ペット写真家・中村陽子先生が愛犬撮影のカメラ選びのお悩みを解決!SONY/Canonの特色や重視したい性能とは?

(編集:GOOPASS ANIMAL MAGAZINE編集部)
愛犬を撮影している方の中には、「一眼レフからどのカメラに買い替えよう」「どんな機能やスペックがあるともっと愛犬が上手く撮れるのだろう…」と、カメラ選びで悩んでいる方も多いのでは?
そこで、ペット写真の第一人者として活躍している写真家・中村陽子先生に、愛犬撮影に最適なカメラの選び方と重視したい機能・性能についてうかがいました。
今回は、人気ミラーレスカメラ『Canon EOS R6 MarkⅡ』と、『SONY α7R V ILCE-7RM5』『SONY α7 IV ILCE-7M4』でそれぞれ撮影。メーカーの特色やカメラの設定についても解説いただいています。

α7R V ILCE-7RM5 ボディ

α7 IV ILCE-7M4 ボディ

EOS R6 Mark II ボディ
「何を買ったらいいだろう」「どれに買い替えるべきだろう…」どのカメラもある程度のクオリティまで来ているからこそ、カメラ選びに悩むと思います。
今回は上記3モデルを使用して撮影しましたが、どれも遜色もないほど、綺麗に撮れましたよ。
目次
【特に重視したいポイント!】ペット撮影に必要なカメラの選び方

- 背面モニターのタイプ
- トラッキング機能
背面モニターのタイプ
ペットを撮影するなら、背面モニターのタイプが重要。よく考えて選びましょう。
マルチアングル式


- 対応モデル
マルチアングル式は、この後紹介するバリアングル式とチルト式のいいとこどり。縦横ともにモニターが真下に降りてきます。
ペットはローアングル撮影が多いので、三脚を使いたい場合、L型プレートと干渉しないのが良い点です。
L型プレート

L型プレートは三脚を使って縦構図で撮りたい時に便利。
自由雲台を90度に曲げればL型プレートをつけずに縦構図でも撮影できますが、バランスが悪いのでカメラごと転がるリスクがあります。また、水平をとるのも大変です。
マルチアングル式は慌てている場合に、モニターが動かない向きに動かして壊してしまわないか心配ですが、そこは慣れれば大丈夫だと思います。
今回撮影していて、マルチアングル式になったことによるカメラの厚みは気になりませんでした。
バリアングル式

バリアングル式は、横・縦構図共にローアングルで撮りやすいのが良い点です。
一方で、L型プレートと干渉してしまうのが難点。L型プレートを装着した状態では、モニターを横に開いて上に向けられません。
L型プレートを選ぶ際は、底とセリだしで分かれているMarkins(マーキンス)のプレートや、L型の途中で切れ込みが入っているLeofoto(レオフォト)のプレートがおすすめです。
チルト式

- 対応モデル
-
SONY α7 III ILCE-7M3 ほか
チルト式は、横構図で撮影したい場合、モニターが真下に降りてくるため、撮りやすいのが良い点。一方、デメリットは、縦構図でのローアングル撮影が厳しい点です。

特にお花は、上の方の高い位置にあることがほとんど。ローアングルで縦構図にしないと入らないことが多いと思います。そのため、必然的に縦構図になります。

縦構図の場合、チルト式だとモニターを覗くのが大変です。ガーデンで寝転ぶわけにもいきません。
チルトを使っている人は、ぜひ一度マルチアングルやバリアングルを使ってみてください。撮影のしやすさが分かると思います。
トラッキング機能
意外とみなさん注目していないのが『トラッキング機能』ではないでしょうか?
トラッキングとは、AFエリアから被写体が外れても画面内に被写体がある限りピントを合わせ続けてくれる機能。

一度瞳や顔を検出すると、そこからずっと瞳を追い続けてくれたり、そこから勝手に犬へ行ってくれたりします。トラッキングのエリアを中央あたりに設定しておくと便利です。

初心者の方やカメラの操作に不慣れな方は、ベストショットの確率が上がるので使いやすいトラッキングは大きなアドバンテージ。
また、長い間マテができない、ごそごそしてしまう子は、トラッキングがある方が良いですね。
動いてしまうことで叱ってしまうのであれば、カメラに追ってもらう方が◎。ペット撮影は犬の表情が重要です。
さらに、犬が走るシーンなど、動きがあるシーンを撮りたい方は、トラッキングがあることで、構図により時間を使えるようになります。

