野鳥撮影のマナーと注意したい撮影のポイント

野鳥撮影を始めてみたいと考えている方に、ぜひ知っておいてほしいことがあります。それは、野鳥撮影の基本的なルール。機材選びや撮影テクニックよりはるかに重要です。
野鳥撮影は、野鳥が生息しているテリトリーにお邪魔して撮影させてもらうもの。知らず知らずのうちに、野鳥にストレスを与え、生態系を乱してしまうような行動をとっていることがあります。
とはいえ、どのような行動が野鳥にとって迷惑なのか、分からない方も多いのではないでしょうか。そこで、この記事では、「これだけは避けましょう」という基本的なルールをご紹介します。決して難しいことではありません。鳥の生態を知り、一般的なマナーを守っていればOKです。野鳥撮影が楽しめるように、人にも野鳥にも優しい撮影を心掛けましょう。
目次
野鳥撮影の基本ルール

野鳥撮影では、野鳥の迷惑にならないためのルールがあります。特に下記の6つは重要です。
- 野鳥を追い回さない
- 人の姿をできるだけ見せない
- 鳥の巣には近づかない
- 細かい撮影ポイントは人に話さない、公開しない
- 安易な餌付けはしない
- 人間の都合で、野鳥が暮らす環境を変えない
野鳥を追い回さない

野鳥撮影では、なかなか野鳥に出会えないこともしばしば…。やっと野鳥を見つけた場合、その野鳥を追いかけて撮影してはいけません。野鳥は、常に大きな動物に食べられてしまう立場。人間のような大きな動物には恐怖を感じているのです。人間が近づいてくると鳥に強いストレスを与え、場合によっては鳥を危険にさらしてしまうこともあります。
例えばライチョウ。ライチョウのような親子で一緒に歩く野鳥は、つい近づいて写真を撮りたくなってしまうでしょう。しかし、人が近づくと慌てて逃げようとして、親子ではぐれてしまう場合があるのです。また、野鳥の中には、渡り鳥として長距離移動をする種も多くいます。渡りの途中の鳥たちは体が弱っていることも理由ですが、人間がストレスを与えてしまい、十分な休憩や捕食ができないことも…。
あくまで人間は、野鳥たちのテリトリーにお邪魔している立場。野鳥たちの負担にならないように、撮影させてもらいましょう。
人間の姿をできるだけ見せない

野鳥は人に対する警戒が強い生き物。私たちの姿はできるだけ見せないのがポイントです。
具体的な方法を4つ紹介します。
- 立つよりは、しゃがむことで小さくなれる
- 木陰やヤブなどの、遮蔽物に隠れる
- カモフラージュテントなど、身を隠せるものを利用する
- 車の中から撮影する
人間がいないことで、鳥は安心して姿を見せてくれます。その姿をそっと、撮影させてもらいましょう。
鳥の巣には近づかない

5月から6月頃、野鳥は巣を作って繁殖の時期を迎えます。この時期に野鳥は営巣(巣を作ること)しますが、野鳥の巣には近づかないようにしましょう。子育て中の親鳥は、特に警戒心が強いといわれています。危険を感じると巣に近づけなくなったり、巣を放棄したりすることも…。その結果、ヒナたちは飢えて死んでしまいます。
巣は人の目につきにくいところに作られるので、人間は気付かないうちに巣に近づいてしまっている場合も…。繁殖の時期には、野鳥撮影を少しお休みするのも良いかもしれません。
細かい撮影ポイントは人に話さない、公開しない

お気に入りの撮影ポイントがあって、そこで珍しい野鳥が撮影できたとしても、その撮影ポイントをSNSなどで公開することは避けましょう。公開された情報が広まって、翌日には数百人もの人が集まってしまうこともあります。
野鳥撮影のトラブルは、人が増えすぎるところから始まります。集まった人たちに悪気はなくとも、周辺住民や野鳥の迷惑になってしまいかねません。そのスポットに隣接している私有地や立ち入り禁止地域に足を踏み込んで、地元の方々とトラブルに発展してしまうことも…。トラブルによっては、野鳥撮影が禁止されてしまう可能性もあります。そうすると、貴重な撮影スポットを失ってしまうことになります。
人が集まることで鳥たちにもストレスを与え、珍鳥も去ってしまう可能性も…。野鳥の撮影ポイントは、おおっぴらに公開しないようにしましょう。
安易な餌付けはしない

野鳥を呼び寄せるためにエサで釣るような安易な餌付けは、野鳥が生息する環境を壊し、生態にも影響を与える恐れがあります。具体的には、次のような悪影響が考えられるためです。
- 与えられるエサに依存して、自然の中でエサを取れなくなる
- 餌付けされた種類の鳥だけが増えることによって、生態系のバランスを乱す
- 渡り鳥が、エサが貰えることで渡るべき時期に飛び立たなくなってしまい、季節が変わって死んでしまう
- 野生鳥獣が本来食べることのない、調味料や添加物、油などによって病気にかかる可能性がある
人間が勝手にエサを与えると、これだけの悪影響が予想されます。安易にエサはやらないようにしましょう。
人間の都合で、野鳥が暮らす環境を変えない

