▲白川蘭珠(夢みるアドレセンス) 撮影:志和浩司(タンバリンアーティスツ)
今回のGooPass MAGAZINEでは、GooPassユーザーであり、フォトグラファー兼編集者として活動されている、志和 浩司さんのインタビュー記事をお届けします。
現在は写真撮影の仕事とともに、ヤフー株式会社などから依頼を受けて、Webメディアを中心に芸能・エンターテインメント関連の写真撮影から記事執筆、編集までを担当されている志和さん。GooPassでレンタルした機材で、誰もが知る国民的アイドルなど多くの芸能人を撮影されているそうです。
インタビューでは、30年以上にわたってクリエイターとして活躍されている志和さんに、これまでのキャリアやGooPassの活用方法、実際にGooPassでレンタルした機材についてお話を伺いました。
※本インタビューは、2020年4月16日に、ビデオ通話ツール『Zoom』によって行なわれました。
目次
カメラとペンの『二刀流クリエイター』。
▲1997年に発行されたアサヒカメラ別冊「M型ライカの研究」(朝日新聞社)
ー本日は宜しくお願い致します。まずは、これまでのキャリアについて伺わせてください。志和さんは元々学生時代から写真を学ばれていたんですか?
志和:はい。高校卒業後に、東京写真専門学校(現:東京ビジュアルアーツ)の商業写真科で学びました。当時、母親が千葉県市川市でDPEや記念写真撮影を行なう写真館を開店して、専門学校卒業後はその写真館でカメラマンとして働く予定だったんです。ただ、在学中に店舗を閉じることになってしまいまして…。
ーな、何と(笑)。波乱万丈なキャリアのスタートですね…!
志和:結局、就職後は某メガバンクで手形交換の業務などを担当していたんですけど、「やっぱり写真で食べていきたい!」と思って、2〜3年後に退職しました。そこからフリーランスのカメラマンとして活動をスタートさせましたが…なかなか自分が望む思い通りの仕事はできませんでしたね。写真家のアシスタントをした時期もありましたし、アルバイトをしながらエステサロンの会報誌に使用する写真を撮ったり、エステサロンが主催するブライダル関係の写真を撮ったり、インディーズのジャケ写やチラシ、大学の卒業パーティーの写真、モデルプロダクションの宣材などを撮ったこともありました。
色々なジャンルの写真撮影を経験する中で、ある時、旅行ガイドブックを制作している出版社から【原稿料、倍払うから文章も書いてみない?】と声をかけていただき、「せっかくなら編集スキルも身に付けたい!」と思って、撮影に加え記事執筆も任せていただくことになったんです。
ーなるほど。それが現在の「カメラマンと編集者の二刀流」の礎になっているんですね。
志和:そうですね。丁度その頃、アサヒカメラから『M型ライカの研究』という、Leica(ライカ)の特集ムックが発刊されることを知りまして。プロ・アマ不問でLeica(ライカ)に関する記事を公募していたんです。写真学校時代からLeica(ライカ)を愛用していたので、思いきって原稿を書いて応募したら、それが見事に掲載されまして。そこから、より文章や編集という仕事に興味を持つようになって、広告専門誌を取り扱う小さな出版社に、カメラマン兼編集者として入社することになったんです。
ーその出版社では、主にどんな仕事をされていたんですか?
志和:その会社は、看板広告やビジョン広告などの屋外広告を専門に扱う企業でした。編集に必要な知識やスキルは、ここでイチから学ばせてもらいましたね。ただ、業界向けの、いわゆるBtoBの媒体を取り扱っている会社だったので、経験を積むうちに、「もっと色んな方に写真や文章を見てもらいたい!」という欲が強くなっていって。出版社を退社して、学研と、カメラ雑誌の編集者としてフリーランス契約を結ぶことにしました。
ーなるほど。学研ではカメラマンではなく、編集者として契約されていたんですね。
志和:そうですね。ただ、仕事をするうちに【せっかくカメラ使えるんだから、写真を撮って文章も書いて、1人で記事を書いてみれば?】という声をいただきまして。最終的にはカメラマン兼編集として、学研以外でも定期発行されるレギュラー雑誌やムックの制作に携わっていました。
ー写真も撮れるし文章も書けるマルチクリエイターって、企業にとっては貴重な存在ですものね。
▲携わっている「東京深川写真倶楽部」でレクチャー
志和:幸い手がけたムックもヒットして充実した日々を過ごしていましたが、2005年になって、新しい仕事を始めることになりました。というのも、丁度その頃がフィルムからデジタルへとカメラが移り変わっていた時期でして。デジタル写真を取り扱う媒体からも声をかけていただくようになって、芸能ニュースを配信するモバイルサイトの管理・運営をする企業から、【是非ウチと契約してほしい】という話をいただきました。当時はまだガラケーの時代で、一流のレポーターやコメンテーターを擁するiモード公式サイトの1つに編集長として迎えられることになったんです。そこでは、芸能人への取材やニュース記事の執筆、新人スタッフの採用から編集部のマネジメントまで担当していました。
ーiモード!懐かしいですね。ここで本格的に芸能関係のお仕事に触れられたんですね。
志和:ただ、2008年頃からiPhoneなどスマートフォンの浸透と共に、ガラケーがダウントレンドになっていって、2014年にはクローズされることになってしまったんです。
ーなんと…これまた急展開ですね…!
