写真家アラーキーとその奥様である荒木陽子さんの愛の軌跡を辿るため、陽子さんの著書「愛情生活」をもとに二人が訪れた場所へ赴き、写真コラムを綴るこの企画。
(この連載の細かな企画内容については#1をご覧になっていただけますと幸いです。)

長期撮影の仕事の為、京都へ2ヶ月ほど滞在することになった。
マンスリーマンションを借りて、そこに滞在している。
京都は仕事でもプライベートでも何度か訪れたことはあったけれど、こんなにも長期で滞在することは初めてだ。
荒木夫妻もよく京都旅行へ行かれていたので、これは良い機会だと思い、いろいろな場所に足を運ぼうと思っていた。
京都へ来てから初めての休日。日中に事務作業や画像編集をしていて、全て終えたのは夕方になってからだった。
ずっと集中していたので少し一息つこうと思っていたとき、陽子さんの本の中に「志津屋でバケットサンドを買い込み、ホテルのベッドでワインを飲みながら食べる」という描写があったことをふと思い出した。
志津屋というのは京都を代表する老舗のパン屋さん。
気分転換に鴨川でも散歩して、近くの志津屋でパンを、デパートでワインを買って家で食べよう、と思い立つ。
いざ準備を終え玄関のドアを開けると、雨が静かに降り始めていた。
正直、「ゲ!」と思って、面倒くさがりな私は今日はもうずっと家に引きこもっていようか、と考えた。
けれど昔みた映画かなにかで「雨の日のセーヌ川ほど美しいものはない」と言われていたのを思い出し、きっと雨の日の鴨川もフランスのセーヌ川に負けないぐらい美しいはず、と自分で自分の背中を押したのだった。
カメラはNikon Z7。マウントアダプターをつけ、レンズはSIGMAの50mm。
すごくシャープに撮れるので、個人的にはよく使う組み合わせ。
18時過ぎで、外はまだぎりぎり明るい。四条河原町まではバスで40分程かかる。
乗っているバスの中で、移動しながら、だんだんと日が暮れていくのがわかった。
バスを降りた頃にはもうすっかり暗くなっていて、鴨川沿いに明かりがたくさん灯っていた。








