日本では織姫と彦星が再会する「七夕」のストーリーで知られている「天の川」。

とはいえ名前は知っていても、「天の川って何?」と訊かれると、答えに迷う方もいるのではないでしょうか。

また、いざカメラで撮影しようとしても、どんな機材や設定が良いのか分からない方も多いはず。

そこで今回は、天の川の説明や天の川撮影にオススメの機材・設定・コツについてご紹介します。

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天の川とは?

天の川=銀河系に存在する無数の星

天の川の正体は、銀河系に存在する無数の星です。銀河系は恒星や星間ガス、暗黒物質などの天体で構成され、横から見ると中央が膨れている円盤状の形を、上から見ると渦巻状の形をしています。その一部が帯状に観測できるものが、俗にいう「天の川」。天文学では「銀河面」といわれています。

地球も天の川銀河のひとつ

天の川銀河には約2千億個の恒星が存在しており、我々の住んでいる地球が所属する太陽系も天の川銀河に含まれています。太陽系が位置するのは、天の川銀河の中心から約3万光年も離れた場所。銀河系の外れにあるといわれています。天の川銀河は中心部にいくにつれて星の数が多くなるため、夜空で見る濃い天の川は銀河の中心部分というわけです。

天の川の例え方は神話によって違う

天の川には、地域によって異なる神話があります。日本を含む東アジア地域の神話では「川」として捉えており、日本の七夕伝説は中国から伝来した話をベースに変わっていったものです。一方でギリシャ神話では、天の川は「乳(ミルク)」として例えられており、英語名「Milky way」の由来になっています。

天の川が撮影できる条件

月明かり・光害のない晴れた場所

天の川の光は非常に弱く、住宅地の生活光や道路に設置された電灯などの光害(ひかりがい)があると見えません。また、月の光であっても同様です。そのため、周囲に光害がない場所で、月の出ていない晴れた夜であることが、撮影時の必須条件。都市部から離れた山など、標高が高い場所で撮影するのがオススメです。撮影地が暗い場所でも天の川の方向が明るいと見えにくいため、基本的には南東の空が暗い場所を選ぶとよいでしょう。

天の川撮影初心者にオススメなのはキャンプ場

天の川を初めて撮る方は、市街地から離れたキャンプ場などで撮影するのがオススメです。キャンプ場は車でアクセスができる場所がほとんどなので、機材の運搬も楽に行なえます。また、夜であっても周囲に人がいるため安心。そのほか、宿泊施設や自治体が開催している星空観察のイベントでも、星空について学びながら撮影ができます。中には、撮影機材や望遠鏡などがレンタル可能な場所も。撮影をメインにしたい方は、写真家を講師に据えた撮影会に参加してみるのもよいでしょう。

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天の川撮影のベストシーズンは夏

天の川銀河の見え方は、撮影時期によって大きく変わります。その理由は、地球が公転をしているから。天の川銀河の密度は中心部が最も高く、外周にいくにつれて低くなります。夏の夜中に見上げる空の向こうには、天の川の中心部分(さそり座、いて座がある方向)があるのです。

晩冬には東から上ってくる天の川が、晩秋には西へ沈んでいく天の川が見られます。最も長い時間天の川を観察できるのが夏。日本が位置する北半球では、7~8月が天の川撮影のベストシーズンといえるでしょう。

天の川を撮影する際の設定

撮影モード

星空撮影ではマニュアル(M)モードを使用します。マニュアルモード以外ではISO感度が過剰に上がってしまったり、露光量が足りなかったりと、意図しない設定になることがあるためです。初心者の方にとって、マニュアルモードでの撮影はハードルが高く感じるかもしれません。しかし、以下の設定を覚えれば簡単に調整できるので、ぜひ挑戦してみてください。

F値(絞り)

真っ暗な星空と淡い天の川を写すには、たくさんの光をカメラに取り込む必要があります。そのため、レンズの絞りはF2.8以下に設定しましょう。多くのズームレンズは開放値になるはずです。F1.4やF1.8など明るい単焦点レンズは、明るさに余裕があれば1~2段絞った撮影がおすすめ。F値を絞ることで、サジタルコマフレア(羽ばたく鳥のような形に星が歪む現象)を抑制し、周辺部に至るまで解像感のある写真に仕上がります。

