写真家・田中雅美さん解説!野鳥の撮り方Vol.4「~野鳥撮影におすすめのカメラの選び方と設定」

(編集:GOOPASS ANIMAL MAGAZINE編集部)
「思うように野鳥写真が撮れなくて悩んでいる」「これから野鳥撮影にも挑戦してみたいけれど、どんな機材を選んだら良いの?」という方は多いのでは?
そこで、FUJIFILMのX-ProphotographerやNHKのネイチャーカメラマンなども務める写真家・田中雅美さんに野鳥の撮影方法やコツをうかがいました。
今回は、野鳥撮影におすすめのカメラの選び方、カメラの設定などについて、解説いただいています。
また、田中雅美さんの記事では、毎回撮影テーマに沿った撮影のコツや愛用機材を解説いただきます。
野鳥撮影にこれから挑戦するなら『Nikon COOLPIX P1000』

野鳥撮影にこれから挑戦してみたいという初心者の方におすすめのカメラが『Nikon COOLPIX P1000』。コンパクトデジタルカメラ(以下、コンデジ)なのに、3000mm相当のズームができるのが最大の魅力です。
野鳥なら十分にアップで撮影できますし、月ならクレーターまで写せます。

COOLPIX P1000
野鳥撮影をしてみたいという知り合いにもよく勧めていますが、みなさん使って良かったと言っています。やっぱり超望遠で撮影できるから、良いんですよね。
まずNikon COOLPIX P1000で撮影してみて、自分が向かないなと思えば、野鳥撮影はやめた方が良いかもしれません。
なぜなら、この望遠撮影が中心のカテゴリーはお金がすごく掛かるから。
数百万円とお金が掛かるカテゴリーなので、最初にそれだけ投資しても面白さが感じられないともったいないですからね。

そいういう意味ですごくいいなと思うのがNikon COOLPIX P1000。Nikon COOLPIX P1000で撮ってみて、これは面白いからやろうって思ったら、いよいよ一眼カメラを検討しましょう。
カメラが初めてで、これから野鳥撮影に挑戦したい方には、このカメラと方法を一番おすすめします。
最も重要なカメラの性能は高感度耐性

一眼カメラを選ぶ際に、重要視するものはいくつかあります。その1つが『高感度耐性』。
高感度耐性とは…
高感度(ISO感度を上げた状態)でもノイズ(写真のざらつき)が乗りづらく、高品質な画質を保つ性能のこと
野鳥撮影の場合、暗い場所など条件の悪いところでも、F値の大きい暗いレンズを使うことが多いと思います。やっぱり、100万円を超える「400mmF2.8のレンズで始めましょう」って言ってもそうはいかないじゃないですか。

「今日は森林公園の森の中で撮影です」といった瞬間からISO感度上げることになるので、やはり高感度がそこそこ強いカメラを選ぶのがポイントです。
やっぱり小型軽量ボディが扱いやすい

その次は、持っていても疲れない軽量さとコンパクトさ。もちろん、三脚はあればあったで良いし、使える場所では使った方が良いです。ただ、ベストは三脚がなくても撮れて、取り回しの良い機材。

やっぱりボディーは、軽くて小さい方が良い!
カメラが大きくて必要な部分がどうしてもある場合は、それで良いと思いますが、最初に選ぶ場合は小型・軽量を重視して良いでしょう。
必ず使ってみて確かめてほしい手ブレ補正

手ブレ補正がしっかり効いているカメラを選びましょう。
カメラを使い込んでいるプロにとっても、手ブレ補正は大変大きな役目を果たしています。
「手ブレ補正○段」といったスペックももちろん重要ですが、持ったときに、手ブレ補正がカチッと入っているという感覚が最も重要です。

構えてみて「これは安定して止まる」「これはなんだかちょっと震えるな…」というのが分かると思います。それがすごく重要です。
私は複数のカメラを使っているので、止まりが悪いカメラもあるなと感じますね。
手ブレ補正の場合、実際に使ってみて、確認することが重要です。
メーカーによる操作性の好みも重要

