写真家・井上浩輝さん解説!野生動物の撮り方Vol.3「エゾリス」を可愛く撮るには

(編集:GOOPASS ANIMAL MAGAZINE編集部)
これから野生動物を撮影してみたい方の中には、「どこに行けば野生動物に会えるの?」「どうやって撮っていいか分からない…」という方も多いのでは?
そこで、米誌「National Geographic」のフォトコンテスト『TRAVEL PHOTOGRAPHER OF THE YEAR 2016』ネイチャー部門で日本人初の1位に輝いた写真家・井上浩輝さんに野生動物の撮影方法をうかがいました。
今回は、【テーマ:エゾリスの撮り方】について、詳しく解説いただいています。また、井上さんの記事では、毎回撮影テーマに沿った撮影のコツや愛用機材を解説いただきます。

エゾリスの別名はきねずみ?
エゾリスは別名きねずみ(木鼠)と呼ばれています。ただし、ねずみという割には体が大きく体高は20cmを超えます。
ティッシュの箱が立っているほどの大きさです。
エゾリスはどこで何をしている?

エゾリスは森林や山林地帯に生息しています。
そのほか、森林や林のある北海道内の多くの公園でも見ることができます。木が少ないところや山岳地帯では見かけません。
夜行性ではないので、昼間や日没頃まで見られるのがポイント。冬眠しない点も特徴といえるでしょう。
エゾリスは巣を中心に活動していますが、一定の巣にずっといるのではなく、どんどん巣を変えていきます。
井上浩輝さん群れではなく単独行動が基本!
そんなエゾリスの特徴はなんといっても、夏毛と冬毛で見た目が大きく異なる点。


夏毛はねずみのような見た目ですが、冬になると全体がふさふさになるだけでなく、耳の毛がぴーんと伸びてきます。
そして、春から夏の終わり頃には子どもが産まれます。妊娠期間は約40日と言われており、年に2回子どもを産む個体もいるようです。

エゾリスが子どもを産む場所はキツツキが空けた穴の中。お母さんは穴の中に巣材を持ち込んでせっせと子育てをします。
井上浩輝さんお父さんが子育てに参加しているのは見たことがないなあ

上の写真は、子どもが巣穴から出てきた瞬間を撮影したものです。先に出た子が、まだ巣穴にいる子に「出ておいで」と声を掛けているよう。
こうやって子どもたちが出て行ってあっという間に子育てが終わっていきます。

エゾリスが食べているのは、花や芽や葉、種、果実、昆虫など…。ときには樹液を舐めたり、きのこを食べたりもしています。
夏には青いクルミを食べ、秋になるときのこやオンコ(イチイ)の実を食べます。
オンコの木には、甘い赤い実がついているのですが、実の中にある種には毒があり、果実だけを上手に食べているようです。


エゾリスは貯食をする点も特徴。一説によると、数千の木の実を地面に埋め、そのほとんどを忘れるのだとか。
どうやら他の個体が埋めたものを後から見つけて、食べているようです。
エゾリスが忘れるから、森に新たな芽が出る。エゾリスは森を育てている動物の一つとも言えるかもしれません。
エゾリスを可愛く撮影するには?


エゾリスを可愛く撮影するには?
エゾリスを撮影する理由は北海道で一番しぐさが可愛らしくて表情豊かだから。人間み溢れて見えるのも彼らの魅力です。
エゾリスを撮影する理由は北海道で一番しぐさが可愛らしくて表情豊かだから。人間み溢れて見えるのも彼らの魅力です。
井上浩輝さん雪が降り積もる地面を一生懸命掘る姿もけなげです
エゾリス撮影のポイントは、エゾリスの目の高さで撮ること。人間の目の高さから撮ると、かっこ悪い写真になりがちです。
低い位置から撮ることを心掛けましょう。
エゾリスは高い位置にいることが多いですが、地面近くを走るエゾリスを見つけたら、低くなって撮る。それが可愛く撮る第一歩です。

もう一つのポイントは、背景の処理を上手くすること。見上げて撮る時は、できるかぎり葉っぱがたくさん入るように撮りましょう。
また、木漏れ日を玉ボケにするのも◎。逆光で撮れるなら、逆光を意識してシルエットで撮ってみたり、あえてふさふさのおしりを強調して撮ってみるのもよいでしょう。

紅葉の中のエゾリスを撮るなら、赤く紅葉した桜の葉が落ちた場所に行くなど、背景を工夫してみましょう。
エゾリスを撮りたい人がたくさんいる公園に行くときは、派手な色のものを着て行かないのも大切。派手な色の服や靴が背景に写り込んでしまいます。

写真展をしたいという方は、エゾリスのドアップだけでなく、エゾリスがどんなところにいるのか分かる引きの写真も撮影してみましょう。
写真展など、写真を複数展示するときは、寄りと引きのバランスも重要になります。
井上浩輝さん引きの写真があると写真展がかっこよくなる!
エゾリスはいつも近くにいるわけではないので、必然的に焦点距離が足りなくなりがちですが、そのような場合は構図を考えて引きの写真も意識して撮ってみると◎。
後々、それが効いてくるかもしれません。
シャッタースピードは1/1000秒以上

シャッタースピードは、大体「1/1000~1/1600秒」で撮影しています。
飛んでいるエゾリスなら1/1600秒。1/1000秒では足りません。シャッタースピードを1/1600秒で設定する場合、レンズはF2.8程度の明るさがないと辛いです。
そして、できれば「20コマ/秒」は撮影できる連写性能の高いカメラを使いましょう。10コマ/秒では撮れないカットが増えてしまいます。
20コマと10コマでは単純計算で、撮れ高が倍違います。その意味では、連写性能の高いカメラを選ぶのが◎。

ところが、連写性能は10コマ/秒ですが、エゾリスの目にしっかりとピントが合う「SONYα7R V ILCE-7RM5」を使うなら話は変わってきます。
SONY α7R Ⅴは瞳だけでなく、エゾリスの身体を認識するので、ピントが奥に抜けません。そのため、かなり確実にエゾリスが撮れるようになっています。
連写性能が10コマ/秒でも、革命的な全く新しいAFを搭載している「SONYα7R V ILCE-7RM5」なら撮れ高が段違いです。
エゾリスの撮影におすすめのレンズとは?
エゾリスのいるところは大抵暗いので、できるだけ明るいレンズを持って行きましょう。

最も便利なレンズは70-200mmF2.8。「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」はAFが抜群に早いので、エゾリスを撮るならおすすめです。

ただし、極上のエゾリス写真を撮りたければ、400mmF2.8も選択肢にしたいところ。僕がエゾリス撮影で最も使っているレンズでもあります。

400mmならトリミングの必要がいっきに減るので、画質の向上にも繋がります。
また、F5.6とF2.8で撮るエゾリスの世界は全くの別物。
なかなか購入するには勇気がいると思うのですが、400mmF2.8はエゾリスを撮るときにベストなレンズです。これこそ、GOOPASSのサービスを使ってみるのも良いかもしれません。

井上浩輝さんアルビノ(白い個体)の情報の取り扱いには気をつけましょう
次回のテーマは『おすすめのカメラ』
3月25日(土)公開予定

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この記事で使用された機材
FE 70-200mm F2.8 GM OSS II SEL70200GM2

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