当時のおふたりはそこでマリノ・マリーニの展示を見たという。
私が行った際もたまたま同じ展示をやっていた、なんて運命に導かれたかのようなことはなく、海外映画ポスターが展示されている企画展と、収蔵品展をみることにした。
京都国立近代美術館は窓が大きく、自然光がたくさん入り、気持ちの良い空間だった。
エレベーターに乗られてくる老夫婦が、いかに色彩が素晴らしかったかを語り合っているのを聞いて、昔も今も夫婦で訪れるのにぴったりな場所なのだな、と思う。
京都デートと聞いてイメージするものといえば、神社やお寺など京の街並みを楽しんだり、京料理を嗜んだりすることだと思う。
だが荒木夫妻の京都旅行は、いつものデートとさほど変わりがない。
喫茶店でコーヒーを飲んで、美術館や古本屋へいったり、少し買い物をしたりする。京都ならではといえば、鴨川を散歩したりすることぐらいだろう。
陽子さん自身も著書で綴っているように、“東京の街をぶらつくのと何ら変わりがないような過ごし方をする。”
旅行先で、しかも新婚旅行先で、美術館デートをするのなんて粋だな、と思う。
あまり予定を詰め込まず、ゆっくり起きて、その日の天気や気分に合わせてその日その場所を楽しむ。
旅行先でも普段と変わらない日常を過ごすということが、余裕のある大人のデートのような気がして、とても憧れる。
私だったら、もう少し旅行らしく観光をしようと欲張ってしまいそうになる。
きっとそれも荒木夫妻おふたりの長年の信頼関係があってこそのことなのだろう。








