こんにちは。平日は会社員として働き、休日に作品撮りや写真の仕事に勤しんでいる兼業写真家の高埜志保です。
今年の5月と6月に、SIGMAの単焦点レンズのレビュー記事を3本執筆させていただきました。



初めて挑戦したレビュー記事だったのですが、多くの反響をいただき、とても嬉しく思っています。
自己紹介
初めましての方もいらっしゃると思いますので、簡単に自己紹介をさせていただきます。
冒頭で述べた通り、私は兼業写真家として活動しており、物語性や季節のうつろいを感じさせる表現を目指して写真を撮っています。
ちょうど1年前まで国家公務員として働いていたのですが、より多くの時間を写真に費やすため、そして持続可能な働き方を叶えるために、会社員に転職しました。
今は、冒頭でも述べた通り平日は本業に勤しみ、休日に写真を撮っています。
趣味の作品撮りに加え、兼業という形で、MARSHさんをはじめとした様々なクライアントさんとご一緒させていただいています。
写真の仕事を通じてズームレンズの必要性を痛感
以前の記事でも触れたのですが、私は普段からフォクトレンダーの50mmの単焦点レンズを趣味でも仕事でも使用しています。
写真を撮り始めてからずっと単焦点レンズを使ってきたため、私にとっては同じ場所にいながら画角を自在に変えることのできない制限を自然なものとして捉えており、むしろ、自分の体を動かして理想の画角を追い求めることができるのが、単焦点レンズの魅力だと思ってきました。
ただ、昨年の秋から仕事で写真を撮る機会に恵まれるようになってから、私の価値観が少しずつ変化してきました。
特に、スタジオやカフェ、ホテルなどの屋内の写真を仕事で撮影するようになってからは、「もう少し広角で撮影できればなあ」「もっと下がりたいけれど、家具の場所のせいでこれ以上体を後ろに引けない」など、写真を撮る上での非効率さやもどかしさを感じてしまうことが多くなりました。
作品撮りならまだしも、写真のお仕事に携わる上で、単焦点レンズしか持っていない現状に限界を感じつつありました。
そこで、年内を目処にズームレンズを購入することを目標とし、様々なズームレンズを試してみるべく、GOOPASSさんに相談してみました。
「このレンズとこのレンズが気になるのですが……」とにわか知識で恐る恐る相談したところ、GOOPASSさんからは逆に「このレンズは自分も使ったことがあり良いです!」「このレンズとこのレンズを比較して使っていただくのがお勧めです!」など、私が調べきれていない範囲に至るまで幅広く提案をしてくださりました。
悩んだ結果、2ヶ月で4本のレンズをお借りすることに決めました。
今回は第一弾ということで、まずは以下のズームレンズを使った感想と作例を紹介したいと思います。
TAMRON(タムロン) 35-150mm F/2-2.8 Di III VXD (Model A058)

撮影シーン①:真夏の木漏れ日が差し込む古民家カフェにて
TAMRONのレンズを使用するのは初めてで、果たして自分の写真に合うか不安だったのですが、「ポートレートレンズと呼ばれるほど人物描写に長けたレンズ」とGOOPASSさんからお勧めしていただいたこともあり、試してみることにしました。
このレンズの第一印象は、「大きい。そして重い!」に尽きます。
私が愛用しているカメラはSONY α7R IVで、バッテリーとメモリカードを含んで約660グラムです。そのカメラに、約350グラムのフォクトレンダーの単焦点レンズを付けています。

今回お借りしたTAMRONのレンズは、なんと1,165グラム。
1kgを超えるレンズなんて使ったことのない私は、このレンズを手に取った瞬間、「自分に使いこなすことができるのだろうか」と、ふと不安になってしまいました。
それでも、試してみないことには始まりません。
9月に入ったにも関わらず真夏のような日差しの降り注ぐ休日に、このレンズを連れて鎌倉に足を運びました。

焦点距離:139mm、 F2.8、1/800秒、ISO320
灼熱の日差しから逃れるため、木陰に入って撮影した一枚です。葉の上でゆらめく光と影を精細に捉えることができました。
既に色づいてきている葉も見られ、秋の入り口に立っていることを実感します。

焦点距離:35mm、 F2、1/2500秒、ISO320
同じ場所で、最大限広角側で撮影しました。
木が何層にも重なってトンネルを形成し、お寺の入り口を包み込んで神秘的な雰囲気を醸し出しています。
足場が不安定な階段の上で、かつ何人もの観光客とすれ違う環境では、同じ位置に身を置きながら引きの画を撮ることができるズームレンズは大変重宝します。

焦点距離:79mm、 F2.5、1/400秒、ISO320
私は木漏れ日を撮影することが大好きなので、この日もいつもの癖で木漏れ日を撮影してしまいました。
ピントが合った部分はカリッとした描写ですが、その他の部分は緩やかにボケていて、メリハリのついた写真になったのではないかと思います。

焦点距離:150mm、 F2.8、1/3200秒、ISO320
花を撮影しながら歩いていると、駅の近くに佇む、緑に覆われたベンチに心を惹かれました。
写真を撮ろうと近づくと、ちょうど反対側から歩いてきたお爺さんがそのベンチに座ろうとしているではありませんか……!

