MARSH読者の皆さまこんにちは。
1月、冬ですね。この原稿を書いている日の気温は-6度です。体感気温は-11度。
もちろん屋内で執筆してはおりますが、ついに冬が来てしまいました。
寒いのは嫌いなのですが、ソウルは雪が降るから好きです。
雪が降るとウキウキしてしまうのは何故なのでしょう。
それはそうと、昨年11月に日本でいういわゆるマンションのような場所に引っ越しをしました。
驚いたのが、部屋にスピーカーが付いており、たまに全部屋に放送が流れること。
先日は「今日は部屋の消毒の日なので、早く来て欲しい人は管理室に連絡してね〜」みたいな放送が流れました。
あと、ワールドカップの影響か「深夜に騒ぐのはやめてください」という放送が流れたこともありました(笑)
結構驚いたのですが、日本のマンションも今ってこういうアナウンスがされるんでしょうか?
さあ、韓国写真通信・第2号では「韓国の写真展」についてレポートしたいと思います。
今回は実際に会期中の2つの展示を見に行って来ました!
今回掲載している写真はFUJIFILM X100Fで撮影しました!
今回訪れた韓国の写真展

今回行ってきた展示は、一つ目がヴィヴィアン・マイヤー、もう一つがフランコ・フォンタナの写真展です。
ヴィヴィアン・マイヤーの写真展、実は日本にいるときから行きたいと思っていた写真展でした。
というのも、イケてる展示として韓国国内でちょっと話題になっていたのです。
どちらも結構大規模な展示だったんですけど、昨年開催されたスペインの写真家「yosigo」の写真展以来、韓国国内で写真という表現が注目され始めているように感じます(yosigoさんの写真展については後述します)。
今までは韓国の写真って、ウェディングフォトやコマーシャルフォトが話題になることが多かったのですが、アートとして写真を楽しむっていうことが徐々に一般化されて来たのかもしれません。
それでも大きな書店の写真集コーナーはかなり小さいので、日本に比べるとまだまだですが…。
ヴィヴィアン・マイヤー(비비안마이어/VIVIAN MAIRE)

ヴィヴィアン・マイヤーは写真を勉強している人であれば、誰もが知っている写真家さんなんじゃないでしょうか。
知らない方もいるかもしれませんので、簡単にご説明します。
ヴィヴィアン・マイヤー(1926.2.1-2009.4.21)
アメリカのアマチュア写真家で、シカゴのノースショアでベビーシッターとして約40年間働きながら、写真の撮影や研究をしていた。被写体はニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスなどの人物や建物などで、生涯に15万枚もの写真を撮影しているが、存命中に作品を発表をすることはなかった。死後、コレクターがたまたまヴィヴィアン・マイヤーのネガフィルムを購入することにより、その才能が明るみに出る。類い稀な才能を持ち、多くの作品を撮影していながら、世に作品を発表せずに生涯を終えたヴィヴィアン・マイヤーの存在は、発見当時大変大きな話題となった。映画『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』は第87回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた。
私、この展示にすっかり感銘を受けてしまいました。「人の写真を見てここまで感動したのは初めて」と思うほど良い展示で…。
写真展が開催された場所は、ソウルで今一番ホットなエリアと言っても過言ではない「聖水(ソンス/성수)」でございます。
2号線・聖水駅からバスに乗ること10分、「グラウンドシソ・ソンス」にて写真展は行われていました。

私は会期終了の2日前に滑り込みで来場。
平日の夕方に行きましたが、人が少なくてそれもすごく良かったです。
というかメインビジュアルかっこいいですよね。
ザ・韓国って感じがするのは私の目にフィルターかかりすぎでしょうか?
入場料は18,000ウォン(日本円で約1,800円)と結構お高め。
「あと500円くらい払えば水族館行けるな」と思いましたが、仕方なく1,800円支払いました。
館内は基本的に撮影禁止でしたが、撮影できる箇所が3ヶ所ありそちらでのみ撮影ができました。

ヴィヴィアン・マイヤーと2ショット(?)が撮れる、粋な展示です。
今、日本もそうかもしれないですけど、こういう撮影前提の展示に人気がありますよね。
韓国は基本的にみなさんセルフィーを撮りに来られるので、こういったブースはどの展示でも見かけます。

これはヴィヴィアン・マイヤーのセルフポートレートと同じような写真が撮れるよっていうコーナーです。


一人で行きましたがしっかりセルフィー撮りました(笑)
X100Fのレトロなフォルムとデザインが撮影セットにマッチしていますね。
コンデジは一人で街ブラする時でも「ガチすぎない」感じがあって、人目を気にせず写真が撮れるのも魅力だと思います。