その後に来るのが、右手で操作するコントローラーたちが自分の感覚に合うか。
どうしてもあれが使いやすいっていう人を理解できないぐらい、操作系が苦手なカメラって誰しもあると思うんです。

明確に苦手な操作系があるメーカーがあります…
これはどのメーカーが良い、どのモデルが良いということではなく、自分の手に馴染むかどうか。
生き物を撮る場合、右手のスムーズな操作は絶対重要です。
右手の操作で好みのカメラなら、多少AFが遅くても、結果的にはそれほど悪くないものではないかと思います。
撮りたいものによってセンサーサイズは選択する

センサーサイズは、何を撮りたいかによって選びましょう。最初からフルサイズが良いと言っても、野鳥撮影の場合あまり意味をなさないことが多いですね。
野鳥だと、猛禽類にはなかなか近寄れませんよね。そういうときにはやはり選ぶカメラは決まってきます。

僕の場合はシロクマとかね!
フルサイズ

例えば、イヌワシを見つけたとして、どれだけ望遠のレンズを付けていても、フルサイズでは撮影って難しいんです。そのような場合はやっぱりマイクロフォーサーズの方がいいと思いますね。
私の場合、マイクロフォーサーズはパナソニックが使いやすいので使っていますが、オリンパス(OM SYSTEM)が使いやすい人はオリンパスを使って良いと思います。
一方、1台で賄いたい場合は、それなりに画素数のあるカメラを選びましょう。
そうすると、「カメラのクロップ機能を活用するのはどうか?」と思われる方もいるかもしれません。「クロップ機能があるなら、何もマイクロフォーサーズのカメラ買わなくても良いのでは?」と思いますよね。
APS-C

例えば、フルサイズカメラでAPS-Cクロップを利用する場合、APS-Cサイズに特化したようにフルサイズを凝縮するんです。フルサイズで使われている基本仕様を小さくするということ。
フルサイズを例えば、二分の一に切り取ったのとは違うんです。
クロップした段階で、違うエンジンを使った違うものが1個生まれてくるようなイメージ。
クロップして撮ったものを見比べるとクロップしない方が綺麗。
それが一般的なカメラのクロップ機能です。
中判デジタル

つまり、各メーカーAPS-Cやマイクロフォーサーズで性能や画質をうまく丸め込んできているんです。
一方で、センサーを純粋にトリミングして、切り取ったそのままを使っているのが SIGMA fp。フルサイズで撮ったのと変わらない解像感があります。仕上がり方がクロップをしても何も変わらないのがSIGMA fpです。

クロップを使って効率よく、綺麗な写真を撮るならSIGMA fpですが、SIGMAのカメラでどうやって生き物を撮るのかと言われると、実際非常に難しいのでこれでこの話はおしまいです。

SIGMA fpは生き物は難しいですが、それ以外は本当におすすめ
ただ、クロップは便利な機能です。クロップしたときに綺麗だなと思えるカメラを選ぶこともポイントかもしれません。
ぜひ一度レンタルして試してみてから購入してみてください。特に生き物は試してみてから選んだ方が絶対に良いと思います。
最近のカメラはどれも実際あまり性能上の差はありません。あとは好みの問題なので、いろいろと試してみて自分にしっくりくるものを選んでください。


レンズとの組み合わせもポイント
レンズとの組み合わせもよく考えましょう。レンズの性能については次回の連載で詳しく解説しますが、野鳥撮影でベストだと思うレンズは「100-400mm」です。
フルサイズのカメラを使う場合は、100-400mmにテレコンバーターを装着する。少し重くても気にしない方は150-600mmもアリですね。メーカーは純正でもサードパーティーでも良いので、好みに合うものを使いましょう。

レンズはボディと相性の良い悪いがあるので、その点も気を付けましょう。純正以外を使う場合は特にです。そのため、きちんと一度本当にレンタルして撮りたいシーンで実際に使ってみるのが◎。必ず一度試してくださいね。
私の生徒さんのなかにも「このレンズいいよ」と周りに勧められるけれど、一度使ってみないと怖くて買えないという方がたくさんいます。
みなさん一度レンタルして使ってみて、気に入ったら購入するという方法をとっていますね。
そのほかの性能はあまり気にしなくてOK

