何気ない日常の一瞬を、ありのままに切り取る「スナップ写真」。カメラがあればすぐに始められる敷居の低さと、自由度の高さが人気です。今回は一眼カメラでスナップ写真を撮りたい方向けに、おすすめの交換レンズを紹介します。撮影に使うレンズは、「これでなくてはいけない」というルールはありません。しかし、スナップ写真に向いているといわれるレンズには共通点があります。これらのレンズを使用することで、より早くスナップ写真のコツを掴むことができるでしょう。レンズを選ぶ際のポイントも解説しますので、参考にしてみてください。
目次
スナップ写真とは?
スナップ写真とは、日常の中で起きた出来事や、見たものをサッと瞬間的に撮る写真のことです。「snap」には「すぐに・素早く」といった意味があり、次の瞬間には姿が変わってしまう被写体を写す撮影方法を、スナップ撮影と呼びます。ありのままを写す姿勢が大切で、事前にロケハンをしたり三脚を立てたりすることはありません。その時感じ取ったものを、作り込まずに見たまま収めるスタイルです。街などを歩きながら被写体を決め、琴線に触れたらとにかくシャッターを切る。カメラ1つあれば良いので、誰でも気軽に始めることができます。人物を撮る場合には、カメラを意識させないようにアングルを工夫し、コンパクトな機材を選んだ方が威圧感を与えません。スナップ写真は歩き回りながら撮影を行なうため、機動性に優れたカメラを選ぶことが撮影のしやすさに繋がるでしょう。
スナップ撮影向けレンズを選ぶポイント
スナップ写真によく用いられるレンズには、下記6点のような特徴があります。
大きさ・重量
良いと思った瞬間を逃さないために、カメラは首から下げ、素早く構えられるようにしておかなくてはいけません。コンパクトなレンズを選べば、ストレスなく携帯することができるでしょう。大型レンズより、軽量な単焦点レンズやパンケーキレンズが選ばれる傾向にあります。
焦点距離
写真は自由なものですので、スナップ撮影にも「この焦点距離でないといけない」というルールは存在しません。超広角でも望遠でも、サッと撮影が可能であればスナップ写真です。しかし一般的には、35mm判換算で28mmほどの広角から、85mm程度の中望遠の焦点距離を持つレンズが多く使用されています。単焦点で好まれるのは、35mm・50mmの画角。街中では超広角だと余計なものが写ってしまい、望遠では逆に画角が狭く写しきれません。また、望遠レンズは全長が長くて重いレンズが多いため、携帯性の面で劣ります。まずは35mm・50mmといった一般的な焦点距離に挑戦してみて、慣れてきたら自分好みの焦点距離を見つけていくのが良いでしょう。
F値
開放値が小さいレンズは、浅い被写界深度でボケ味が楽しめます。シャープな写真を好む人であっても、明るいレンズを選んで損はありません。その理由は、絞りを開放することで、夕方以降の撮影や暗所撮影であっても、速いシャッター速度で撮影ができるからです。F値の小さなレンズを選ぶことで、手ぶれの軽減が可能。大口径レンズは重くなりがちではありますが、コンパクトに設計されたレンズもあるので、暗所撮影の可能性がある場合は明るいレンズを選ぶと良いでしょう。
手ぶれ補正機構
スナップ撮影は三脚を使用しません。サッと構え素早くフォーカスを合わせてシャッターを切るため、時にせわしない動きになってしまうこともあるでしょう。そんな時に強い味方になるのが、手ぶれ補正機構が搭載されているレンズ。カメラ自体に手ぶれ補正が搭載されていれば問題ありませんが、それ以外の場合は手ぶれ補正機構付きのレンズを選ぶと、手ぶれを減らすことができます。
AFの速さ
スナップ撮影は、一瞬を捉えることが何よりも重要です。オートフォーカスに時間がかかってシャッターチャンスを逃してしまうことは避けたいところ。素早く合焦できるモデルを選びましょう。ステッピングモーターやインナーフォーカスといったシステムを導入し、高速AFが可能なレンズがスナップ撮影向きです。
単焦点orズーム
スナップ撮影では、1つの画角のみを撮影できる単焦点レンズが好まれています。ズームレンズは大きく重いレンズが多いため携帯性には優れないのです。シャッターチャンスを逃さない点で考えると、画角が変えられるズームレンズの方に利があります。どちらも一長一短ですので、両方試してみるのも手かもしれません。今回紹介する製品はほとんどが単焦点レンズですが、持ち運びが苦にならないと感じるのであれば、スナップ撮影向きのレンズといえるでしょう。
スナップ撮影に向いている交換レンズ10選
Panasonic LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH. H-X015-K
気軽に撮影が楽しめる115gのコンパクトボディ。
