プロレスの試合を上手に撮影する方法

「大日本プロレス」「センダイガールズ」など、試合中の写真撮影を許可する団体が増えてきました。
最近では、ごく一部の団体が紙テープの投げ入れや、声出し応援を許可し始めています※。
あでやかなガウンに身を包んでの入場。投げ込まれる大量の紙テープの中から再び姿を現すレスラー。
そんな、エンターテインメントとしてのプロレスを以前と同じスタイルで楽しめるかもしれません。
「推し」の選手がいる方やスポーツ撮影を楽しむ方の中には、「プロレスを一度は撮影してみたい」と考えている方がいるかもしれません。
しかし、プロレス撮影は以下の理由で難易度が高いのです。
- 暗い屋内施設で行われることが多い
- レスラーの動きが速く、予測が難しい
- 場面が目まぐるしく変わるので、プログラムの流れを把握しておく必要がある
そのため、上記の点を踏まえた機材、設定、想定が必要となります。
目まぐるしく変わる試合展開に翻弄されて、やみくもにシャッターを切っても望ましい写真は期待できません。
本記事を参考に適切な準備をして、場面に応じたメリハリのある撮影を心掛けてください。臨場感にあふれる鮮明な画像を残せるでしょう。
※コロナの感染状況や、観客のマナーなどによって不可能になる恐れがあります
事前に各自ご確認の上、会場での指示に従って撮影、応援してください
目次
プロレス撮影にオススメな機材

カメラ
最近のミラーレス一眼カメラの進化は著しいものがあります。
ハイエンドモデルなら、AF性能や連写性能の点でも一眼レフ機に引けを取らないどころか、上回るものが増えてきました。
プロレス撮影では狭い観客席で、目まぐるしくフレーミングを変えながら長時間の撮影をする場合が多くあります。
軽さ・取り回しの良さも優れているため、発売日が新しい高性能のミラーレス機がオススメです。
撮影時間が長引く可能性もあるので、予備バッテリーを一つは用意しておきましょう。
レンズ
プロレス撮影にオススメのレンズは、焦点距離70-200mm、開放F値が2.8通しの通称「ナナニッパ」と呼ばれるズームレンズです。
レンズのAF性能については、超音波モーターなどを内蔵した高速フォーカスができるタイプを選びましょう。
プロレス会場は、暗いだけでなく観客席からリングまでの距離があるうえに、選手の動きは高速かつ予測が難しいためです。
高速・高精度のAFができるレンズであれば、レスラーを素早く正確に捉えてくれます。
プロレス撮影にオススメな設定