いちいちピントを合わせるのが難しいなら、ずっと追ってくれて、いろんなモードからトラッキングを使えるのが良いですね。全域のモードだけでなく、任意のゾーンから探すところを選べるのは便利です。
Canonのカメラの場合、EOS R3以降のモデルであれば、どのAFエリアでもトラッキングができます。
中村陽子先生EOS R5には非搭載なので注意
| トラッキングが搭載されている現行モデル(2023年6月) | |
|---|---|
| Canon | EOS R3/EOS R6 MarkⅡ/EOS R8/EOS R7/EOS R10/EOS R50 |
| SONY | α1/α9 II/α7R V/α7R IV/α7S III/α7R III/α7 IV/α7C/α6600/α6400 |
SONYもフォーカスエリアの選択の中にトラッキングの設定が入っているだけで、スポットS、ゾーン、ワイドなど、トラッキングのエリアが指定できます。
カメラが瞳を認識しづらい子は、トラッキングでAFの範囲を制限すると、拾いやすくなるかもしれません。
実際にトラッキングを使ってみると、どれだけ楽に撮れるか分かるかと思います。
新しいカメラの購入を検討するなら、トラッキング機能が搭載されたカメラがおすすめです。
【検討したいポイント!】ペット撮影に必要なカメラの選び方
- 連写枚数
- 画素数
- マルチコントローラー
- 動物瞳AF
- 機材の大きさ
連写枚数
ポートレートメインなら10コマ/秒あれば十分でしょう。
今回走っているショットも撮影しましたが、10コマ/秒でもベストショットは撮れました。

ベストショット

中村陽子先生α7R Vはトリミングしても解像感がありますね!
ただし、走っている犬を撮りたいなら、連写枚数はたくさんあった方が絶対に良いです。コマ速が欲しいのに速くできないのは辛いもの。
犬の手足の動きは本当に重要です。一瞬の違いでも全く絵が変わってきます。
犬が走っている手足の形だったり、水辺を走る場合は水しぶきの加減だったり、やっぱりたくさん枚数が撮れる方が良いですね。
連写設定(ドライブモード)は、ポートレートの場合、高速の電子シャッター
だと撮れすぎてしまうこともあるので、高速連写
に設定するときもありますよ。
EOS R6 MarkⅡの場合
[
]高速連続撮影+
[電子シャッター]のとき:最高約40コマ/秒
[
]高速連続撮影
[電子シャッター]のとき:最高約20コマ/秒
参照:キヤノン:製品マニュアル|EOS R6 Mark II|ドライブモードの選択
画素数
仕事で使う場合や大きく引き延ばしてプリントしたい場合は、画素が大きければ大きいほど良いと思います。

また、遠くにいるのを切り取るなら高画素機が◎。
先ほどの走りシーンもそうですが、犬が思ったより小さく写ってしまった時に、トリミングしても解像感が残ります。一方、画素が少ないカメラの写真をトリミングすると、解像感が落ちて、写真がザラッとしてしまいます。
Canon EOS R5とR3、R6で撮った写真を比べた際も、画素が大きいR5の方が高精細な絵です。
画素が大きいのは画質の面では良いですが、PCのスペックやSDカードの容量・書き込みスピードが足りないことも…。
画素が大きい=データサイズが大きいので、パソコンの保存容量や、動きにも関わってきます。
容量の大きいSDカードが必要ですし、PCを買い替える必要も出てくるかもしれません。

スマートフォンに転送してSNSに上げるのがメインなら、本当に高画素画素機が必要かは考えても良いと思います。
景色を入れて広く撮った写真をSNSに上げる場合など、顔のドアップでなければ、解像度はそこまで違いが分からないですね。
| モデル | 有効画素数 |
|---|---|
| SONY α7R Ⅴ | 約6100万画素 |
| SONY α7 Ⅳ | 約3300万画素 |
| Canon EOS R6 Mark II | 約2420万画素 |
マルチコントローラー(SONY:マルチセレクター)

カメラの背面にマルチコントローラーがあるかないかはポイントです。ペットを撮りたい人にはあった方が◎。
例えば2頭いて顔を選ぶにしても、マルチコントローラーがあると選択が楽です。
タッチ操作の場合は一度ファインダーから目を離さないといけませんし、液晶モニターをスライドさせて選択することもできますが、マルチコントローラーの方が便利です。


動物瞳AF
最近のミラーレスカメラには、ほとんどのモデルで『動物瞳AF』が搭載されています。
今回SONYとCanonそれぞれで撮影しましたが、目の周りが黒い子や、目が奥まっている子はどちらのカメラも鼻にピントが行くことがありました。目にキャッチライトが入っていれば、瞳に合っていますよ。
SONY
近距離のポートレートはSONYが得意。横を向いていても目をつむっていても目を拾ってくれます。前ボケがあると、前ボケの方にピントが合うこともあります。