焦点距離:68mm、 F2.5、1/5000秒、ISO320
思い切って、「ちょっと、一瞬だけこのベンチの写真を撮らせていただいて良いでしょうか」と声をかけたところ、お爺さんは不思議そうな顔をしながらも、私がシャッターを切るまでの数秒間、座るのを待ってくださりました。

焦点距離:35mm、 F2、1/1600秒、ISO320
暑さにバテそうになったところで写真仲間と合流し、お気に入りのカフェにお邪魔しました。
普段の私からは想像もつかないような大きなレンズを首から下げていたので、写真仲間からは驚かれましたし、そのうち一人にとっては気になっていたレンズだったらしく、羨ましがられました。

焦点距離:57mm、 F2.8、1/2500秒、ISO800
窓際の席には強い日差しが差し込んでいたものの、屋内の照明が薄暗いという古民家らしい空間だったため、ISO感度は高めに設定して撮影しました。

焦点距離:35mm、 F2.8、1/250秒、ISO800
通常、カフェでの撮影は周りの方の迷惑にならないように……とピリピリしてしまうことが多いのですが、この日訪れたカフェは店主のおばあちゃんがとても寛容な方で「むしろ撮って!!」くらいの勢いで歓迎してくださったため、温かな空気の中、周りの方々に見守られながら写真を撮ることができました。

焦点距離:110mm、 F2.8、1/2000秒、ISO800
また、よくこのカフェを訪れている常連の男性の方もカメラが好きということで、撮影にぴったりな席を薦めてくれたり、撮影の角度についてアドバイスをいただいたりと、気にかけてくださりました。

焦点距離:41mm、 F2.8、1/1250秒、ISO800
極力体を動かさないで様々なバリエーションの写真を撮ることができたのは、35mmから150mmという広範囲をカバーしてくれる、このレンズのお陰だったと思っています。

焦点距離:80mm、 F2.8、1/200秒、ISO800
折角なので、カフェではなかなか撮れない寄りの写真を多めに撮影しました。

焦点距離:150mm、 F2.8、1/500秒、ISO800
椅子の下に落ちる木漏れ日や、椅子のシートの柄にぐっと寄ってみると、光と影が作り出す繊細な模様が自分に向かって迫ってくるように感じられました。

焦点距離:150mm、 F2.8、1/320秒、ISO800
写真仲間の一人が持っていたアクセサリーを、窓から差し込む光にかざして撮影しました。

焦点距離:116mm、 F2.8、1/8000秒、ISO800
ピントを当てたい部分がかなり小さく、手の揺れが伝わりやすい被写体だったので、息を止めて集中しながらシャッターを切りました。

焦点距離:76mm、 F2.8、1/8000秒、ISO800
重量のあるレンズだったので、寄って撮るとぶれてしまうのではないかと心配になりましたが、しっかり捉えることができて安心しました。
撮影シーン②:街明かりを見下ろす丘の上と満点の星空の下で
このレンズの強みは、 開放F値が2.0という、ズームレンズにおいては驚異のスペックです。
明るいレンズの特徴を活かした写真を撮るため、いつもなら敬遠しがちな暗い環境での撮影にも挑戦しました。
まず、このレンズがポートレート撮影に本当に向いているのか試すため、夕方から夜にかけて、夜景が見渡せる丘の上でモデルの直花さん(@naoka_model)と一緒に作品撮りをしました。
夜景をバックに人物を撮影するという、自分にとってはチャレンジングな撮影内容です。
こちらは、最大限寄った写真と、最大限引いた写真です。

焦点距離:150mm、 F2.8、1/50秒、ISO640
寄った写真では、背景の夜景が渦を巻くようにボケてくれました。
流れるようなボケは好き嫌いが分かれると聞きますが、こういった柔らかで動きのあるようなボケは個人的にはとても好みです。

焦点距離:35mm、 F2、1/640秒、ISO640
引いた写真では、画面の端に水道が写り込んでしまったため少しトリミングをしたのですが、木と人物と夜景から構成される空間全体を写し出すことで、立体的な画面を表現することができました。

焦点距離:95mm、 F2.8、1/125秒、ISO1250
この時期は空が瞬く間に暗くなってしまうので、ISO感度を上げながら、被写体がブレないように慎重に撮影を進めていきました。

焦点距離:53mm、 F2.2、1/400秒、ISO2500
それにしても、ボケのなんと美しいこと……。持っている50mmのレンズでは、ここまで大きなボケは実現できません。
背景の夜景の光が強かったため、人物がシルエットだけになってしまうのではないかと危惧しましたが、人物が背景から浮かび上がってくるような質感を残したまま撮影することができました。

焦点距離:82mm、 F2.8、1/160秒、ISO640
ポートレート撮影の1週間後には、星を撮影しに、夫と長野県の阿智村に足を伸ばしました。
阿智村は日本で最も星空が綺麗に見える場所と評判で、私も写真を始めた頃からずっと行ってみたかった場所です。
標高1,400メートルの位置にある原っぱに仰向けで寝転がり、空が徐々に暗くなっていくのを眺めていると、一つ、また一つと星の瞬きが生まれるのが分かりました。
そこからはもうあっという間で、目を疑うほどの満点の星空が頭上に広がっていきました。

