奈良美智《NY Drawing (left); Yogyakarta Cat (right)》〈days 2003-2012〉より 2003–2012年 東京都写真美術館蔵 ©Yoshitomo Nara
「セレンディピティ」。ペルシアのおとぎ話※を由来とするこの言葉には、「偶然と才気によって、予期しない発見をすること」という意味があります。
そんな「セレンディピティ」をテーマにした展覧会が2023年4月7日から東京都写真美術館で開催されます。
本展では東京都写真美術館が収蔵する約37,000点もの作品(令和5年4月時点)の中から、「セレンディピティ」をキーワードに、ありふれた日常の何気ない一瞬を撮影した作品などを展示。
写真家たちに訪れたささやかな心の機微を探りながら、写真家たちの視点をヒントに、癒しや心の豊かさを回復する種を発見できる構成となっています。
ぜひ展覧会に足を運んで「セレンディピティ」な体験をしてみてはいかがでしょうか。
※「セレンディップの三人の王子」
みどころ
1. 楽しみ方は幾通りも。探していなかったものが見つかる展覧会
ふらりと立ち寄った展覧会でなぜか目が離せない作品に出合う、理由は分からないけれど見終わった後に少し心が軽くなるというのも美術館を訪れる醍醐味。
本展は、その思いがけず心を豊かにする発見や気づき=セレンディピティに注目した展覧会です。
作家の意図を超えた偶発性を持つ写真というメディアだからこそ起きるセレンディピティは、鑑賞者ひとりひとりによって異なり、正解はありません。
展覧会を通して自分自身のセレンディピティについて考えることは、日常を少し豊かにする契機となるのではないでしょうか。
2. 作家たちが切り取る、日常にある豊かさ
本展は「日常」に焦点を当て、作家たちに訪れたささやかな心の機微に触れる展覧会です。
ここ数年世界的なパンデミック、戦争、自然災害など私たちはさまざまな困難に直面しました。これまで以上に自分がどう生きるかを問われているような緊張感や、何かの役に立たなければいけないといった使命感を少なからず感じる日々において、気負いなく日常を見つめ、切り取る作家たちの視線は、一見すると役に立たない豊かさが自分や誰かの喜びにつながっていることに気づかせてくれます。
3. 絵本のような図録
出品作品 [吉野 英理香〈JOBIM〉2022年]に写る小鳥の『ジョビン』と、[エドワード・マイブリッジ《犬。駆ける白い競走犬、マギー》〈アニマル・ロコモーション〉より 1887年]に写る犬の『マギー』がイラストで登場し、会話をしながら作品を紹介する絵本パート(16ページ)を冒頭に掲載。
作品を読み解くポイントがわかりやすく書かれており、幅広い年齢の方におすすめです。
4. 約37000点に及ぶコレクションから代表作や初出品作品などを展示
世界でも希有な写真・映像のコレクションとして知られる東京都写真美術館コレクション。新旧問わず国内外のコレクションを幅広く紹介する本展では、連続動作の撮影を成功させた19世紀末のエドワード・マイブリッジ、没後40年を迎え注目度が高まる1960年代の牛腸茂雄から現代作家の最新作まで、幅広い時代の作品を網羅し、当館ならではのラインナップをお楽しみいただけます。
2019年の収蔵後初めての出品となり作家所蔵作品とあわせて展示される奈良美智の写真作品や、ドキュメンタリー写真家として知られる北井一夫が日常を写したシリーズなどにもご注目ください。
展示構成
しずかな視線、満たされる時間



世界を切り取ることによって表現する写真というメディアを使って、作家たちが日常のなかのささやかな発見を捉えた作品を紹介します。こうした作品を見ると、それぞれの発見は作家たちに幸せや満ち足りた気持ちをもたらしていることに気づくでしょう。
本展では当館のコレクションに加え、吉野英理香がコロナ禍の外出自粛中に飼っているインコのジョビンをインスタントカメラ「チェキ」で撮影したシリーズを作家より借用して展示します。
出品作家:吉野英理香、牛腸茂雄、北井一夫、島尾伸三、潮田登久子、今井智己
窓外の風景、またはただそこにあるものを写すということ