F値
プロレス撮影では、F値を2.8〜3.2程度に設定しましょう。
その理由は下記の3つ。
- 狙う被写体の前に障害となるものが多く、レスラー以外にピントが合うのを避けたい
(ロープ、レフリー、相手選手、プロカメラマンなど)- 背景が観客や広告看板などで乱雑になりやすいため、できるだけぼかしたい
- 激しい動きを写し止めるためにシャッタースピードを速めたいが、屋内の暗い照明下でも明るさは保ちたい
マット中央で推しの選手が格上レスラーとにらみ合う凛々しい表情を収めたいのに、手前にはロープとレフリー、背景には観客と大きな文字入り広告……。
そんな状況下でも、開放値を下げれば余計な情報をボカして、推しの選手だけを鮮明に写せます。
レスラー一点にピントを合わせ、F値を3.2以下に設定しましょう。
シャッタースピード
プロレス撮影のシャッタースピードは入場が始まったら、1/800~1/1000秒ほどに固定するのがオススメです。
カメラのセンサー性能が向上したため、1/500秒でも選手の激しい動きの部分がぶれる能性があります。
1/500秒程度のシャッタースピードでは、例えば高速連続チョップで選手の顔にピントが合っても、肝心の打撃の部分はぶれてしまうことも。
入場シーンでも、小突きあいから乱闘など不測の事態が起こるのがプロレスの魅力です。
ゴングが鳴る前から、シャッタースピードは1/800~1/1000秒に設定しておきましょう。
ISO
プロレス撮影では、ISO感度で露出補正をします。
試合中のシャッタースピードやF値については先述の通り、固定せざるを得ないからです。
高感度耐性に優れた機材を使用するなら、ISO6400までを上限にオート設定し、F値2.8~3.2、1/1000秒のシャッタースピードで撮影に臨んでください。
暗い照明下でもロープの反動を利用した強力ラリアットなど、打撃技さく裂の瞬間を鮮明に収めましょう。
ISOオート設定では、白飛びが生じていないか最初にヒストグラムを確認してください。
白飛びが発生するなら、上限設定を変えるか適切な設定に固定することをオススメします。
ISO感度の設定はプロレス撮影において、最も注意を払う設定の一つです。
AF
プロレス撮影では、他のスポーツ撮影と同じく「AI SERVO」や「コンティニュアスAF」の機能を使用します。
狙った被写体にピントを合わせながらシャッターを半押ししたり、親指AFでボタンを押したりしている間フォーカスし続ける機能です。
動体撮影には欠かせない機能なので、慣れていない方は試合を撮影するまでに練習しておきましょう。
連写設定
連写は、高速で動き回るレスラーを写し止めるために必須の機能です。
レスラーの動きは速いうえに予測もつきません。コーナーからのフライングボディアタックなどの空中技を、その炸裂の瞬間まで収めるとなれば、連写設定の使用が不可欠。
闇雲に連写するのではなく、試合の展開に合わせて、要所要所で数秒間の高速連写をするイメージで撮影しましょう。
最近のカメラ機材は、秒間10コマ、20コマが当たり前になりました。
このような性能を活かすためにも、空中殺法の直前からシャッターを切るなど、メリハリのある撮影を心がけてベストショットを残してください。
ホワイトバランス
ホワイトバランスは基本的にオートで問題ありません。
屋外の昼間に行われる場合は、電球がなければ太陽光が自然な色合いになります。
電球がある場合は状況に合わせて、色味を確認してください。
また、会場にもよりますが、屋内施設でもあえて太陽光に設定すると昭和っぽいレトロな色調に仕上がりますので、お好みで試してみる価値はあります。
男子レスラーがオーソドックスな黒のパンツでファイトしている場合などは、ホワイトバランスで色合いを変えて楽しんでみてはいかがでしょうか。
プロレスのシーン別オススメ撮影方法

入場シーン
入場シーンは凝縮された時間の中でも、撮影ポイントが豊富です。花道で入場の歩みを進める前からシャッターチャンスがあります。
例えば、薄暗いスポットライトでわずかに照らされた選手の表情。高感度耐性に優れた近年の機材なら、秘めた闘志をあぶりだすかのごとく鮮明に切り取ってくれます。
また、入場シーンでの紙テープ投入を許可する団体が出てきました※。
マットに上がってテープにまみれた選手をどのタイミングで写し止めるか、連写でどこまで攻めるか想定しておくべきポイントの一つです。
※テープ投入を認めているのは一部の団体です。投入のタイミングにも独自のルールがあります。必ず事前にご確認ください
選手の表情(アップ)
プロレス撮影で、選手の表情こそ狙うべき被写体の一つです。
激しい動きの合間に見せる選手の様々な表情に迫りましょう。ズームレンズでグッと迫りたい表情の例は以下のとおりです。
- 入場後マットの上で観客へのアピールで見せる自信
- 試合開始直後、お互い挑発しながらのにらみ合い
- スリーパーホールドなどの絞め技に耐えながら苦痛にゆがむ表情
- 不意うちのフォールに持ち込まれ3カウント、敗れたレスラーがみせる茫然自失の表情
- 痛烈なパイルドライバー※を見舞われ、脳震盪気味の中で痛みをこらえるレスラー
※パイルドライバー:相手の胴を両腕でクラッチし、頭部を両モモで挟んで逆さに持ち上げ、脳天からマットに突き刺す技
(引用:デイリースポーツオンライン)
上記の例はあくまで参考です。
激しい動きにだけ注意を向けるのではなく、選手の表情にも迫る意識で撮影に臨めば、A4プリントで鮮明に残したくなる印象的な一枚を残せます。
空中技・空中殺法
プロレス撮影の中で最も難易度が高いシーンの一つです。
レスラーたちは浮揚するためにロープの反動を活かしたり、コーナーによじ登ってジャンプしたりと、ピント合わせは困難を極めます。
コーナーからのジャンプは回転を伴ったり、相手選手を伴ってコーナーに上がったり……。ともに飛び降りてマットに叩きつけることもあります。
また、ドロップキックは空中殺法の起点がバリエーションに富んでおり、自身のジャンプ力だけで技を繰り出すときもあれば、ロープの反動を活かしたり、コーナーからのジャンプで炸裂させたりと、予測がつきません。
撮影ではピントを一点に絞り、AI SERVOやコンティニュアスAFなどで狙った被写体を追い続け、技を繰り出す前のタイミングで連写するのがオススメです。
レスラーがコーナーによじ登った時は、宙を舞う直前のタイミングから慎重にフォーカスして連写しましょう。
フォール
勝敗の決定には絞めや関節技からのギブアップや反則など複数のパターンがあります。
中でも、フォールの3カウントで雌雄を決する瞬間は代表的といってもよいでしょう。
フォールの体勢は試合によって序盤から何度も仕掛けることもあれば、打撃や飛び技の応酬から不意を突いた一瞬で3カウントが決まることもあります。
3カウントが決まった瞬間を収めるのはもちろんですが、それだけではもったいないのです。
明暗を分けたレスラーのその後の歓喜の表情、落胆の表情、どちらを追い続けるのかは各自の判断です。
3カウント後もシャッターチャンスが潜んでいることもお忘れなく。
マイクパフォーマンス
マイクパフォーマンスはプロレスの中でも、その重要性、魅力はますます高まっています。
レスラーのトーク力も洗練され、一昔前とは比べ物になりません。
単なる来場御礼にとどまらず、その試合にかけた思い、今後の抱負などを語る姿を貴重な一瞬としてぜひとも切り取ってください。
個人的に最も印象に残っているのが2020年3月にとある会場で行われた試合での、アジャコング選手のマイクパフォーマンスです。
コロナ危機が取りざたされ、多くのイベントが中止される中、迷いに迷って熟慮を重ねた末に行われた試合。
「こんな時だけど、でもこんな時だからこそ、(試合を)やるしかねえーんだ」と熱のこもったトークは今でも記憶に刻まれていますし、その貴重なショットは宝物です。
そんな歴史的な一枚こそ、高性能な一眼カメラとレンズで鮮明に残せてよかったと思います。
プロレス撮影にオススメなレンズキット
SONY α7S III & 純正大口径望遠ズームセット α7S III + FE 70-200mm F2.8 GM OSS SEL70200GM