シャッタースピード

シャッタースピードは焦点距離にもよりますが、13秒~20秒がベスト。地球の自転により、20秒より長く露光してしまうと星が線のように写ってしまうからです。この現象はレンズの焦点距離が長いほど顕著になり、14mm前後の超広角レンズであれば20秒ほど、24mm前後の広角レンズでは13秒ほどが星を止めて写せる限界になるでしょう。試し撮りをした際に星を拡大して確認しながら、自分が許容できる秒数を採用してみてください。

ISO感度

センサーサイズやレンズの質で異なるものの、天の川が撮れるような撮影地ではISO感度をISO3200~6400に上げる必要があります。これより低い値に設定すると、写真が黒つぶれをして天の川も目立ちません。機種によっては高感度ノイズ(画面がざらざらと汚れて見える現象)が多く発生するので、高感度耐性の優れたカメラを選ぶ点も重要です。

ピント合わせはマニュアルフォーカスを使用

ピントは、マニュアルフォーカスが必須。最近では星にAFが使えるモデルもありますが、基本的には星のような弱い光は自動でのピント合わせができません。レンズのフォーカススイッチを「MF」にし、拡大機能を使って星がもっとも小さくなる位置にピントリングを動かします。ピントを合わせる対象は、一番明るい恒星です。夏は天の川銀河付近にあるさそり座や、夏の大三角を作るベガ(織姫)・アルタイル(彦星)などの方角でピントを合わせると良いでしょう。

天の川を撮影するコツ

天の川の方角はアプリで確認

天の川や星座が出現する方角は、スマホのアプリで確認できます。「Star Walk 2 Free」「Stellarium」などが有名で、撮影場所と日時を設定すると、その日の夜空をシミュレーション可能。天の川が昇る時間や月の位置もわかるので、撮影計画に役立てましょう。

三脚は必須

天の川撮影には、三脚が必須です。通常の星景撮影では、環境条件や設定によっては手持ち撮影でも星が写ることはあります。しかし、天の川撮影の場合は10秒以上の露光時間が必要なため、三脚の使用は避けられません。徒歩で移動する方は、折りたたんで収納できる軽量なトラベラーズ三脚を持っていきましょう。車でアクセスできる場合は、できるだけパイプ径が太くしっかりした三脚がオススメ。また、三脚は搭載重量が決まっています。移動手段と自分の持っている機材の重量とを加味しながら、使いやすい三脚を選びましょう。

ピント合わせにライブビューの拡大機能を使用

マニュアルフォーカスでピント合わせをする場合、ライブビューの拡大機能が役立ちます。ライブビューで明るい恒星を拡大することで、ファインダーで捉えられない星でも確実かつ簡単にピント合わせができるのです。また、最近主流のミラーレス一眼カメラでは、液晶モニターの明るさをブーストする機能を備えたモデルもあります。星だけでなく周囲も確認できるため、構図づくりに一役買うはず。積極的に利用していきましょう。

レリーズがない場合はタイマーを使用

長秒露光をする場合、シャッターボタンを押した際の振動も写真に影響を与えます。そのため、レリーズケーブルを使用するか、レリーズケーブルを持っていない場合はタイマーをセットして撮影しましょう。

一眼レフの場合はミラーが上がる際の振動が伝わる場合もあるので、ミラーアップ撮影やライブビュー撮影がオススメです。

露出はヒストグラムで確認

撮った写真をモニターで確認する際に、注意点が1つあります。撮影地が暗いので、モニターに映る写真がとても明るく見えてしまう点です。撮影直後はうまく撮れたと思っても、家に帰ってPCで見ると天の川がハッキリ写っていない……という失敗は珍しくありません。

写真の明るさはモニターの像だけでなく、ヒストグラムで確認しましょう。天の川撮影における適正露光は、ヒストグラムの山が半分よりやや左にあるくらいがベスト。左側にくっついていると黒つぶれしている証拠なので、ISO感度やF値、シャッタースピードで明るさを調節しましょう。

本格的な天の川撮影には赤道儀を使うのがオススメ

長秒露光によって星が線になるのを防ぐため、「赤道儀」を使うのもオススメです。赤道儀は日周運動※に合わせて動くもので、三脚に搭載し、その上にカメラを乗せて機能します。赤道儀を使用すると、上記のシャッタースピードより長い間露光をしても、星は流れません。30秒、場合によっては1分ほど露光して、濃い天の川を写すことも可能。本格的に星景・天の川撮影をするという方はチェック必須の機材です。

※ 地球の自転により、星が東から西へ動いて見える見かけ上の運動のこと

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