35mm判換算で30mm相当の画角を持つ、ライカの単焦点レンズ。小型・軽量・高画質を売りに、115gの軽量に抑えたレンズは「どんな時でも持ち歩いていたい」と感じること間違いなし。コンパクトでありながら、大口径レンズに付けられる「SUMMILUX(ズミルックス)」の名を持つLEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH. H-X015-Kは、開放値F1.7の明るさで、昼夜問わず手持ち撮影に最適です。非球面レンズ3枚を含む7群9枚のレンズ構成で、球面収差や歪曲収差を抑え、画面周辺部まで高いコントラストを持つ細やかな描写が期待できます。絞るとすっきりとしたパンフォーカス、開放ではオールドレンズを彷彿とさせる独特なボケ味。何気ない日常を、アーティスティックに切り取ってくれるでしょう。
製品名 | Panasonic LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH. H-X015-K |
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マウント | マイクロフォーサーズマウント系 |
焦点距離 | 15mm |
F値 | F1.7 |
最短撮影距離 | 0.2m |
重さ | 115g |
■購入する場合は、42,320円(2020/10/17現在 カカクコム調べ)となっているようです。
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FUJIFILM フジノンレンズ XF16mmF2.8 R WR
高速AFが一瞬を逃さない。
富士フイルムが製造した、35mm判換算で24mm相当の画角を持つ広角レンズ。全長45.4mm、質量155gの小型軽量を実現しながら、金属パーツを使用したスタイリッシュなデザインが魅力です。非球面レンズ2枚を含む8群10枚のレンズ構成が収差を抑制し、中心部から周辺部まで高い解像度を発揮します。XF16mmF2.8 R WRはフォーカス方式にインナーフォーカスとステッピングモーターを採用したことで、スナップ撮影では欠かせないAFの高速化と、静音化を実現しました。初心者が標準ズームの次に選ぶ交換レンズとしてもおすすめできるレンズです。
製品名 | FUJIFILM フジノンレンズ XF16mmF2.8 R WR |
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マウント | Xマウント系 |
焦点距離 | 16mm |
F値 | F2.8 |
最短撮影距離 | 0.17m |
重さ | 155g |
■購入する場合は、44,788円(2020/10/17現在 カカクコム調べ)となっているようです。
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OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8
絞り開放からキレのあるシャープさを。
フルサイズ換算で35mm相当の画角を持つ、オリンパスの大口径単焦点レンズ。重さ120g、全長35.3mmの小型ボディは、金属外装を採用することで高級感を演出します。レンズの反射防止コーティングであるゼロコーティングを採用することにより透過率が上がり、フレアやゴーストを排除し、逆光などの条件下でもクリアな描写を可能にしました。MSC(Movie and Still Compatible)機構と呼ばれるインナーフォーカス方式を採用し、高速かつ静音なオートフォーカスを実現。素早いフォーカシングでピントが合うことにより、テンポの良い撮影が楽しめるでしょう。M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8の特筆すべき点は、絞り開放からシャープでキレの良い像が描ける点。かっちりとした写真を撮りたい人に好まれています。球面収差の補正力が高いHR(高屈折率)レンズなどを用いたレンズ群により、画面全域で精緻な描写が期待できます。
製品名 | OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 |
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マウント | マイクロフォーサーズマウント系 |
焦点距離 | 17mm |
F値 | F1.8 |
最短撮影距離 | 0.25m |
重さ | 120g |
■購入する場合は、46,734円(2020/10/17現在 カカクコム調べ)となっているようです。
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Canon EF-S24mm F2.8 STM
携帯性に優れたパンケーキレンズ。
35mm判換算で38mm相当の画角は、見たままの風景を収められる使い勝手の良い焦点距離です。キヤノンのAPS-C機専用マウント初となるパンケーキレンズ・EF-S24mm F2.8 STMは、全長22.8mm、重量125gのコンパクト設計。カメラからほとんど鏡筒が出ることがありません。鞄からすぐに取り出せる携帯性は、スナップ撮影に最適といえるでしょう。最短撮影距離は16cm、レンズ面からは約9cmで、クローズアップ撮影の際にも被写体に大きく近づくことができます。価格も手頃であることから、一眼レフを始めたばかりの初心者でも手を出しやすい単焦点レンズです。