連写性能は、正直10コマ/秒以上撮れれば十分だと思います。「連写○コマ/秒」とよくありますが、メーカーの売り文句であって、実際のところ最近のカメラのなら全部OKです。
シャッター速度に至ってももうほぼすべてのカメラでOKだし、ブラックアウトもほぼないですよね。
気を付けたいカメラの設定

絞り優先モードで撮影することもあれば、シャッタースピードは速い方が良いので、シャッター固定モードで撮ることもあります。
例えば、わざとブレさせて動きを出すこともありますが、最初は速いシャッタースピードで◎。

絞りはできる限り開放で撮影しましょう。
開放F値が小さい明るいレンズほど、絞れば絞るほど描写が悪くなります。やはり明るいレンズは開放で最大限の能力を発揮できるように作られているので、基本は開放で良いでしょう。
意図して絞る場合は解析現象(絞りすぎて解像感が落ちる現象)が起きるので、注意してください。

また、ISO感度は少し高めに設定し、適正露出から0.5オーバーくらいの露出設定がポイントです。
特にシャドウ部に注意してください。撮影の段階で黒を作ってしまうと、シャドウノイズが中に入っているので、現像時に無理ができません。シャドウ部は黒くせず、撮影した後の画像処理で出してあげましょう。
白はグレー、黒はグレー、グレーで撮っておけばどうにでもなります。

白もグレー、黒もグレーが常に言う格言です!
また、最近のカメラには「高感度ノイズ低減」という機能が備わっています。こちらを必ず設定しておくのもポイントです。
そうしておかないと後で後悔することになります。
例えば、写真展などで写真を展示した場合に、シャドウ部をきちんと撮っていなかった人と撮っていた人とでは出来上がりが全く異なります。そうやって差が出ちゃうんです。
撮ったときのデータではどうか分からなくても、最終的な結果で「あなたの方が下手です」ということになってしまう…。嫌ですよね。

ちなみにSIGMA fpなら最初からトーンカーブが動かせるので、シャドウもハイライトも全て、撮影する時にグレー側に引っ張れるんです。そのため、とても綺麗な写真が撮れます。
撮影の際は、撮ったものは素材ということを肝に銘じておきましょう。撮ったものが写真ではありません。
撮ったものは買ってきた野菜です。食べるにはきちんと料理をしないといけません。きちんと料理をすれば美味しいものが出来上がるので、ぜひそういう考えで撮影してみてください。

また、JPEGのデータはRAWより特にシビアです。そのため、JPG設定で撮影する場合は、本当にきっちりとカメラの設定をしておかなければいけません。
間違っても、最初から彩度をどーんと入れたり、ベルビアモード(ビビットカラーのような高彩度のフィルターモード)を使ったりするのはやめましょう。
JPGで色味がどぎつい設定やシャープネスの強い設定を最初から入れたら、すぐ破綻してしまいます。JPGの場合、特に気を付けてそうならないような上手い設定をしなければいけません。

最近のカメラはデフォルトの設定で綺麗に撮れるというより、より綺麗に撮りたい人のために細かく調整がどんどんできるようになってきています。そのためどんどん難しくなってきているんです。

初めてのカメラは撮る前にパソコンと設定をにらめっこしています
カメラの精度はすごく上がったけれど、反対に難しくなったと感じています。難しいというか、能力がありすぎるので幅が広くなってしまったんですよね。
そういう意味でも簡単に撮影に挑戦できるのが、Nikon COOLPIX P1000。メニュー見たら笑っちゃいますよね。すごく簡単です。
夕焼けの中の夜景を撮ったりすると、本当に綺麗なことが実感できると思います。Nikon COOLPIX P1000から始めて納得できたら、次のカメラに挑戦してみると良いですよ。

COOLPIX P1000

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