雲海を撮影するコツとは?発生条件や事前準備、カメラの設定も解説

さまざまな自然条件が揃ったときにだけ出会える光景、雲海。
雲が一面に広がった海のような光景は、時の流れを忘れてしまうほど幻想的です。
そんな雲海を、写真に収めたいと思っている方は多いはず。
しかし、雲海の撮影では以下のことを知っておかないと、雲海に出会えなかったり、雲海を美しく撮影できなかったりします。
- 発生条件がシビアで、見られる時間や場所も限られる
- ほかの被写体を撮影するときとは異なる準備が必要
- コツを知っておかないとイメージ通りに撮れない
そこで本記事では、雲海の発生条件や雲海撮影に必要なアイテム、撮影のコツを紹介します。
また、雲海撮影において非常に重要な、事前準備についても解説。雲海撮影にチャレンジしたい方は、ぜひ参考にしてください。
素敵な旅先・おすすめスポットはいいカメラで写真を残したいですよね。
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目次
撮影前にチェックしたいこと
撮影を楽しむ際は、撮影のマナーをきちんと守り、様々な環境下で撮影を使用する際の注意点を知っておくことが大切です。
撮影マナー
下記の記事では、観光スポットをはじめとする公共の場所で撮影する際のマナーや、ジャンル別の基本的な撮影マナーを解説しています。
撮影が初めての方はもちろん、撮影マナーについてよく知らない方・不安のある方は、撮影前に必ずチェックしてください。
さまざまな環境で機材を使用する際の注意
特に、雨天時・冬季の撮影や、寒冷地・水中・砂埃の発生する場所などでの撮影。
通常とは異なるハードな環境下でカメラ機材を使用する際は、注意が必要です。
防水性・耐低温性・耐衝撃性・防塵性など、メーカーの保証範囲外で利用すると、カメラが故障したり不具合が発生したりする危険があります。
事前に、使用する機材の仕様を確認しましょう。
また、保証範囲内での使用であったとしても、結露の放置によりカメラが故障する可能性などもあります。
結露対策として急激な温度変化をさせない、結露が発生した場合はすみやかに対処する必要があります。(結露予防 参考:Canon公式)
雲海とは?

「雲海」とは、山頂や航空機などの高い場所から見下ろしたときに、海のように雲が一面に広がる現象のことです。
主に山間部や盆地で見らる現象で、雲の海に山々が島のように浮かんで見えることから、「雲海」と呼ばれるようになりました。
神秘的な光景がSNSなどで話題となり、現在は日本全国の雲海スポットがインターネットや旅行雑誌などでピックアップされています。
中には「雲海ツアー」として、観光客向けのツアーを開催している地域もあるほどです。
雲海の発生条件

雲海が発生するメカニズムは以下の通りです。
- 放射冷却によって地表が冷える
※放射冷却:日中、太陽によって温められた地上の空気が、夜になると宇宙空間へ放出される現象- 地上の空気が冷え、空気に溶けきれなくなった水蒸気が水滴となって大気中に漂う
- 濃い霧が発生する
- 風で空気が流れずに滞留すると雲海になる
このメカニズムが起こりやすい時期や天候などについて、以下で詳しく解説します。
時期
- 春先
- 秋
雲海が発生しやすい時期は、日中と夜の気温差が激しい秋から春先です。
朝晩の気温差が大きいと放射冷却が起こりやすくなります。
また、春や秋は日中の気温が高いため、空気中に水分をたくさん含むことが可能です。
以上の2点から、雲海が発生しやすくなります。逆に、朝晩の気温差が小さい夏や冬は、雲海が発生しにくい時期です。
時間帯
- 夜明け前〜明け方
雲海が発生しやすい時間帯は、夜明け前〜明け方です。「日の出前後がチャンス」と覚えておくと分かりやすいでしょう。
なお、春や秋の早朝は非常に冷え込みます。防寒対策を万全にして、撮影に臨んでください。
天候(コンディション)
- 前日までの雨や雪で湿度が高い
- 前日はよく晴れて十分な放射冷却が発生する
- 朝晩の気温差が大きい
- 無風、または風が弱い
天候面の条件では、湿度、気温差、風が重要です。
湿度は「晴れているけど湿度が高い」という状態がベスト。
タイミングとしては、低気圧が通過して、天気が回復していくときが狙い目です。
気温差は、放射冷却が発生するかがポイント。前日の夜、上空に雲が少ないと、放射冷却によって日中との気温差が大きくなります。
雲海を見られる可能性が上がるのは、日中と夜で10度以上の気温差がある場合です。
もう1つの条件である風は、無風がベスト。風があると雲が吹き飛ばされたり、地面や空気が温められてしまい、雲海が発生しにくくなります。
場所
- 盆地
- 山間部
- 水辺(川、海、湖)
盆地や山間部は山によって雲が滞留しやすいため、雲海が発生しやすい場所です。
全国の「雲海スポット」と呼ばれる場所の多くは、山間部や盆地。観光地化されている場所も多くあります。
また、もともと湿度が高く、水面から蒸発した水蒸気によって雲海ができやすい水辺(海や川、湖)も、雲海が発生しやすい場所です。
雲海の撮影に必要なアイテム