製品名 | Canon EF-S24mm F2.8 STM |
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マウント | キヤノンEFマウント系 |
焦点距離 | 24mm |
F値 | F2.8 |
最短撮影距離 | 0.16m |
重さ | 125g |
■購入する場合は、17,570円(2020/10/17現在 カカクコム調べ)となっているようです。
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Canon RF35mm F1.8 マクロ IS STM
マクロ撮影もできる大口径レンズ。
キヤノンのフルサイズミラーレス一眼用のRFマウントを持つ、広角単焦点レンズ。全長は80.5mm、重量305gの小型・軽量化されたボディは、重さを感じずにスナップ撮影に集中できます。コンパクトでありながら、開放値F1.8の明るさを持つ大口径。0.5倍の最大撮影倍率を生かして、ハーフマクロ撮影も可能です。ビジュアルセンシングISと呼ばれる手ぶれ補正機構と、開放値F1.8の明るさを合わせると、暗所撮影でも手ぶれを抑えられます。最短焦点距離に関しても17cmですので、被写体に大きく近づいた大胆な構図の写真が撮れるでしょう。
製品名 | Canon RF35mm F1.8 マクロ IS STM |
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マウント | キヤノンRFマウント系 |
焦点距離 | 35mm |
F値 | F1.8 |
最短撮影距離 | 0.17m |
重さ | 305g |
■購入する場合は、62,865円(2020/10/17現在 カカクコム調べ)となっているようです。
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Nikon AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED
画面全域で得られる高い解像度。
ニコンのAF-S NIKKOR 35mm f/1.8G EDは、重量295gの軽量を実現しながら、大口径を採用した広角レンズ。EDレンズ1枚、非球面レンズ1枚の高い光学性能で、画面中心部から周辺部まで、高い解像力とシャープな描写が得られます。大口径ならではのボケ味を活かした、柔らかで温かみのある描写も魅力の1つでしょう。ボケには癖が少ないため、初めての単焦点にもおすすめできるレンズです。接写ができる25cmの最短焦点距離は、スナップ撮影だけでなくテーブルフォトでも活躍します。
製品名 | Nikon AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED |
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マウント | ニコンFマウント系 |
焦点距離 | 35mm |
F値 | F1.8 |
最短撮影距離 | 0.25m |
重さ | 305g |
■購入する場合は、63,335円(2020/10/17現在 カカクコム調べ)となっているようです。
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FUJIFILM フジノンレンズ XF35mmF2 R WR
最速0.08秒の高速AFを実現。
35mm判換算で53mm相当の画角を持つフジノンのXF35mmF2 R WR。軽量でスナップ写真向きのレンズを多く生産するフジノンの中でもスリムなレンズデザインを採用しています。金属製の外装パーツを使用することで、軽量ながら高級感あふれる質感を実現。インナーフォーカス方式とステッピングモーターにより、最速0.08秒まで高速化されたAFは、被写体の一瞬の変化を逃しません。開放値では豊かなボケ味を、絞ると鋭いキレ味を描写するXF35mmF2 R WRは、初めての単焦点レンズを持ちたい方にもおすすめです。
製品名 | FUJIFILM フジノンレンズ XF35mmF2 R WR |
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マウント | Xマウント系 |
焦点距離 | 35mm |
F値 | F2 |
最短撮影距離 | 0.35m |
重さ | 170g |
■購入する場合は、40,799円(2020/10/17現在 カカクコム調べ)となっているようです。
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SONY Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA SEL35F28Z
悪天候下でも使用できる超コンパクトレンズ。