Canon
犬から距離があったり、前ボケがあったりしても犬を認識してくれます。横を向いていたり、目をつむっていたりすると、瞳ではなく顔を認識することもあります。

機材の大きさ

Canonの方が少し大きいうえ厚みはありますが、持つときはこれくらいあった方が女性でも扱いやすいと感じました。
カメラ本体のサイズが小さいと、どうしても指が余ってしまいます。握りづらさを感じる人は、グリップを着けるのも1つの手です。
【SONY/Canon】それぞれ使ってみて感じた点
SONY

カメラ側でもレンズ側でもいろいろカスタマイズできるので、いろいろ楽しめるのが良い点。
大幅に色合いが変えられるクリエイティブスタイルやホワイトバランスの設定がたくさんあります。
また、レンズも多いですよね。特色のあるサードパーティー製レンズもたくさんあります。
オリジナルな絵を作っていきたい人にはおすすめです。
中村陽子先生レンズをいろいろ使いたいならSONY!
また、SONYはシャッターを押した感じや連写した感じがメカっぽくてハードな感じです。Canonは柔らかい・ショックが少ない印象です。
そのほか気になった点は、レンズの絞りリング。SONYのレンズは、絞りをレンズ本体にあるリングで変更できます。
持ち歩きながらだと勝手にリングのダイヤルが動いているときがあるので注意した方が良いですね。

リングにはロックをかけて、F値はカメラ側で操作した方が安心です。
特に、ペットを連れて歩きながら撮影する場合は注意しましょう。三脚にカメラを据えて撮影する場合は、リンクだけ回せば良いので便利ですね。
α7RⅤとα7Ⅳについて
ファインダーの見え方はα7R Vの方が良かったですが、撮影している感覚としては差を感じませんでした。撮れた絵もどちらも綺麗ですよ!

Canon

いろいろやるのが苦手と感じるならCanonの方が楽かもしれません。
エントリーモデルには、水彩画風などのクリエイティブフィルターがありますが、ピクチャースタイルやホワイトバランスはあまり奇抜な色合いではなく、普通に綺麗に撮れる設定です。簡単・綺麗に撮りたいならCanonがおすすめ。
ちなみにCanonのレンズにもダイヤルリングはありますが、シャッターボタン半押し時にのみ、ISOが変えられる設定にしています。
中村陽子先生CanonはMac、SONYはWindowsのイメージかな
そのほかポイント

フルサイズorAPS-C

センサーが大きいフルサイズの方がボケ感が強く、滑らかなふわっとした絵に仕上がります。暗い場所にも強いのが特徴です。
ただし、フルサイズのカメラは高価です。Canonもエントリーモデルが最近出てきたので、APS-Cなど色々選べるようになってきました。
予算で選べるモデルがたくさんあるので、何を優先すべきか考えて選ぶと良いでしょう。
SDカード
カードのスペックも重要です。
特に、SONY機は画素が大きいので、SDカードの書き込みの速さが重要。UHS-Ⅱ規格が必須です。
高感度耐性
Adobe Photoshop、Lightroom/Lightroom ClassicのAIノイズ除去を利用すると、ISO感度を上げてもノイズ(写真のざらつき)が気にならなくなるほど補正ができます。
SNSに上げる程度なら十分です。ソフトを使って、補填するのも1つの方法ですね。
悩んだら借りて試してみて

機材には好みがあるし、自分の手になじむかも重要です。
カメラは高価なものなので、借りて一回試して、決めて良いと思います。
実際、今回撮影してみて、メーカー特性を感じました。自分の犬にはどのカメラが良いかは借りてみて決めてはどうでしょうか?
実際に使ってみれば、「自分の犬にはこのカメラが合っている」というのが分かると思います。
今は、カメラもレンズもいろいろ試せる時代。
レンズ1本30万円以上で、ボディも買ってさらにレンズも追加したら、100万コースです。高い買い物です。借りてみて試してから決められるのは凄く良いことだと思います。
そのスペックが本当に必要なのか、そのカメラが必要なのか、撮り比べてみたら分かります。

例えば、「使ってみたら、画素はこれくらいでいいや」と思うかもしれないですし、「使ってみたら、この機能はいらなかった」「取り込んでみたら、やっぱりPCの動きが悪い…」ということに気づけるかもしれません。
また、使いたいレンズや、手持ちのカバンに入れられるかなども考えても良いかもしれませんね。
どのカメラも全部満足できるところまで来ているので、あとは自分の環境や好み、愛犬に合うかが重要です。
カメラ量販店で値札を撮影しただけでは、それは分かりません。ぜひ、自分の撮影スタイルや自分の犬に合うか、実際に試してから決めてみてください。

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