こちらも同様にヴィヴィアン・マイヤーのセルフポートレートチックなセルフィーが撮れるコーナーでした。
(静電気でアホ毛がひどいですがご愛嬌ということで…)
展示スペースの写真は残念ながら撮れませんでしたが、作品や映像がたっぷりなのと、ヴィヴィアン・マイヤーが実際使っていたであろうカメラやフィルム、帽子など私物の展示も豊富で、見応えがありました。
それと、撮影スペースなど工夫が要所要所に散りばめられ、主催側の熱意を感じました。写真に興味がない人でもしっかりとヴィヴィアン・マイヤーに興味が持てるような構成になっています。
あと、もうこれは私がわざわざ言うことでもないですが、作品が素晴らしすぎました。
ヴィヴィアン・マイヤーは生前に作品を発表しなかったため、アマチュア写真家ではありますが、巨匠レベルに匹敵する腕前の持ち主です。
私たちはSNSで写真を気軽に発表できる世界に生きておりますが、何のために写真を撮るのかとか、人に認められることの価値について、再度よく考える良き機会を与えてくれた展示でした。
最初は入場料高いなぁと感じましたが、得られるものが大きかったので、大満足の展示でした。

帰りにちゃっかりミュージアムショップで写真集を購入。
45,000ウォン(日本円で約4,500円)が25,000ウォン(日本円で約2,500円)になっていたので、即買いでした(笑)
会期ギリギリに行くと写真集が安く買えるかもしれません!


会場入り口前で見つけた記念撮影できるプリクラです。
韓国ではこういう「スティッカー写真(스티커 사진)」が流行っているのですが、さすがに一人で撮る勇気は出ませんでした。
フランコ・フォンタナ(프랑코 폰타나/FRANCO FONTANA)

訪れた2つ目の展示は、イタリアの巨匠「フランコ・フォンタナ」の写真展です。
こちらも入場料は18,000ウォン(日本円で約1,800円)でした。
この展示は写真撮影がOKだったので、遠慮なく撮らせていただきました。
まずはフランコ・フォンタナについてご紹介します。
フランコ・フォンタナ(1933.12.9)
1933年イタリア・モデナ市で生まれる。大胆なトリミングとコントラストの高い色彩表現から“色の父”とも呼ばれ、1978年に出版された『Skyline』という写真集は、世界的なベストセラーとなった。1968年の初個展以来、各地で個展を開催し、世界で最も数多く個展を開催した写真家としても知られる。オリジナルプリントが世界で最も多く売れている写真家でもあり、作品は、パリ国立図書館、ニューヨーク近代美術館など世界60ヶ所に所蔵されている。
フランコ・フォンタナは日本ではあまり知られていませんが、世界的には非常に有名な写真家です。調べたところ、日本で写真展が開催されたのは2014年のよう。
日本では見られない写真家の作品を見られるというのも、海外旅行の魅力の一つですよね。
展示は撮影した地域とイメージカラーごとに分けられていました。
フランコ・フォンタナの写真は、一見絵のようにしか見えないけれど実は写真という、不思議な作風も特徴の一つです。
一見シンプルな構図なんですが、頭と感性が良くないとこうはならないんだよなぁと思いながら写真を鑑賞。

今回の展示、内装がとにかくカラフルで、各コーナーには色見本で有名な「PANTONE」のカラーコードが記載されていました。
韓国って何故だかPANTONEが人気で、グッズなんかもよく販売されているのですが、まさかの写真展とのコラボです。