志和:クローズ後は、産経新聞社で、夕刊フジの芸能面を担当していました。以前から交流のあった夕刊フジの報道部長(当時)から【モバイルサイトの手が離れたなら、ウチに来ないか。志和さんなら写真も撮れるし、取材もできるし、編集もできるでしょ】と、声をかけていただいたんです。丁度その頃夕刊フジは芸能記者が不足しており、私にとってもタイミングが良くて、正に渡りに船でした。私の上にはデスクが1人いましたが、当時の芸能記者は私1人で、ペンとカメラ両方できたため、現場にはほとんど1人で出入りしていましたね。
その後、芸能・エンターテインメントのジャンルでの経験を買われて、2017年から現在まで、フリーランスのフォトグラファー兼編集者として、ヤフーなどのニュース記事を制作しています。ヤフーは国内最大手のポータルサイトですし、1人でも多くの人に読まれる記事を作りたいと思ったことが、キャリアチェンジのきっかけですね。芸能で育んだ信頼関係から、CD関連やパンフレットなど撮影の仕事をいただくこともありますし、今でも夕刊フジさんには単発でお仕事をいただいていますよ。
プロのフォトグラファーが、GooPassを利用する理由。
▲GooPassで納得いくまで仕事現場でも活用し、
ーこれだけのキャリアを持つ、いわゆる”プロ層”がGooPassを利用してくださっていることに、改めて感激しました。GooPassを知ったキッカケがあれば教えていただけないでしょうか。
志和:インターネットで目にしたのがキッカケですね。サービスのローンチ前に『事前登録の受付開始』というWeb記事を目にして、「へえ、こんなサービスが始まるんだ」と思ったことを覚えています。
ー志和さんは、以前からカメラ機材のレンタルサービスを利用されていたんですか?
志和:そうですね。急な案件やイレギュラー案件の依頼を受けて、必要な機材を持っていなかった時に、単発で利用したことはあります。ただ、良いレンズだと1日で1万円〜2万円くらいしますからね。定期的に利用していたわけではありません。
ーなるほど。その中で、GooPassを利用いただけている理由というのは、「月定額」というコスト面が大きいのでしょうか。
志和:もちろん、月々のコスト面は理由の1つです。でも個人的には、サブスクリプション型のサービスであることが大きいですね。特にWebメディアの場合は視聴者ニーズに合わせ編集方針も変化
ー確かに!アサヒカメラのライカムックに寄稿されたくらいですもんね。
志和:そうなんですよ。色々なカメラやレンズを使って写真を撮ることが好きなんですよね。その中で、「良いものがあったら仕事にも使えるかな〜」と思って、GooPassを利用させてもらってます。そう考えると、やっぱり”サブスク”がすごくありがたいんですよ。日常的に使用できるので、メリットやデメリットをしっかり理解することができますし、機材の良し悪しを正確に見定めることができます。しかも、もし本当に良いものであれば、レンタル後に自分で同じ機材を購入して、自分が持っている機材のラインナップに加えることができる。つまり、失敗がないんです。そこが非常に大きいですし、他のレンタルサービスとの違いだと思います。
オススメの機材と、オススメの活用方法について。
▲GooPassでレンタルしたEOS R(右)の使い勝手が素晴らしく、自前でも購入(左)
ー志和さんはOLYMPUSのレンズや、Canonのミラーレスや、PENTAXのボディなど様々なメーカーをご利用されていますよね。
志和:はい。実は私、さまざまなメーカーの機材を使っているんですよ。なので、レンズキットだけじゃなくて、「本体だけ」「レンズだけ」という借り方もできるんです。フィルムカメラも使っていますよ。
ーGooPassでレンタル後に、ご自身で購入された機材もあるのでしょうか?