次に、雲海の撮影に必要なアイテムを紹介します。通常の撮影とは異なるアイテムもあるので、チェックしてください。
カメラ
雲海撮影のおすすめのカメラのスペックは以下の通りです。
- 解像度が高い
- 軽量
- 防滴・防水仕様
雲海撮影では、山の稜線や木々の細部、雲の繊細な描写ができるように、高画素の一眼カメラがおすすめです。
また、撮影スポットまで徒歩でアクセスすることが多いため、持ち運びを考慮してコンパクトで軽量なカメラを選ぶと良いでしょう。
具体的には、ミラーレス一眼カメラがおすすめです。ほかには、結露対策に、防滴・防水が施されていると安心できます。
レンズ
- 標準〜望遠をカバーするズームレンズ
雲海の撮影スポットの多くは、山の上にある展望台です。整備されている場所でも、草木が写り込んでしまうこともしばしば。
そのため、その場で画角を変えられるズームレンズがおすすめです。
焦点距離が24〜70mm前後の標準ズームレンズを用意しておけば、多くの雲海スポットでの撮影に対応できるはず。
しかし、中には雲海まで距離があり、100mm以上の望遠レンズでないと上手く撮影できない場合もあります。
事前にSNSなどで行きたい場所の作例写真を探して、具体的な焦点距離を調べておくと良いでしょう。

オススメの24-70mm F2.8ズームレンズを紹介する記事です。Canon(キヤノン)、Nikon(ニコン)、SONY(ソニー)、SIGMA(シグマ)など人気機材をチェックしてください。
GOOPASS MAGAZINE|カメラ・レンズ...三脚
雲海が発生する明け方は暗いため、三脚は必須です。
持ち運びを考慮して、軽いものを用意しましょう。
また、場所によっては展望台として整備されていて、柵があるスポットもあります。
トラベル三脚などの小型な三脚では柵を越えられないので、高さがある三脚を用意しておくと安心です。

レリーズ
レリーズとは、カメラに取り付けて、離れた場所からでもシャッターを切れるようにするアクセサリーです。
シャッターを押す際、指によって生じるわずかな振動を防ぐことができます。
長時間露光で撮影することの多い雲海では、レリーズがあるとブレを気にする必要がなくなるので安心。
なお、レリーズがない場合は、2〜5秒ほどのセルフタイマーを利用することも可能です。
レンズヒーター
レンズを結露から守るために、レンズヒーターも用意しておきましょう。
雲海発生時は湿度が高いため、結露に注意してください。
万が一、レンズ内部で結露が発生すると、カビが発生したり、曇りが残ってしまうことがあります。
結露は、機材を外気より温かくすることで防ぐことが可能です。
ヘッドライト
雲海の撮影スポットには夜間に向かう必要があるため、ヘッドライトがあると安心です。
ヘッドライトは暗い道を照らせるだけでなく、両手を自由に使えるというメリットがあります。
転倒対策にトレッキングポールなどを持てますよ。
予備バッテリー
雲海撮影では、予備バッテリーを1〜2個用意しておくと安心です。理由は以下の2点です。
- 寒いとバッテリー消費が激しい
- 長時間露光は通常の撮影よりバッテリー消費が激しい
防寒具
雲海発生時は、放射冷却によって想像以上に気温が下がっています。
標高が高い撮影スポットも多いため、日によっては氷点下になることもあるでしょう。
そのため、防寒具はしっかり揃えておくことが重要です。
特に足元の冷え込みには注意。靴や靴下など、足先の防寒対策を入念にしておかないと、撮影どころではなくなります。
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雲海を撮影する際のカメラの設定

続いて、雲海を撮影する際のカメラ設定のポイントを紹介します。
撮影モード
撮影モードは「マニュアル」がおすすめ。
マニュアルモードとは、ISO、F値、シャッタースピードなど各設定を撮影者が手動で調節できるモードです。
雲海撮影では明るさの細かい調節が重要なので、マニュアルモードを使うとイメージ通りの写真を撮れるようになります。
普段から練習して、マニュアルモードに慣れておきましょう。
ISO
- 日の出前の暗い時間帯:ISO250〜1600
- 日の出後明るくなってから:ISO400以下
ノイズを防ぐために、ISOはできるだけ低く設定しましょう。日の出の前後で設定を変えることがポイントです。
F値
- 日の出前の暗い時間帯:F2.8〜6.3
- 日の出後明るくなってから:F8〜18
F値も日の出の前後で設定を変えます。雲海全体を写すために、絞りぎみで撮影しましょう。
シャッタースピード
- 適当な明るさになるように、できるだけ遅く
三脚にカメラを固定しているため、シャッタースピードはできるだけ遅くして、適正露出を確保します。
雲海を撮影する際のコツ・ポイント
ここからは、雲海を撮影する際の具体的なコツを4つ解説します。
ただ撮影するだけでは、雲海の幻想的な風景を伝えることはできません。
撮影のコツを抑えて、雲海の魅力を引き出せるようにしましょう。
▼風景撮影の基本はこちら
黒つぶれ・白飛びに気を付ける