屋内の動き物も綺麗に写し止める最強タッグ。
このセットは、まさにプロレス撮影に特化しているといっても過言ではありません。
1210万の画素数は決して多くはありませんが、低画質というわけではなく、優れた高感度耐性に寄与しています。
画素数が低いことで暗い室内でもセンサー内の一つあたりのピクセルが大きくなり、取り込める光量が多くなります。
極端なトリミングやA3以上のプリントをしなければ、ざらつきの少ない画質が楽しめるでしょう。
セットの高解像レンズと組み合わせれば、ブレンバスターで高い位置から弧を描くように相手をマットに落とす技のフィニッシュまで追従します。
背中をたたきつけられた相手レスラーが苦痛にゆがむ表情まで、鮮明画質で残してくれるでしょう。
| 製品名 | α7S Ⅲ ILCE-7SM3 |
|---|---|
| マウント | ソニー Eマウント |
| センサーサイズ | フルサイズ |
| 有効画素数 | 約1210万画素 |
| 常用ISO 感度 | ISO80~102400 |
| 連写速度 | 約10コマ/秒 |
| 幅×高さ×奥行き | 約128.9× 96.9×80.8mm |
| 重量 | 約699g |
|
製品名 | FE 70-200mm F2.8 GM OSS II |
|---|---|
| マウント | ソニーEマウント |
| センサーサイズ | フルサイズセンサー |
| 焦点距離 | 70~200mm |
| F値 | F2.8 |
| 絞りばね枚数 | 11枚 |
| フィルター径 | 77mm |
| 最大径×長さ | 88×200mm |
| 質量 | 1045g |
■購入する場合は、カメラ377,000円+レンズ316,695円 (税込 ※2023/2/8現在 カカクコム調べ)となっているようです。
Canon EOS R6 & 純正大口径望遠ズームセット EOS R6 + RF70-200mm F2.8 L IS USM