志和:あります、あります。去年の11月にレンタルしたCanon EOS R マウントアダプターキットは、その1つです。芸能人のインタビューカットや、アイドルグループがLIVE会場などで販売するブロマイドや写真集などの撮影を依頼されることも多いんですけど。プライベートで被写体モデルさんを依頼して、Canon EOS Rを試してみたんです。1ヶ月じっくり試してみた結果、手応えがかなり良かったので、これはいけるんじゃないか…!と思って、仕事でも使ってみることにしたんです。年明けの記事用に乃木坂46の白石麻衣さんやOGの伊藤万理華さんをCanon EOS Rで撮影したら、その写真の評判が良かったんですよね。それで、自分でも導入しました。納得いくまで使い込んで、良いものが見つかったら購入して、自分のラインナップに加える。我ながら、理想的な使い方だと思っています(笑)。
▲伊藤万理華(乃木坂46OG) 撮影:志和浩司(THE PAGE/ヤフー株式会社)
ーこちらとしても、理想的な使われ方だと思っております。
志和:PENTAX KP ボディの場合は、PENTAX K-1を持っていて、ずっと使っていたんですけど。PENTAX KP ボディが新発売されて興味があったものの、買うまでのコストはかけられないな〜と思っていたんですよ。それで試しに使ってみたら、思っていたより小型で使いやすくて。フルサイズ機は他のメーカーでいいけど、APS-CはPENTAXでも良いかな〜と思っているところです。こちらは、あくまでプライベートの趣味的な活用方法ですが。
ーCanon EOS R マウントアダプターキット以外にも、実際にお仕事で使用された機材はありますか?
志和:ありますよ。最近でいえば、やはりPENTAX KP ボディですね。これもプライベートで試し撮りして感触が良かったので、全カットではありませんがアイドルグループ・夢みるアドレセンスのメンバーのフォトブックや尾上菊之助さんが出演する歌舞伎の取材会で使用しました。詩人の谷川俊太郎さんの取材でも使用しています。
ー文化人の撮影にも使用されていたとは…!大変光栄ですし、身が引き締まる思いです。
志和:OLYMPUSのM.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PROは、女優の有村架純さんや、乃木坂46OGの若月佑美さんの撮影に使用しました。こういう仕事では、窓のない部屋でストロボを立てる時間的余裕がない現場も多いんです。大口径レンズの威力をあらためて感じました。おかげさまであの写真も、ファンの方々を中心にご好評をいただくことができました。
▲女優、有村架純 撮影:志和浩司(THE PAGE/ヤフー株式会社)
▲若月佑美(乃木坂46OG) 撮影:志和浩司(THE PAGE/ヤフー株式会社)
ーただただ、美しいですね。なんて綺麗な写真なんでしょう…!
志和:OLYMPUSのM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO 1.4x テレコンバーターキットは、天皇陛下の即位パレードで使用しました。その時は報道陣の撮影スペースに入れなかったので、一般の方と同じ沿道から撮るしかなくて…そうなると望遠レンズが必要だな、と。また、現場では機動力も必要になるでしょうから、小型軽量なマイクロフォーサーズがいいんじゃないか、と。そうやって逆算していくと、ボディはOLYMPUSのOM-Dが良いという結論になりまして。ただ、超望遠レンズを持ってなかったので、GooPassでレンタルしました。ちなみに、そのM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO 1.4で撮った写真が、Yahoo!の写真アクセスランキングで1位になったんです。あのレンズがなかったら、あの写真は撮れていなかったと思います。
▲天皇、
ーこれはすごい!こんな歴史的瞬間に当社のレンズが立ち会っていたとは…たいへん光栄です!
志和:今年に入って、Canonの『EOS 6D MarkⅡボディ』も借りました。前身にあたるEOS 6Dと比べ、『EOS 6D MarkⅡボディ』ではモニターが可動式に改良されたので、それがどれくらい使いやすいのか試してみたかったんです。でも、実際に使用してみたら、私の使い方では『EOS 6D MarkⅡボディ』に買い替えるまでではないかな〜と感じました。ただ、それは1ヶ月じっくり使ったからこそ分かることなんですよね。
ー確かに。自分の持っている機材がバージョンUPしたら、それは気になっちゃいますよね。
志和:2〜3日使用しただけだと、良いところだけが印象に残ってしまうので、判断を誤っちゃうこともあると思うんです。でも、1ヶ月以上じっくり使えると、本当にそれが自分にとって必要なものなのか?新機能はどのくらいの頻度で使うのか?とか、そういうのが見えてくるんですよね。
ーそう言っていただいて、本当にありがたいです。最後にGooPassに対する改善案があれば教えていただけないでしょうか。
志和:需要がどの程度あるか分からないんですけど、ストロボが充実していると嬉しいですね。試してみたいんだけど、いきなり買うにはちょっと高くてリスクがあると思うので。
ー承知しました!他のユーザーさんからも同様の声をいただいておりまして、ストロボなど周辺機器・アクセサリーは現在商品化に向けた準備をしているところです。恐れ入りますが、もう暫くお待ちいただけますでしょうか。改めまして、本日は貴重なお時間をいただきまして誠にありがとうございました。今後とも、GooPassを宜しくお願い致します。
志和 浩司(しわ・こうじ)
1962年11月生まれ。東京写真専門学校(現:東京ビジュアルアーツ)中退。フリーランスのフォトグラファー兼編集者として、これまで『夕刊フジ』をはじめ数々のメディア制作に携わった経験を持つ。現在は撮影の仕事とともに、ヤフーをはじめメディアのニュース記事制作を手掛けている。
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