもなるので、短くしてさらに明るくする使い方もできます。
| PROMINAR 500mmF5.6FL | |
|---|---|
| 対応マウント | ニコンFマウント系 |
| レンズ構成 | 7群7枚 |
| 絞り羽根枚数 | 9枚 |
| 最短撮影距離 | 3m |
| 最大撮影倍率 | 0.17倍 |
その他
GITZO 三脚 システマティック 4型 カーボン 5段 脚のみ ジャイアント GT4552GTS

出典:Amazon.co.jp
カーボン製のため、スペックの割には軽いと思います。が、持ち運びには苦労するので、持ち出す際は基本的に車です。工場夜景を始めて、千鳥町や浮島などフェンスのある場所で、フェンスを越えて撮りたいと思い購入しました。
| GITZO 三脚 システマティック 4型 カーボン 5段 脚のみ ジャイアント GT4552GTS | |
|---|---|
| 最大高 | 240 センチメートル |
| 最低身長 | 10.7 センチメートル |
| 重量制限 | 25 キログラム |
| 商品重量 | 2.72 キログラム |
あとがき
「雲海×工場夜景」はいかがでしたでしょうか。これまでも一癖二癖ある撮影スポットはご紹介してきましたが「悪路」「場所取り戦争」「極寒の長時間待機」「雲海出現保証なし」という四重苦を抱えるスポットは、もしかしたら初めてかもしれません。
誤解を恐れず言えば、ここまで撮影条件の悪い被写体を追いかけるのは「コスパが悪い」ということもできるでしょう。それにもかかわらず、狭い撮影スペースに三脚がひしめくほどの人が集まるということは、それだけ雲海夜景の魅力が強烈であることの証左のように思います。
秩父の雲海工場夜景、ぜひ一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか!
この記事を書いた人

工場夜景写真家.寺生まれのS
Instagram:S_TELLAR (寺生まれのS)/Twitter:寺生まれのS (for photo)
1988年生まれ。千葉県出身。事務職たまに僧侶。Instagramで不定期に工場夜景の写真を投稿。
▼Vol.1
▼Vol.2
▼Vol.3
▼Vol.4
▼Vol.5
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