こちらの角の箇所が撮影スポットになっていました(笑)
この展示はどこでも撮影ができたので、皆さんお気に入りの写真と一緒に記念撮影を楽しんでいました。

グッズショップもヴィヴィアン・マイヤーと比べるといろんなものが販売されていました。
こちらの写真は使い捨てカメラ。39,000ウォン(日本円で約4,000円)と高額です(笑)
フランコ・フォンタナの写真展は展示点数が多く、見応えがあり、「PANTONE」という一見写真家と関係ないものとコラボして、楽しみを増やしている点も韓国らしいなと感じました。
特にこの展示はフランコ・フォンタナの作風に合わせ展示会場を作っていて、写真展全体を楽めるようになっていました。
既に作品を見たことがある人や、全く写真に興味がない人でも楽しめるようなアートディレクションがされていて、大変関心しました。
2021年に大流行したYosigo
先ほどチラッとお話ししましたが、韓国でジワジワ写真展ブームが起きつつあるのは、2021年に開催された「Yosigo」という写真作家の展示が影響しているように思います。
Yosigoはスペインの写真家兼グラフィックデザイナーの方で、昨年ソウルの鍾路で大きな展示会を行いました。
海外旅行をした時の写真約350枚を展示しましたが、当時展示の待ち時間が1時間以上になるほど流行ったんですよね。
コロナ禍で海外旅行に行けなかったので、外国のビビットで弾けた写真がウケたのかもしれません。
写真自体も話題になったのですが、展示作品をバックに撮るセルフィーがインスタグラムで流行りました。
もはや写真展は写真を見るだけのものではないのだとその時感じたのを記憶しています。
Yosigoは元々韓国でも日本でもそんなに有名ではなかったのですが、この展示が爆発的にヒットしたことで誰もが知っている写真家になりました。
日本ではまだ写真展を開催したことはないそうなのですが、韓国ブームもまだ継続中なので、Yosigoが日本に上陸する日も近いのではないでしょうか…?
友人がYosigoの展示に行っていたので写真をお借りしました!
韓国と日本の写真展の違い

3つの写真展を取り上げてレポートさせていただきましたが、どの写真展にも共通していることが、「写真家自身に興味がなくてもそれなりに楽しめる」という点だと思います。
また、訪れた2つの会場どちらも、カメラ機材を持っている人の姿はあまりおらず、比較的若い方が多かったです。
日本の写真展では、機材を持ってきている人の姿をよく目にしますし、写真家さんにもよりますが大きな展示になるとご年配の方を見かけることも少なくありません。
「写真が好き」な人以外は、あまり写真展に足を運ばないイメージがありますよね。
韓国では「写真家に興味がある」というよりは、「展示自体に興味がある」人の来場が多く、撮影などを楽しむために写真展に訪れる若者が多いのだと感じました。
下記に日本と韓国の写真展の違いをざっくりまとめてみました。
日本の写真展
・写真好きが多く写真家のファンが訪れる
・入場料が比較的安い
・年齢層が幅広い
・グッズは写真集やポストカードが多め
韓国の写真展
・規模が大きい
・入場料が高い
・グッズが多様
・写真好きよりは展示に興味がある人が集まる
・若い人が多い
・記念撮影スペースがある
もちろん韓国でも日本のように小さなギャラリーが運営する展示もあるので、一概にこうとは言えません!
きっかけは「映え」で良い

写真に興味がない人でも訪れやすい韓国の写真展。
写真を撮る側からしてみたら「それってどうなんだろう」と感じる人ももしかしたらいるかもしれません。
中には「写真に集中できない」「作家の意志を無視している」と思う人もいるかもしれません。
ただ、潔く「映え」を全面的に押し出して、まずは来てもらうっていうのも、私は有りだと思います。
私もそこまで積極的に写真展に足を運ぶタイプの人間ではありませんが、ヴィヴィアン・マイヤーの写真展を見て、「教科書に出てくる人の写真展には行くようにしよう」と心に誓ったのでした。
韓国旅行の際は写真展もチェックしてみよう

ダラダラと綴ってしまいましたが、「韓国の写真展おもしろいよ!」ということが言いたいのです(薄っぺら)。
敷居が高くて行けない雰囲気が漂っている展示も、もちろんあっていいんですけど。
「映え」というコンテンツを最大限利用して、写真界が盛り上がっていくのも楽しくていいなぁと。
みんなで作品の良さを共有しているみたいで、なんだか楽しかったです。
スマホの普及でカメラで写真を撮る行為が段々とハードルが高くなってきた昨今ですが、こういった展示で写真やカメラに興味を持つ人が増えてくれたら良いなと思います。
そして、韓国に訪れた際はぜひ写真展の開催情報をチェックしてみてください!
Google検索で「地域名+写真展(사진전)」と韓国語検索してみれば開催中の写真展がたくさん出てきますよ。
おまけ

キッチンペーパーホルダーにマグネットが付けられるので、雑貨屋さんで新しい子を2つお迎えしました(右側のふたつ)。
値段がついていなかったのですが「1つ500円くらいだろ」と思い購入。
しかし、会計後のレシートの金額が20,000ウォン(日本円で約2,000円)でびっくりしました。完全に見くびっていた…。
おそらく私が人生で購入するマグネットの中で、後にも先にもこの子たちが一番高額だと思います。
※大好きな雑貨屋さん one more bag で購入しました!