ひとつのイメージを目の前にすると、私たちはそこに何かを見出し、そして見た人によってはとても大切な意味を持つことがあります。このセクションでは、作家たちが「ただ、そこにあるものを写しとる」という行為によって得られたイメージが、それを鑑賞する人におこすセレンディピティについて考えてみます。
作品に写るイメージを、ただそのまま見るという見方もあれば、イメージから記憶や想像を解きほぐし自分だけの「なにか」に出会ったり、気づいたりすることもあるかもしれません。
出品作家:鈴木のぞみ、佐内正史、葛西秀樹、エドワード・マイブリッジ、山崎博、浜田涼、相川勝
ふたつの写真を編みなおす




写真家たちは作品を発表するにあたり、膨大な数の写真のなかから取捨選択をせねばなりません。
その作業の際に、撮影した場所や時間を越えて2つの写真が、彼らが全く予期していなかった何かの関係性によって結ばれることがあります。それはまさしくセレンディピティの産物といえるでしょう。
写真は、編みなおされることにより、それぞれを別に見た時の意味に加えて、2つが並ぶことで生まれる意味を帯び、作品としての豊かさを増していきます。
また、それぞれの写真の関係性を想像することによって、鑑賞者は作家の思考に触れることができるかもしれません。
出品作家:奈良美智、齋藤陽道、中平卓馬、エリオット・アーウィット
作品にまつわるセレンディピティ


優れた作品を生み出す作家たちも、みな私たちと同じように日々を生き、毎日を暮らしています。そんな日常のなかでセレンディピティが訪れ、作品制作のきっかけになることもあります。
出品作家:本城直季、井上佐由紀、石川直樹、ホンマタカシ、畠山直哉
出品点数・出品作家(予定)
115点
22名(相川勝、石川直樹、井上佐由紀、 今井智己、潮田登久子、葛西秀樹、北井一夫、牛腸茂雄、齋藤陽道、佐内正史、島尾伸三、鈴木のぞみ、中平卓馬、奈良美智、畠山直哉、 浜田涼、本城直季、ホンマタカシ、 山崎博、吉野英理香、エリオット・アーウィット、エドワード・マイブリッジ)
関連イベント
担当学芸員によるギャラリー・トーク、親子プログラム、手話通訳付きトーク、 インクルーシブ鑑賞ワークショップ を予定し。日時等は決定次第東京都写真美術館ホームページでアナウンスされます。
展覧会図録
「TOPコレクション セレンディピティ 日常のなかの予期せぬ素敵な発見」
A5変形(W148mm×H148mm、144ページ)
発行元:東京都写真美術館
価格:未定
イラストにより作品を紹介するものがたりパート、担当学芸員によるテキスト、出品作品図版を掲載
TOPコレクション セレンディピティ 日常のなかの予期せぬ素敵な発見
主催:東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都写真美術館
会期:2023年 4月 7日 (金)~ 2023年 7月 9日 (日)
会場:東京都写真美術館 3F展示室
住所:〒153-0062
東京都目黒区三田 1-13-3恵比寿ガーデンプレイス内
電話:03-3280-0099
公式HP:www.topmuseum.jp
開館時間:10:00〜18:00(木・金曜は 20:00まで) 入館は閉館 30分前まで
休館日:毎週月曜日 (ただし、 5月1日は開館)
観覧料:一般 700円、大学・専門学校生 560円、中高生・ 65歳以上 350円
※小学生以下及び都内在住・在学の中学生、障害者手帳をお持ちの方とその介護者(2名まで)は無料
※オンラインによる日時指定予約推奨
プレスリリースより抜粋