雲海撮影では光量が限られていたり、日の出によって光量が変化したりするため、黒つぶれ・白飛びが発生しやすいのが難点。
時間帯別に、以下のように意識しましょう。
- 日の出前の暗い時間帯:夜景などが入る場合は、街明かりの白飛びと暗い部分の黒つぶれがないように明るさを調節する
- 日の出後明るくなってから:太陽の光による白飛びに注意する
適切な露出になるように、マニュアルモードで明るさ調整をしておきましょう。
光芒を狙う

光芒とは、筋のように見える光のことです。
雲海は光芒を狙いやすいシチュエーションなので、ぜひチャレンジしてみてください。
朝日が辺り一面を照らしている様子を強調でき、神々しい写真に仕上がります。
光芒は、F値を絞ることで撮影可能。一般的には、F8〜22がおすすめといわれています。
望遠レンズで一部を切り取る

風景全体を撮影するのも良いですが、望遠レンズで一部を切り取るのもおすすめ。たとえば、以下のような部分を狙ってみてください。
- 城や橋といった建物・建造物(例:作例)
- 雲海に浮かんでいるように見える山や木々
日本全国には、「天空の〇〇」と呼ばれる観光スポットがたくさんあります。
これらの中には雲海が見える場所もあり、作例のように雲海の中に浮かぶ被写体(ここでは「城」)を撮影することが可能です。
また、山や木々の一部にクローズアップした撮影もおすすめ。木々の間に雲が入り込み、侘び寂びのある雰囲気の写真に仕上がります。
ちなみに、SNSなどで話題となった「天空の城」は、以下のスポットが有名です。
- 竹田城跡(兵庫県朝来市)
- 備中松山城(岡山県高梁市)
- 越前大野城(福井県大野市)
- 郡上八幡城(岐阜県郡上市)
長時間露光で撮影する

雲海はゆっくりと動いています。そのため、長時間露光で撮影すると、作例のように滑らかな描写が可能。
シャッタースピードを変えることでさまざまな写真が撮れるため、ぜひチャレンジしてみてください。
しかし、日の出後は光量が増加するため、長時間露光で撮影すると白飛びしてしまいます。
そのため、光量を減らせるようにNDフィルター(取り込む光の量を減らすことができる、レンズに装着する撮影アイテム)を用意しておきましょう。
雲海を撮影するための事前準備

最後に、雲海を撮影するための事前準備を4つ紹介します。重要な部分なので、雲海撮影に臨む際は確認してください。
撮影前日までの天候を確認
まずは撮影前日までの天候を確認しましょう。
ベストな条件は前日まで雨または雪が降っており、一変して快晴になる日で、最高気温と最低気温の差が10度以上ある日。
この条件だと放射冷却が起こり、雲海が発生しやすくなります。
撮影当日の風速を確認
次に撮影当日の風速を確認します。夜から朝にかけてほぼ無風であるか、しっかりチェックしましょう。
3時間おきの天気予報ではなく、1時間ごとの細かい天気予報を確認してください。
注意報を確認
天気予報で「濃霧注意報」が出ていると、高い確率で雲海の発生が期待できます。
細かい部分ですが、抜け目なく確認しておきましょう。
現地到着後にロケハンをする
現地到着後、または撮影日以外の日に撮影場所のロケハンをしておきましょう。
ロケハンをすることで、撮影時のシチュエーションを想像しやすくなります。
事前にロケハンできるとベスト。当日ロケハンを行なう場合は、少し早めに到着するように予定を立てておきましょう。
まとめ

雲海の発生条件や撮影に必要なアイテム、撮影のコツを紹介しました。
さまざまな条件が揃わないと発生しない雲海は、出会えたこと自体が幸運です。
雲海を撮影したい場合は、日頃から天気予報をチェックし、条件が揃うタイミングがあればいつでも出かけられるように準備しておきましょう。
なお、以下の記事では、全国各地のおすすめの雲海スポットを紹介しています。
「雲海が見られる具体的な場所を知りたい」「幻想的な光景に出会いたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
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GOOPASS TRAVEL MAGAZINEライター Fujimoto
フリーのWebライター。2020年よりカメラを始め、2022年2月に「GOOPASS TRAVEL MAGAZINE」での執筆を開始。普段はPENTAX-KPを使い、風景や町並み、ポートフォリオなどを撮影している。他の分野では農業、地方創生、動画コンテンツ系の記事を執筆しており、かつては農業メディア「SMART AGRI」や「AGRI PICK」でコラムを連載していた。
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