焦点距離:35mm、 F2、13秒、ISO250
天の川を肉眼で見るのはほぼ初めてだったのですが、私は目が悪いため、「なんかあの辺の空が明るくなっているような?」くらいにしか思っていませんでした。
明るく見える空の辺りを撮影してみたところ、くっきりと天の川が写っており、肉眼よりも綺麗に見ることができて感動しました。

焦点距離:35mm、 F2、13秒、ISO320
思いがけず、面白い出来事にも遭遇しました。
レンズをほぼ真上に向け、少し長めの露光時間(20秒)で撮影していた時のことです。

焦点距離:101mm、 F2.8、20秒、ISO320
撮れた写真を確認したところ、星の跡が放射線状に伸びている写真が撮れていました。
暫く理由を考えていたのですが、この時はレンズを最も望遠寄りにして真上に向けて撮っていたため、レンズ自体の重みでどんどんリングが広角寄りに回ってしまったのが原因のようでした。
レンズのズームロック機能を使えばこのようなことは起こらなかったのだと思いますが、意図せず面白い写真が撮れ、何だか得をした気分になりました。

焦点距離:35mm、 F2、13秒、ISO320
この日は天気が心配で、阿智村に辿り着くまで30分に1度のペースで天気予報と星空指数を確認していたのですが、結果的に完璧な晴天に恵まれることができました。

焦点距離:35mm、 F2、13秒、ISO320
まとめ:TAMRON(タムロン) 35-150mm F/2-2.8 Di III VXD (Model A058)を使ってみて
このレンズと初めて対面した時は、その大きさと重さに圧倒され、果たしてちゃんと使いこなせるのか不安な気持ちを覚えていました。
そのこともあり、約1ヶ月間このレンズを使用した私がしみじみと感じるのは、「こんなに沢山の場面で活躍してくれるレンズだとは想像もできなかった」ということです。
狭い屋内や暗がりの中など、敢えて難しい環境下での撮影にも挑戦し、十分に耐えられるレンズだということを実感できましたし、写真の仕上がりは単焦点を使用しているかのように高精細で、満足のいくものでした。
また、私は普段ポートレートを撮影する際は、メインで50mmの単焦点を使用する傍ら、100mmの単焦点を使用することもあるのですが、レンズをガチャガチャと付け替える手間や、モデルさんを待たせてしまう申し訳なさをよく感じていました。
その点、35mmから150mmという、ポートレートを撮影するにあたって最も欲しい準広角から望遠域を1本でカバーしてくれるこのレンズは、そういったストレスから私を解放してくれ、純粋に撮影だけに没頭することを可能にしてくれました。
残念ながら、このレンズを写真のお仕事で使用する機会はなかったのですが、きっと時間にシビアな現場でも大活躍してくれたことと思います。

焦点距離:95mm、 F2.8、1/8000秒、ISO800
ただ、本当に欲を言わせていただけるのであれば、もう少し重さが控えめになってくれれば更に持ち運びしやすかったかなとは思います。
写真仲間の持っている機材と比較して写真を撮ったのですが(手前に写っているのが私のカメラとレンズ)、やはり戦闘力が一際高そうな見た目になっています。

とはいえ、他の方が書いたレンズレビューを拝読すると、初めは重く感じたがだんだん慣れてくるといったコメントが散見されましたので、恐らく時間と慣れが解決してくれる面もあるのだと思います。

焦点距離:150mm、 F2.8、1/640秒、ISO800
旅行などで長時間持ち歩くと体力的にはしんどい気がしますが、街中を散歩しながら目にとまったものを撮影する分には何の不自由もありませんので、用途によってはこれで十分なのかもしれません。

焦点距離:61mm、 F7.1、1/8000秒、ISO800

焦点距離:68mm、 F2.8、1/60秒、ISO1600
幅広い画角における豊かな表現を1本で実現できるこのレンズは、総合的にとても自分に合ったレンズだと感じました。
次の記事では、SONYのズームレンズを使用して撮影した写真と感想を紹介する予定です。
TAMRON(タムロン) 35-150mm F/2-2.8 Di III VXD (Model A058)をレンタルする

| 対応マウント | SONY E マウント NIKON Z マウント |
| 焦点距離(広角端) | 35mm |
| 焦点距離(望遠端) | 150mm |
| 開放F値 | F2 |
| 絞り羽根枚数 | 9枚(円形絞り) |
| 最短撮影距離 | 0.33m(WIDE)/ 0.85m(TELE) |
| 最大撮影倍率 | 1:5.7(WIDE)/ 1:5.9(TELE) |
| フィルター径 | φ82mm |
| 最大径×長さ | φ89.2mm × 158mm(ソニー用) φ89.2mm × 160.1mm(ニコン用) |
| 質量 | 1,165g(ソニー用) 1,190g(ニコン用) |
| 付属品 | 花型フード、レンズキャップ |