ソニーのフルサイズ向け広角単焦点レンズです。ドイツ語で「太陽」を意味するSonne(ゾンネ)からつけられたSonnar T*シリーズでは、新規の光学設計によりF2.8の明るい開放値を実現しています。画面全体で高いコントラストと解像力を保ちながら、120gの軽量化に成功しました。非球面レンズを3枚使用したレンズ構成と、独自のT*(ティースター)コーティングが施されたことにより、色にじみのない鮮やかな描写が期待できます。防塵・防滴加工が施されているため、悪天候下での撮影も心配いりません。
製品名 | SONY Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA SEL35F28Z |
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マウント | αEマウント系 |
焦点距離 | 35mm |
F値 | F2.8 |
最短撮影距離 | 0.35m |
重さ | 120g |
■購入する場合は、68,040円(2020/10/17現在 カカクコム調べ)となっているようです。
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SIGMA 45mm F2.8 DG DN|(Contemporary)
こだわりのボケ味と新鮮な焦点距離。
ミラーレス一眼専用レンズであるDNの名を冠したSIGMA 45mm F2.8 DG DNは、35mmと50mmの中間ともいえる45mmの焦点距離を持ちます。スナップでよく使用される35mm、50mmの画角に飽きを感じた人に使ってもらいたいレンズです。「最適バランスの追求」をコンセプトにしているContemporary(コンテンポラリー)シリーズは、優れた携帯性を維持しつつ、描写性能も妥協しません。特にこだわり抜かれたボケ表現は、前ボケ後ボケはもちろん、合焦部分の付近である微ボケ・小ボケに関しても柔らかなボケ味を追求しました。一方で、絞り込んだ際の描写は鋭くシャープそのもの。ステッピングモーターにより静音でスムーズなAF撮影ができるSIGMA 45mm F2.8 DG DNは、スナップ写真に適したシグマレンズといえるでしょう。
製品名 | SIGMA 45mm F2.8 DG DN |
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マウント | ライカLマウント系 |
焦点距離 | 45mm |
F値 | F2.8 |
最短撮影距離 | 0.24m |
重さ | 215g |
■購入する場合は、56,430円(2020/10/17現在 カカクコム調べ)となっているようです。
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SONY Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS SEL2470Z
スナップ撮影でもズームレンズを。
今回紹介するレンズの中では、唯一のズームレンズであるVario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS。使用頻度の高い24mmから70mmまでの焦点距離をカバーする、広角から中望遠ズームレンズです。ズームレンズは重量の問題でスナップ写真に適さないと考える人もいますが、全長94.5mm、重量約425gというボディは、携帯性を重視したいスナップ撮影であっても苦にならないサイズといえます。非球面レンズ5枚とEDガラス1枚を使用したレンズ設計により、ズーム全域で諸収差を抑えた描写が可能。ソニー独自のT*(ティースター)コーティングが施されたレンズは透過率が高く、フレアやゴーストを抑えた抜け感のある高コントラストの描写が魅力です。開放F値は4とやや暗めではありますが、円形絞りの採用で、大口径レンズと大差ないボケ味が得られます。また、光学式手ぶれ補正を搭載しているので、暗所撮影や望遠側での手持ち撮影においても手ぶれを軽減できるでしょう。
製品名 | SONY Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS SEL2470Z |
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マウント | αEマウント系 |
焦点距離 | 24~70mm |
F値 | F4 |
最短撮影距離 | 0.4m |
重さ | 426g |
■購入する場合は、98,000円(2020/10/17現在 カカクコム調べ)となっているようです。
■GooPassなら月額9,800円でレンタル可能です。
まとめ
スナップ撮影向きの交換レンズ10選の紹介でした。コンパクトデジタルカメラに比べると重くなってしまう一眼カメラですが、携帯性に優れたレンズが各種メーカーで製造されています。手ぶれ補正機構や高速AFの機能も充実していますので、快適なスナップ撮影が楽しめるはず。そしてレンズは使っていくうちに良さがわかるものでもあります。たくさんシャッターを切り、自分に合った最高の1本を見つけてみましょう。