「軽さは正義」圧倒的な取り回しの良さ。
軽量なフルサイズセンサーを搭載したカメラと、世界最短※のナナニッパ(焦点距離70-200mmF2.8の望遠レンズ)の組み合わせです。
ロープに巨体を預けた反動で繰り出すニードロップ。倒れた相手にすかさずのしかかりフォールに持ち込む。カウントスリー寸前に渾身のブリッジでかわして逃げ回る相手レスラーの必死の形相……。
この機材のタッグなら、そんな一連の動きをしっかり追従して撮影できます。
※2023年現在
| 製品名 |
EOS R6 |
|---|---|
| マウント | キヤノンRFマウント |
| センサーサイズ | フルサイズ |
| 有効画素数 | 約2010万画素 |
| 常用ISO 感度 | ISO100~102400 |
| 連写速度 | 約20コマ/秒 |
| 幅×高さ×奥行き | 約138.4×97.5×88.4mm |
| 重量 | 約680g |
|
製品名 | RF70-200mm F2.8 L IS USM |
|---|---|
| マウント | キヤノンRFマウント |
| センサーサイズ | フルサイズセンサー |
| 焦点距離 | 70~200mm |
| F値 | F2.8 |
| 絞りばね枚数 | 9枚 |
| フィルター径 | 77mm |
| 最大径×長さ | 89.9×146.0mm |
| 質量 | 1070g |
■購入する場合は、カメラ264,455円+レンズ334,000円(税込 ※2022/05/10現在 カカクコム調べ)となっているようです。
Nikonプロ仕様最上位機 & 大口径望遠ズームレンズセット Z 9 ボディ + NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S

最高画質を求めるならこの組み合わせ。
Nikon Zシリーズが誇る最強カメラ・レンズの組み合わせです。動体追従性能、画質、高感度耐性どれ一つとっても最高クオリティ。
「推し」の選手だけを収めたいなら「カスタムワイドエリアAF」を使用して、推しの選手だけをカメラ任せのピントで追従しましょう。
細い長方形(縦、横、幅など選択可能)や、小さな正方形など20種類の選択エリアを駆使すれば、効率よく撮影可能です。
高画質、高性能AF搭載のレンズとの組み合わせで動きと、あでやかさを演出する選手も安心して収められます。
たとえば派手なガウンに身を包み、激しい動きのパフォーマンスでマットに駆け上がるお目当ての選手の入場シーン。
推しの選手を丁寧にフレーミングすれば、カメラ任せでガチピン撮影ができます。
入場シーンで鮮明な写真を収めた後は、そのまま試合も安心して撮影に専念できるでしょう。
|
製品名 |
Z9 |
|---|---|
| マウント | ニコンZマウント |
| センサーサイズ | フルサイズセンサー |
| 有効画素数 | 4571万画素 |
| 常用ISO 感度 | ISO64~25600 |
| 連写速度 | 約20コマ/秒 |
| 幅×高さ×奥行き | 149×149.5×90.5mm |
| 重量 | 約1340g |
|
製品名 | NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S |
|---|---|
| マウント | ニコンZマウント |
| センサーサイズ | フルサイズセンサー |
| 焦点距離 | 70~200mm |
| F値 | F2.8 |
| 絞りばね枚数 | 9枚 |
| フィルター径 | 77mm |
| 最大径×長さ | 89×220mm |
| 質量 | 1360g |
■購入する場合は、カメラ625,235円+レンズ275,999円(税込 ※2022/05/10現在 カカクコム調べ)となっているようです。
観客席からプロレスの試合を撮影する際の注意点

それぞれの団体、運営会社が行う試合開始前のアナウンスに、耳を傾けましょう。最低限のマナーを守る姿勢なら、周りに迷惑をかけずに観戦や撮影を楽しめます。
・60秒以上の動画撮影、フラッシュ撮影は基本的に禁止されます
・撮影データを商用利用でネットなどに公開することは禁止です
・観客席を離れての撮影は控えましょう
・撮影の際は、周囲の安全に十分配慮しましょう
いくつかの会場に問い合わせましたが、観客の一脚使用は認めないとのことでした。使用をご検討であれば事前にご確認ください。
フラッグシップ機に超望遠レンズの組み合わせなど、かなりかさばる装備の際は主催団体などに事前に確認されることをオススメします。
AF補助光や合焦音を事前にオフにするなど、周囲の妨げにならないよう配慮しましょう。
鏡筒が伸縮するタイプのレンズを望遠側にする際には、周囲の観客の安全には細心の注意を払ってください。
参考サイト:https://bjw.co.jp/manners/
まとめ

今回はプロレスを上手に撮影する方法をご紹介しました。
プロレス撮影でレスラーたちの激しい動きを撮影するのは、簡単ではありません。
ただし、機材や設定をプロレス撮影に適したものにし、プログラムの中でシーンごとのメリハリを意識すれば撮影結果は見違えるように変わります。
驚くほどの解像感を堪能し、何度でも眺めたくなるかけがえのない一枚を残せること間違いなしでしょう。
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