撮影がしやすいようにと、勝手に自然環境を変えてしまうのも避けましょう。鳥が隠れてしまうからと木の枝を切ったり、草を踏みつぶしたりして、見通しを良くするような人もいるようです。また、飛び立つ鳥を撮影するために、石を投げるような人もいるのだとか。
野鳥が暮らす環境は、自然の中で生きるために野鳥が選んだもの。人の都合で変えてしまうのは絶対にやめましょう。
注意したい撮影のポイント

野鳥たちに負担をかけない基本ルールを紹介しましたが、その上で、どうしたらより野鳥に優しく撮影できるのでしょうか。撮影時に注意したいポイントについて解説します。
- 撮影できる場所に現れてくれるのを待つ
- 距離を保って、ゆっくり小さく動く
- 撮影場所選びに気を付ける
- 先客や観光客の邪魔をしない
- ストロボは使用しない
撮影できる場所に現れてくれるのを待つ

撮影する際には、人間の方から鳥に近づくのではなく、鳥が集まるところを予測して待ちましょう。
野鳥の行動パターンを覚えると、野鳥がどこに降りてくるのか、どこに集まるのか、予測できるようになります。その場所に前もってカメラやレンズを準備しておくのがオススメ。鳥の種類によってパターンがあったり、個体ごとのクセがあったりするので、それぞれを少しずつ覚えると、撮影できる可能性がぐっと上がります。
距離を保って、ゆっくり小さく動く

野鳥は人間に警戒心を持っている生き物。必要以上に近づいたり、急にレンズを向けたりするような速い動きを嫌がります。
野鳥に嫌われないためには、距離を保つこと。そして慌てて撮影することがないように、前もって三脚に据えたカメラの向きや、カメラの設定を済ませておきましょう。シャッターを切るだけの状態にしておけば、慌てずゆっくりと撮影体勢に入れます。
距離を保つためには、遠くから大きく撮影できる、焦点距離の長い望遠レンズを使うのがポイント。野鳥撮影では焦点距離800mmが標準レンズといわれるほど、焦点距離の長さが重要です。焦点距離の長い望遠レンズを用意するか、エクステンダー(焦点距離を1.4倍や2.0倍に伸ばせる撮影アクセサリー)を使いましょう。
撮影場所選びに気を付ける

野鳥撮影は長いレンズや大きな三脚を使うので、周りの方に迷惑にならない場所を選びましょう。特に三脚の設置場所には気をつけてください。一般の通行人の邪魔にならない場所に、他の撮影者の邪魔にならない距離を保って設置しましょう。
また、撮影に夢中になるあまり、立ち入り禁止区域や私有地に入ってしまうことにも注意が必要です。トレイル(用意されている歩道)や木道がある場所では、その道を外れないようにします。道を外れると、希少種の植物などを踏みつけてしまうこともあるためです。
田畑や牧草地も野鳥撮影のスポットですが、農家の方の邪魔にならない場所で撮影する必要があります。繁忙期には、撮影を避けるのが良いでしょう。
先客や観光客の邪魔をしない

先客や観光客がいる場合も注意しましょう。
先に訪れた撮影者は時間をかけて、良いポジションを取ったかもしれないからです。突然近づいてくる人間に警戒して、野鳥が逃げてしまうことも少なくなりません。このような場合は諦めて、次の機会を待ちましょう。
また、観光客など一般の方も多い場所での撮影は周囲や景観への配慮を忘れずに。
同じ場所をずっと占有するのもマナー違反です。譲り合いの気持ちを持って、撮影を楽しみましょう。
ストロボは使用しない

野鳥にとって、人工の照明は強烈です。暗い場所での撮影や、野鳥に影がかかっていたとしても、絶対にストロボを使用してはいけません。また、カメラによっては、オートフォーカス時にオレンジ色の補助光が出るモデルがあります。撮影の前に必ずOFFにしておきましょう。
- 光が当たる側から撮影する
- 露出を上げて、連写で撮る(シャッタースピードが遅くても、複数撮ることで綺麗に写る一枚を狙う)
- できるだけ明るい(F値の小さい)レンズを使う
- 最新式のカメラを使う(ISOが上がっても画質が良いため)
- フクロウなどは夜ではなく、早朝や夕暮れなど、光のある時間に探す
- 森や木では、葉が落ちている冬に撮影する(光が遮られないため)
- シルエット撮影など、暗さを利用した撮影を試みる
まとめ

この記事では、野鳥撮影の基本的なルールを紹介しました。鳥の生態を知って、初めて気づいたルールもあったのではないでしょうか。撮影の際は、鳥のテリトリーにお邪魔している意識を持って、周囲の人とは譲り合う気持ちを持つことが大切です。この記事を参考にして、ルールを守りながら野鳥撮影を楽しんでください。
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